なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか (文庫ぎんが堂)

著者 :
  • イースト・プレス
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本棚登録 : 1208
レビュー : 108
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781671086

作品紹介・あらすじ

"女性の生き方"問題の第一人者たちも絶賛した元本を大幅増補・改題し文庫化!「心の穴」と「自己受容」をキーワードに、なぜ楽しいはずの恋愛が苦しくなるのか、の秘密に迫ります。

感想・レビュー・書評

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  • めちゃくちゃ面白かったです。本の内容自体はまあまあでしたが。何が起こったのかきいてください。

    まあ…この手の本を買うのはちょっと抵抗がありますよ。そして読みはじめると最初は「わかるー!自分を肯定できないから他人のことも……うんうん、これってまさに私のことだわ!」とかベタに共感していました。しかし、どうも話がふわっとし続けているので「うん、心の穴の形が〜っていうのはわかったけどじゃあ具体的にどうしろっていう話なの?」と若干もやもやしてきて眠くなってきました。しかし、
    筆者が女子の悩み相談に答える、というページから雲行きがかわってきたのです。いや、途中までは「恋に悩む頭の悪い女子」と「解決法をやさしく説くアドバイザー」の構図だったのが、ヤリ捨てに悩む女子に対し二村さんが「浮気論」みたいのを話し始めたところで、その女子が「理屈はいい!お前がなんで浮気するのかをきいてるんだ!」と逆上して二村が狼狽えたことで形勢が一気に逆転し、そこから怒涛の展開になっていくのです。
    続く信田さよ子との対談がまた一手一手がプロの棋譜を読むようにスリリングな展開なんですが、信田が「こんなに深いことを書いた素晴らしい本はない」と絶賛しながら「女には菩薩のような存在でいてほしい。そうすれば男がフラフラしていてもおさまる」という主旨の二村の発言を受けて「あんないい本書いておきながら最終的に出てきた本音がそんなにださいものでいいの?がっかりだよ」とタコ殴りにされて終わり、対談式のあとがきで「もうこれどうまとめればいいの?」と弱腰の二村に女性担当編集が「調子にのってるなと思ってた」と追い討ちをかける、という、
    いや、モテ本でこんな展開、見たことないよ。っていうありえない事件が起きてます。最後に全部ひっくり返して終わる、って、乾くるみの「イニシエーション・ラブ」以来の衝撃。恋愛指南本とか自己啓発本にそんなトリックが待ってると思わないじゃないですか。

    そしてそんな筆者と読者のウジウジ感を笑い飛ばすような湯川玲子の明るい解説で本は終わります。

    実際すごい深いテーマを捉えていると思うので、ほんとにいい本だし、フェミ界の著名女子がコメントを寄せるのも納得。

    私自身が読んで感じたこと。二村さんは「世の中にはいい恋愛(自己受容)と悪い恋愛(インチキ自己肯定とナルシシズム)の二種類があるので、いい恋愛ができる相手といい恋愛をするようにしよう」と訴えていて、一見「そうだな」と思うのですが、具体的に今までの恋愛を思い起こすと、「この人とはいい恋愛だった」「この人との恋愛はナルシシズムに満ちた悪い恋愛だった」ということはなく、常にどちらの側面も持ち合わせているものではないか。自分自身も「驚くほど俗っぽくダサい感情」から「自分が消えてやさしさのかたまりになるような瞬間」までを常に行き来しているし、相手もそうだと思うし。だし、その清濁の混じり合いが醍醐味なんじゃないのかなー。などと思いましたが、さて。

  • 楽しいはずの恋愛が苦しく、つらいものになっている人たちに贈る「なぜ」と「どうしたら」の本。

    基本的には女性向けに書かれた本ですが、男性が読んでもほぼそのまま当てはまると思うので、男女関係なく読む価値ありだと思います。
    特に恋愛に関して苦しさや劣等感を持つ人が読むと、ヒントがあるかもしれません。

    本を読んで思ったのは異性恋愛関係なく、自分を大切にしたうえで善き人であれということかなと思いました。
    拘りたくなる時こそ手放さなくてはいけないのかも。

  • 《この本は、思考停止で寄りかかることのできる組織や共同体が崩壊し、グローバリゼーションの波の中、意思ありきの自立型になっている社会の中で生きのびるための必須能力になっている、コミュニケーションの心構えが肉厚に書かれている。》(解説より)

    《「女の子になら誰にでも優しい男性」じゃなくて、もし「あなただけに優しい男性」がいたとしたら、その人は「あなたに恋してる」か「あなたを愛してる」かの、どっちかです。でも自己受容していないあなたは「そういう人が理想なの!」と口では言いながら、いざ「そういう人」がほんとに現れたら、その男性をバカにするか、逃げるか、どっちかでしょう。》(p.66)

