なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか (文庫ぎんが堂) (文庫ぎんが堂 に 2-2)

著者 :
  • イースト・プレス
3.92
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本棚登録 : 1988
感想 : 163
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781671086

作品紹介・あらすじ

"女性の生き方"問題の第一人者たちも絶賛した元本を大幅増補・改題し文庫化!「心の穴」と「自己受容」をキーワードに、なぜ楽しいはずの恋愛が苦しくなるのか、の秘密に迫ります。

感想・レビュー・書評

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  • 読んでいる最中にぐいぐいメンタル持ってかれて小爆発!友人との新春お茶会を一時間遅らせてもらう始末。

    筆者はアダルトビデオの監督。女性が自分の意志で積極的にエッチなことをするAVを撮っているそうだ。そんな筆者が「男性から愛される」ことばかりに注目しがちな女性誌に疑問を持ち、「愛される」ことだけでなく、「愛すること」に注目して描いた作品。「自己受容」と「心の穴」をキーワードに、親子関係、ジェンダーの潮流、セックスについて、相手をしっかり見ることで、ダメな恋愛から脱出するヒントを教えてくれる。

    20年以上前の名曲「愛されるより愛したい」が流れてくる。

    自己受容、これは現代社会のブームだし様々な媒体で様々な定義がなされている。ここでは、「自分を受け入れて、愛してあげる」こと、とされていて、これ以上のことは具体的には描かれていない。
    大切なのは、たぶん「心の穴」のほうにある。
    作品の中で定義づけがされているのだけれど、全体を通して定義づけるとこんな感じ。

    心の穴:誰しも、親にあけられたもの。全員が抱えている。罪悪感、寂しさ、怒り、悲しみ等。自分ではコントロールすることができない感情が湧いてくる場所。親も、その親から空けられた一人の人間。親もその穴に苦しみながら子育てをしていた。埋まるものでも埋めるものでもなく、それがどんな形をしているのかを知ること、つまり「なぜ今こんな気持ちになったのか」「どういう状況で何を言われるとどう感じるのか」を知り、自分の心の穴の形を知る。自分の心の穴をなんとかしていくのが自分の人生。不思議なことに、その人の魅力もここから湧いてくる。

    この作品の肝はここだと思う。誰しも心の穴を持っていて、それに向き合っていく作業。それが自己受容にもつながるし、「愛される」のを待つのではなく「愛すること」ができるようになる。相手の「痛み」をきちんと知る、ということなのかな、とわたしは思ったのだけれど。

    少し、いやだいぶ長くなりますが、10章の「女性読者のお悩みに答える」風に、Q.ではわたしが、A.では著者である二村さんに答えていただくスタイルで、作品のまとめを書いてみました。

    Q.なぜ私は「愛してくれない人」を好きになるのでしょうか。好きになった人が自分を好きになってくれない、というあれ。これは一体どうして発生しているのでしょう?
    A.それは、「自己受容」ができていないから。(P22)心のどこかで自分を「ダメな女だ」と思っていると、あなたのことをなかなか受け入れてくれない男性や、あなた以外のことに夢中な男性が、とても魅力的に見えることがあります。「私に、何かを教えてくれそう」、そんな気持ちに心当たりはありませんか?

    Q.あります!!!ではなぜ、「好きになった人」を好きになれないのでしょう?
    A.(P26)「好いてくれた相手を、好きになれない」のには、2つのケースがあります。「見下し型」と「怖がり型」です。

    Q.「見下し型」と「怖がり型」?
    A.(P26)見下し型は「この程度の男に好かれて、つきあうなんてイヤ!私は自分よりも立場が上の男が好きなのに」と相手をバカにしてしまう場合。怖がり型は「好きになってくれたのは嬉しいけど、この人が好きになった私は、たぶん本当の私じゃない」と相手の好意に向き合うことを怖がってしまう場合。見下してしまうのも、怖がってしまうのも、根本は同じ。「自分のことが嫌い」だからなんです。

    Q.じゃあ、自分を好きになればいい、ってこと?
    A.(P37)じつは「自分を好き」という言葉には正反対の2つの意味があります。それは「ナルシシズム」と「自己受容」です。

