すべてのマンションは廃墟になる (イースト新書)

著者 :
  • イースト・プレス
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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781651132

作品紹介・あらすじ

――なぜ、すべてのマンションに廃墟化の危機が訪れるのか?
マイホームを購入するほとんどの人が、「一生住むこと」を前提に家を買っている。そのために何千万というお金を借りる。だが、じつは日本に存在する分譲マンションのほとんどが、廃墟化への時限爆弾を抱えいている。その理由は、現在のマンションにおける所有形態、つまり区分所有制度にある。この制度には決定的な欠陥があり、これを改めない限り、すべてのマンションは廃墟化への軌道をひたすら突き進むこととなる。なぜ、「終の住処」であるはずのマンションが廃墟になってしまうのか? どのようにして、廃墟への道を進むのか? どうしたら廃墟化を食い止められるのか? 住宅ジャーナリストがその危機的現実と解決策を提示する。 

第一章 マンションが粗大ゴミになってしまった
第二章 三五年ローンで手に入るのは廃墟化マンション?
第三章 あなたはのマンションは何年もつのか?
第四章 管理組合がマンションを廃墟化させる
第五章 管理組合が果たすべき役割
第六章  なぜマンションを建て替えられないのか
第七章  穴だらけの区分所有法
第八章  マンション廃墟化を食い止めるために
第九章  廃墟化が見えたマンションから逃げ出す方法

感想・レビュー・書評

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  • 区分所有のマンション管理の難しさがよくわかる。タワーマンションは避けたい。

  • 個人的には当たり前に思えることしか書いてなかった。が、マンション買っちゃった人や、実家がマンション=親がマンション買っちゃった人からしたら恐怖だろうなあ。
    本書のいいところはそれにとどまらず、現実的(?)な解決策を提示しようとしているところ。恐怖派の人も(こそ)、一読の価値がある。

    2019/9/25読了

  • この三連休の中日の夕方、私の住んでいるマンションの街区で「夕涼会」があったので妻と参加しました。簡単な出店しか出ていませんでしたが、ビールとフランクフルトで私は十分に楽しめました。音楽はカセットテープレコーダーから、80年代の音楽が流れていて気持ちよかったです。

    周りを見渡すと、小学生は少しいるものの、全体的には私達夫婦(50台)以上のカップルが多い気がしました。住みやすいマンションなので、引っ越す人も少ないのかもしれませんが、高齢化は確実に進んでいます。

    私は今から20年程前にローンを組んで中古でしたが今住んでいるマンションを購入し、やっとローンを返し終わったところです。そんな私にとって、この本のタイトル「すべてのマンションは廃墟になる」は衝撃的で、読まずにはいられないと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・ノンリコースローンとは、一定の猶予期間を後に、抵当権を実行して担保にしている住宅の所有権を取得、借り手は自宅を失うが、それで返済は免れるもの(p37)

    ・日本人の新築好きの理由、1)新しいものは「清く」古いものは「穢れ」とされる、2)半世紀程前までは木造一戸建てに住んでいて、自然災害で被害をうけるため、安普請(p43)

    ・購入価格が家賃の30年分以上になるような場合は、賃貸にしておいたほうが良い(p54)

    ・借入額は余裕をもって決めるべき、限度ギリギリの年収7倍はもってのほか、せいぜい4-5倍が良い(p60)

    ・建築精度は長谷工が最も安定している、作るマンションが極めて画一的、単純な設計だから(p77)

    ・総会議事録は区分所有法のなかで、利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧を拒んではならない(33条2)利害関係人とは、区分所有者はもちろん、購入検討者も含まれる(p80)

    ・マンションの価値は、9割が立地(最寄り駅からの徒歩分数)、間取りと面積、価格で決まる(p82)

    ・購入した時点で、購入者の意思にかかわらず決まっているもの、1)管理規約、2)管理会社、3)管理費・修繕積立金、4)長期修繕計画(p103)

    ・管理組合も優先順位の高いもの、1)資産価値保全のための業務(管理要員の仕事内容)、2)資産の適正活用と会計処理、3)長期視点にたったメンテナンス、につきる。上手に管理会社やコンサルタントを使う(p110,114)

    ・競売を申し立てる場合、申立人は個人か法人でなければならない、管理組合が法人化していない場合、理事長の名前で申し立てを行うことになる(p125)

    ・特別決議が必要な議案とは、1)管理規約の変更、2)共用部分の用途変更、3)管理組合の法人化(p146)