    《人間は、自分で自分をあつかっているようにしか、他人からもあつかわれないのです。》(p.76)

    《じつは、他人は「あなたが人には、しないこと」も、してくれているんです。でも、心の穴を埋めようと必死な人は、「自分が他人に求めているようなこと」しか理解できないので、他人がしてくれる「あなたがしないようなこと」を、うけとれないし、してくれていることに気づけないのです。》(p.76)

    《男にとって「他人のチンコ」は敵。女にとって「他人のおっぱい」は美しい。》(p.103)

    《自分の心の穴を知って、それに対処することが「おりあいをつけること」であり、それが自己受容につながっていくのです。そして、あなたが「生きていきやすくなる」ことが親孝行にもなるんです。》(p.127)

    《すべての子どもの心には「穴があく」のだから、出産も子育ても怖がらなくていい。》(p.128)

    《「自分を安売りするな」ということは「自分を高く売った方がトクだ。実際の自分よりも価値があるように、みせかけろ」と言っているのと同じではないでしょうか。つまりセックスを「もっと上手にエサにしろ」と言っているようなものです。》(p.132)

    《自分で「私は運がいい」「人生、快調」と本気で思えている人は、いま目の前で起きていることを楽しめて面白がれる人です。計画した未来でなく、現在の「起きた出来事」の中に、幸せや新しい価値を発見する能力を持っている、ともいえます。そういう能力や感覚のことを「セレンディピティ serendipity」といいます。》(p.160)

    《たまには「愛されようとすること」を休憩してみませんか。わざと憎まれるようなふるまいをしろってことじゃないですよ。嫌われるようにするというのは好かれようとすることの裏返し、というか「まったく同じ」です。「自分が人から好かれるとか嫌われるとかいうこと」に無頓着になってみてください。それができた時、つまり自分で自分を受容した時に初めて「人から愛される」ようになるんです。》(p.178)

    《そもそも人間は、どうして恋をしちゃうのでしょうか。(…)「すてきな相手と出会ったから」では、ありません。あなたが「今の自分じゃイヤだ」「もっとマシな自分になりたい」と無意識に思った時に、あなたがの前を通りすぎた「あなたを変えてくれそうな人」「あなたを、どこかに連れていってくれそうな人」がステキに見えて、恋をしてしまうのです。惚れっぽい人というのは「つねに、自分を変えてほしいと思っている人」なのです。》(p.182)

  • よく女性の言う「さびしい」という感情は何なのか、厳密に言うと「寂しい」とはちょっと違うよなぁ、と思い、資料として読む。
    「心の穴」というキーワードで語られていく心理の動きや行動パターンは、なるほど、と納得がいった。
    「インチキ自己肯定」をしている男ほど他人を「支配」したがる、というのは、ほんまそれ。会社とかにもごろごろいる。
    あと、別々だった『男だけの社会/女だけの社会』が『男と女の社会/女だけの社会』になり、女が両方の社会に属さねばならず、やることが増えたから、できない自分に劣等感を持ち苦しくなる、というのは大いにうなずいた。

    書かれていることは、たぶん多くの人が漠然と感じてはいるんだと思う。
    けど、(自分自身のことだからというのもあって)わかりやすく言語化できていないし、因果関係も明確に整理されていないし、冷静になれない。
    だから、一度こういうふうに、同じ目線で、わかりやすく解きほぐしてくれる本はありがたい。

    実生活でも創作物の中においてでも、その行動の源となった心の動きをわかっているのといないのでは大違いなので、とても勉強になった。

  • 自己受容とナルシズムの話。
    昔なら激痛だったであろう本。
    今読んでも余裕だった。
    少しは自己受容出来始めているのかな。
    そして自己受容しようとしてる人が、最近は近くに居てくれているからかな。

    被害妄想や自己否定から抜けられない女性に読んでほしい。できれば嫌われる勇気とセットで。

  • 恋がくるしい時のお助け本。
    恋愛の苦しみはあなたが悪いわけじゃないけど、誰かがなんとかしてくれるわけじゃない。だから一緒に恋のしくみを見直しませんか。そう著者は呼びかける。
    キーワードは5つ「恋」「愛」「ナルシシズム」「自己受容」そして「心の穴」。これらの概念の関係からみえてくるのは、例えば「なぜあなたは愛してくれない人を好きになるのか」という謎。
    キーワードを理詰めで考えているのにもかかわらず、どきりとする具体例が散りばめられていて自分を振り返るのに役立つ。自分と相手との関係を見つめるのに役立つ。しかも、自我が芽生える前の親との関係まで振り返る。
    恋が破れるか、恋が愛に変わるか。恋は必ずそのどちらかのしかたでおわる。
    まだ見ぬ愛の関係はきっと誰もが本当に望んでいる関係だ。

