JR九州の光と影 (イースト新書)

著者 :
  • イースト・プレス
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781651170

作品紹介・あらすじ

あの「優良企業」が不採算路線を発表…
なぜ「格差」が生まれたのか?
上場達成の「光」とローカル線削減の「影」。その「矛盾」に迫る!

発足時2,695.1km→現在2,273.0km。さらに、大減便により住民の通勤、通学に大打撃!
多角経営は本業活性化につながらないのか?

■「企業」にとって、「公益」とは何か?
二〇一六年に上場を果たし、独創的な車両や観光列車が注目を集めるなど盤石な経営体制を構築したかに思われていたJR九州も、二〇一七年七月三一日に初めて路線別の利用状況(輸送密度、平均通過人員)を公表。そして二〇一八年三月一七日のダイヤ改正では実際にローカル線の運行本数が住民の生活に支障を来すほどの大減便となり、自治体からの反発で微修正を余儀なくされたのは記憶に新しい。本書では関連事業の隆盛や上場などJR九州の経営が成功した「光」の部分を紹介する一方で、ローカル線の「切り捨て」とも取れる「影」の部分の背景についても分析していく。

■目次
第一章 JR九州の光と影
第二章 数字で読み解くJR九州の経営
第三章 国鉄時代の九州の鉄道
第四章 JR九州の躍進―一九八七〜一九九〇年
第五章 総合サービス企業への変革―一九九一〜一九九五年
第六章 激化する高速バスとの競合―一九九六〜二〇〇〇年
第七章 新幹線開業前夜の九州の鉄道―二〇〇一〜二〇〇三年
第八章 新幹線の一部開業と「第二の創業」―二〇〇四〜二〇〇六年
第九章 新幹線の全線開業と輸送体系の再構築―二〇〇七〜二〇一一年
第一〇章 上場へ向けた事業の再編―二〇一二〜二〇一六年
第一一章 株式上場でJR九州は何が変わったのか―二〇一六〜二〇一八年
第一二章 令和時代の鉄道事業はどうなるのか―二〇一九〜二〇二一年

感想・レビュー・書評

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  •  JRのなかでも経営が厳しいと言われる、JR三島会社(北海道、四国、九州)のうち、JR九州は独創的な観光列車や多角化経営で注目を集めている。
     本書は、国鉄時代からJR九州の発足、上場から、コロナ禍前までの歴史をあますところなくたどった本。特に、列車や駅の年代ごとの変遷や時刻表改正まで、これでもかというくらいこと細かく書かれていて、マニアでないと読みとばすようなページが多い。
     JR発足時に、JR三島会社だけは債務無しで鉄道資産を引き継いだということは知らなかった。他のJR各社も駅ナカなど小売事業を拡大しているが、JR九州は上場が悲願の目標だったこともあるせいか、目のつけどころが違うというか、観光企画はもとより、宅地やマンション開発、農業、塾の経営まで手を広げていて驚いた。

  • 時代の流れの中で、廃線など痛みを伴う施策を実施しながら上手く多角化を実施していることがよくわかった。
    JR北海道や四国と比べて都市人口などが多いことも経営が好調な要因であると思うが、観光資源を生かした事業やアミュなどのまちづくりなど想像以上に多彩なチャレンジをされている。書籍を読む中でJR九州が強く骨太な企業であることを感じさせられる。

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著者プロフィール

1956年、東京都江戸川区生まれ。亜細亜大学講師、一般社団法人交通環境整備ネットワーク相談役、公益事業学会、日本交通学会会員。専攻・交通政策論、日本産業論。「鉄道ジャーナル」に論考を執筆するほか、著書に『鉄道会社の経営』『新幹線の歴史』『通勤電車のはなし』『鉄道と政治』(中公新書)、『JR北海道の危機』『JR九州の光と影』(イースト新書)、『鉄道会社はどう生き残るか』(PHPビジネス新書)などがある。

「2023年 『日本のローカル線 150年全史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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