    ・管理組合が法人化になるメリットとは、区分所有者になれること。滞納が5年分に達した場合は、所有権が管理組合に移転する、という制度をつくれば、管理組合は自らの債権を証明するだけの簡単な裁判で競売したのと同じ状態にできる(p170,174)

    ・タワーマンションの上層階は、雨風が横殴りに吹き付けるので、シーリング剤の劣化が進むため、15年に一度くらいは劣化したシーリング剤を修繕しなければ、外部からの浸水を防げない(p101)

    2019年7月19日

  • 日本では有史来、天寿を全うしたマンションはない。理由は
    ①そもそも鉄筋コンクリートは、人の寿命より長持ちするのか?
    ②区分所有法がもたらす、存在しない出口戦略

    これに限ります。これは都心部のマンションでも該当する問題になるとのことです。
    我々日本人は、大金を投入して壮大な社会実験をしている最中なんですね。

    マンション購入とは、入り口は薔薇色であっても出口は絶望しかない。

    これからマンション購入(既にしている人含め)を検討している人は、事前知識として現実を知っておいた方がいいでしょう。

    評論家の本なので、時間潰しの読み物として面白かったです☆

  • タイトルは盛ってるのかと思いきや、管理組合の持続不可能性や腐敗不正のしやすさなどに触れていて、確かに放っておいてマンションが上手く運営されることは無いと思わされる内容でした。

  • 文字通り、マンションの資産価値は目減りするので買っても意味ないことを説いた一冊。

    また、買った後の管理組合も、管理会社や一部の住人に牛耳られたりするケースもあり、中々大変ということがよくわかった。

  • 増築が進む分譲マンションに関し、将来的な見立てをまとめた一冊。基本、マンション保有者からするとホラーシナリオが展開されていたが、納得感はあった。
    住居を選ぶ際、特に念頭に置きたいことは以下の通り

    ・不動産の価値を決めるのは、土地>建築物
    ・35年ローンを組んだ後に残るのは、資産価値が著しく低下したマンション
    ・マンションの行く末(老朽化対策/取り壊し等)を決めるのは、区分所有者により構成される管理組合。合議制のため、管理組合内での方向性を定めるのが難しく、また理事による組織腐敗等、様々な問題が噴出する可能性が高い
    ・現在の金利は史上最低水準。今後、上がることはあっても下がることはない。この中で限度額ぎりぎりまで住宅ローンを組むのが現実的か?
    ・管理会社と管理組合は、基本的に利益相反の関係。全てを管理会社に任せていると、カモにされる
    ・現行の区分所有法は、個人の権利や民主主義的決定を重んじる余り、管理組合の腐敗を許容するザル法とも言える

  • ■感想
    マンションの管理面でのリスクと対策について紹介されている。
    不安を煽る様な表現が多いが、マンションに住んでいる、もしくは検討している人は読んでおいた方がいい内容だと思った。

    ■今後の行動
    ・検討しているマンションの住民が管理費や修繕積立金への意識が高く、また滞納がないか、重要事項説明書や総会議事録を事前に読んでおく。
    ・マンションを買ったとしても、1000万円以上で売れるうちに売る。
    ・そもそも、自分の好みよりも「すぐに買い手がつきそうか」の観点で、買う物件を選ぶ。

  • 面白かった。
    バブルの遺産みたいな廃墟の話とか大好物なのだけど、それはそれとして、新築ではないけれど分譲マンションに住まう身として、将来的な展望(終わり)をちゃんとイメージしたことがなかったので、なかなか考えさせられる内容だった。
    区分所有法とか管理組合運営とか、マンションに住んでいる以上はちゃんと知っておかねばと思うし、ゆくゆく子に負の遺産を負わせないようにしたい。

  • マンションの将来の出口戦略が存在しない事、性善説に基づく区分所有法で何も決められないことが問題。

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著者プロフィール

住宅ジャーナリスト。1962年京都府生まれ。同志社大学法学部および慶應義塾大学文学部卒業。1980年代後半からマンションの広告制作や販売戦略立案などを手がける。現在は、一般ユーザーを対象にした住宅購入セミナーを開催するほか、新聞や雑誌などに多くの記事を執筆している。著書に『2025年 東京不動産大暴落』『すべてのマンションは廃墟になる』(ともにイースト新書)、『マンションは日本人を幸せにするか』『限界のタワーマンション』(ともに集英社新書)、監修に『コロナパニック最前線 不動産大暴落がはじまった』(宝島社)など多数。

「2020年 『激震!コロナと不動産 価値が出るエリア、半額になる物件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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