    Q.え!詳しく教えてください。
    A.(P39)「私は自分が好きなのに、『同時に、すごく自分が嫌い』と思ったこと、ありませんか?あなたが「自分を好き」なのはナルシシズムの意味で好きなのだし、「自分を嫌い」なのは自己受容できていないという意味で嫌いなのです。そして(例外もありますが)たいてい「自己受容していない人ほど、ナルシシズムが強い」です。

    Q.当たってます(泣)。めんどくさい自分が大っ嫌いで、でもそういうどうにもならなくてサブカルに傾倒する自分が大好き。ではどうずれば、上手に自己受容ができるようになるのでしょう?
    A.(P40)自己受容とは「自分を受け入れて、愛してあげる」こと。自己受容できるようになると、ナルシシズムにとらわれず自分のことも相手のこともちゃんと見えてきます。自分には最低限「何が必要なのか」が分かるから、他人にも自分にも「求めすぎない」でいられるんです。ナルシシズムも必要なだけ持ちながら自己受容しているのが「生きていきやすい人」です。

    Q.うーん、なんとなく理解はできますが、まだまだできません。どうして私は、「今の自分」を愛せなくて、好きになってくれる人を好きになれないのでしょう?
    A.(P43)それは、あなたが「今より、もっと幸せになりたい」と願い続けていることに原因がありそうです。自分の気に入らない部分(容姿や性格や、現在の生活など)を受け入れられないあなたは、「理想の彼の隣にいる、未来の自分」に憧れているのではありませんか?あなたが恋している男性は、彼が「あなたを愛さないでいる」かぎり、理想の男性であり続けるでしょう。つまり、あなたは自分の「理想とする男性像」を、実在する「自分を愛してくれない男性たち」に投影しているだけなのです。「その彼と一緒にいる、未来の自分」を求め続けるナルシシズムが、今のあなたを苦しめている犯人なのです。

    Q.うわ、すごい勢いで刺さってきました。確かに、東京で一人暮らししているのに給料は安いし友達と比べると明らかに生活の差を感じます。そしてそれを「でもやりたいことやってるから」で正当化してる。本当はコンプレックスなのに。彼の隣にいる私は経済的な苦労なんて知らないくらいに笑顔で幸せそう…でも、これは幻想なんですね。そんなもの存在しない。あるのは常に「今の自分」。※ちなみに性格も悪い。
    A.そういうこと。じゃあ、「今の自分」を苦しめている、自己受容できなくさせているものの正体、これを探っていきます。端的に言うと、「心の穴」です。

    Q.「心の穴」?
    A.(P54)自分の心のまんなか、あなた自身の中心に「ぽっかり、穴があいている」のをイメージしてみてください。あなたの「生きづらさ」や「さみしさ」、劣等感、不安、嫉妬、憎しみ、罪悪感といった、自分ではコントロールすることができない感情や考え方が、その穴から湧いて出てきているのを想像してみてください。それが、あなたが埋めようとしている穴です。心の穴を埋めてくれる相手は、どこにもいない。

    Q.結局自分じゃないと「心の穴」は埋められない、ってこと?
    A.ちょっと違います。(P59)穴を「ふさごう」とせずに「かたちを知ろう」とすること。心の穴の「かたち」というのは「こういう状況だと、こういう気持ちになる。こう行動してしまう」という、感情や考え方のクセのことです。コントロールできない感情・行動だけでなく、自分でコントロ―ルできると思ってる部分も含めて。恋愛の場面にかぎらず、自分は「どんな目にあうと、どんな気持ちになるのか」「どんな人から、どんなことをされると、どんな反応をするのか」を、見つめてみましょう。かたちがわかってくれば、やがて心の穴は、あなたを以前ほどには苦しめなくなっていくはずです。

    Q.苦しい作業です。なんだか欠点ばかりのような気がして。「そんな風に捉えてしまう自分が嫌」とますます自己受容から遠ざかっている気がしてきます…
    A.(P61)自分の欠点だと思うところはむりやり直そうとしなくていいんです。(P57)あなたの魅力も欠点も、心の穴から生まれているんです。ほんとは、「欠点そのもの」よりも、あなたが自分の欠点について抱えている劣等感や罪悪感といった自己否定の気持ちの方がはるかに他人にとって迷惑だし、しばしば人を(とくに「あなたに恋をした人」や「あなたを愛している人」を)傷つけるのです。