  • 出会うべきにして出会った本。自分がいま考えていることを言語化にしてくれた。そして素直に最後の対談を隠さず載るのが良い。
    誰しも心の穴があり、それと生きていく方法を探ってる。これで自分の状態と周りの環境に対しもうちょっと寛容になれるかもしれません。

    分かるのと、許すのと、愛せることは、別々。

  • 自己受容とは?
    自己受容を意識しましょう、自己受容できないとどういう恋をしてしまうのか、自己受容するには?と、ひたすら自己受容について書かれた本でした。

    自己受容できない理由はひとまず全部親のせいにしちゃおーぜ!みたいな軽いノリには驚いたけど一回全部自分の問題を投げつけちゃうのありなのかも。
    理想の自分取っ払って本当の自分と出会う欠けてても穴が空いててもいい、それが自分だってことだからまずはそこから目を逸らさないことが大事。

    自己受容できない人ってロクデモナイ人と付き合うよねってのはめっちゃ納得した。
    アドラーとかもそうだけど何もかも全ての問題は自分にあるというところ、問題と感じるのは自分の心って話なんだなー。
    自己責任ってよりも、自分1人で解決できることなら簡単になんとかなりそーって気ががラクになる程度にはコミュ障です。

  • 恋愛と一口に言うけれど、恋は欲や所有であり、愛はありのままを認めること(存在)である……

    エーリッヒ・フロムの『生きるということ』を読んだ後だったので、フロムの「持つこと」と「あること」についての議論のひとつのバリエーションとして読んでいた。

    本を通して、自己受容(自分をありのまま認める)ことができないから相手を所有したがるのだという、まあ、ありきたりと言えばありきたりな話が語られ、後半はではどうしたら自己受容できるようになるのか、に主題が移っていく。

    どちらかといえば退屈な読み物だと思っていたのだけれど、終盤の二村ヒトシとB子さん・信田さよ子さんとの対談で今までの「実にまっとうに思える」主張が反転し、実は女性解放を願っているという作者が最も女性を所有したがっているのでは、という疑惑をそのまま放り投げて文庫化までしてしまっているというところにこの本の凄味がある。
    もはやこのどんでん返しは上質なミステリー小説にも匹敵すると思うのだ。

    これは常々思っていたことだけれど、ヤリチンってミソジニスト(女性蔑視者)でなければできないんじゃないか、と。そのところ、B子さんは「ヤリチンのことを語れ」と作者を詰めるところがエライ。この作者にはヤリチン心理こそを語ってほしい。

    信田さち子氏の「男には反省がない」発言も、そう言われれば確かに……と。
    最後まで読んで、もう一度読み返すとさらに面白いかもしれない。

  • つらい恋の原因は、「自己受容」できていないことにある。自分を受け入れられていないから誰かを求め、その人を使って自分の「心の穴」を埋めようとする。お互いを愛し合える理想的な恋愛とは、お互いの心の穴の存在を認め、お互いのそのままの存在を認められることである。これが本書の大まかな内容である。

    どんな状況で自分がどういう気持ちになるのか、どうして自分はいま苦しんでいるか。こうした問いに真摯に向き合うことで、自分の「心の穴」の形を知ることができる。そうしてその存在を受け入れることが自己受容であり、相手の存在をそのままで認める(愛する)ためには、まずは自己受容することが必要である。

    恋をすることは素敵なことに思える(あるいはメディアによってそう思わされている)が、その根底には、現状の自分に満足しておらず、足りないものを相手に求めようとする心理が働いている。これが、人が誰かに恋をするメカニズムだと著者は言う。そのため、2人の間ですれ違いや支配・被支配の関係が生じて苦しくなるのだ、と述べている。

    この本の中で一番印象的だったのは、「お互いがお互いの存在を利用して自分の心の穴なり承認欲求なり自分の自信なりを埋めようとしている関係性でするセックスは、どれだけ甘い言葉を投げかけていたとしても、他者の体でオナニーしているにすぎない。」という二村氏の言葉である。この言葉は、恋人同士の2人が、実は相手を本当に愛せているわけではなく、相手の存在を使って自分の欲望を満たそうとしている関係性を端的に、そして皮肉を込めて表していると思う。

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著者プロフィール

アダルトビデオ監督。女性の欲望・受け身の男性・同性愛や異性装をテーマに「痴女」「レズ」「男の娘(おとこのこ)」などのジャンルで革新的な演出を創案。ソフト・オン・デマンドの若手監督エロ教育顧問も務める。近年は文筆家として活動の場を広げており、著書に『すべてはモテるためである』『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』(共にイースト・プレス)、『僕たちは愛されることを教わってきたはずだったのに』(KADOKAWA)、共著に『どうすれば愛しあえるの:幸せな性愛のヒント』(ベストセラーズ)、『欲望会議「超」ポリコレ宣言』(KADOKAWA)などがある。

「2019年 『あなたの恋がでてくる映画』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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