    Q.うーん、確かに。そんな風に思っている人を好きな、相手に対して失礼ですよね。でもじゃあ、開き直ればいいということ?
    A.それは違います。(P62)わざと無神経に「心の穴」を押し付けるような迷惑を周囲にかけるのは「自己正当化」といって、インチキの自己肯定です。

    Q.じゃあ、欠点は一体どうすれば?
    A.そもそも「欠点を直したい」という思いだって、「嫌われたくない」「見捨てられたくない」というナルシシズムが、もとにあるんです。ただ「ああ、私の劣等感や罪悪感や自己正当化って、ナルシシズムなんだな」ということを、わかっていればいいのです。(P64)そして、あなたに心の穴があるように、もちろんあなたが好きになった「彼」の心にも穴はあいています。

    Q.「嫌われたくない」って、ナルシシズムなんですね!っというか、「心の穴」って、そもそもなんですか?一体誰が私の心に穴をあけたんですか?
    A.「生きづらい」という感覚があるとしたら、それがあなたの「心の穴」です。心の穴は、あなたがまだ幼く心がやわらかいころ、自我が固まる前に、あなたの「親」または「親がわりに育ててくれた人」によってあけられたのです。

    Q.やっぱり結局は親。
    A.次の中に心あたりはないですか?(P111)親の望み通りになれなかった劣等感、愛してほしい分だけ愛してもらえなかった悲しさ、あなたを否定した親への腹立たしさ、あなたがしたこと・しなかったことに対する罪悪感。もしそういう記憶がなかったとしても、どんなに「いい親」だったとしても、これらの感情のいくつかを味わわされて、心の穴の「クセ」をつけられたのです。自分の意志で親とは違う生き方を選んだつもりでいても、それは親から植え付けられた心の穴にまだまだ支配されて続けているということ。

    Q.確かに、劣等感、寂しさ、罪悪感は当てはまっています。そして、親と違う生き方を選ぶことで親を超えたような感覚になることがありますが、違うんですね、まだまだ支配されているんですね。
    A.(P109)すべての「親」は子どもの心に穴をあける。(P115)恋愛関係とは、幼い頃の親との関係(ひずんだ感情)を「くりかえす」ことで「やりなおし」ていることが多いからです。あなたに生きづらさを感じさせる「心の穴」があいてしまったのは、あなたの親たちにも心に何らかの矛盾があり、親も「心の穴」を抱えていたからです。

    Q.この「心の穴」のせいか、幸せすぎると不安になることがあります。なぜかいつも、自分のことを貶めたり、わざと不幸に飛び込んでしまったり。先日友人に「それは自傷行為と同じだ」と言われました。
    A.幸せすぎると不安になってしまうということは、「自分の喜び」を受け止めきれないということで、つまり自己受容していないからです。(P116)原因としては、①幼い頃の「愛情不足」または「過剰な愛情」が心の底に刻まれていて、それとは違う感情に、違和感を覚えてしまう。②あなたのお母さんが、「あなたの心に、うえつけた」罪悪感。

    Q.②かもしれません。母は私が生まれてまもなく離婚して、その後も再婚することなく、仕事に集中していました。専業主婦になりたかったにも関わらず。だから、私も仕事は絶対続けなきゃいけないし、離婚した母より幸せになる=結婚をする、ということに罪悪感を持っているのかもしれません。
    A.(P121)とりあえず、一回ぜんぶ親のせいにしてみよう。まず、あなたが「さみしい」ことや「恋愛が苦しい」ことを、劣等感や罪悪感に振り回されて「自分が悪い」と思わないことです。それは「あなたのせい」じゃないんです。「あなたの心の穴のせい」なんです。次に、あなたを苦しめている「恋の相手のせい」にもしないことです。自分が「なぜ彼に恋してしまうのか」を考え、自分の心が「どんなかたちをしているのか」をしっかり見つめていきましょう。そこに「あなたの心の穴が、どうしてそういうかたちになったのか」の手がかりが、かならずあります。

    Q.そういえば、二村さんはAVの監督をされていますよね。セックスについてはどんな風に考えていらっしゃるんですか?
    A.(P134)セックスというのは、ただ体が接触するだけではなく、「心の穴に触ってもらえて、それを一瞬ふさぐことができたような気がする」ものです。自分の心の穴をふさごうとする代わりに、相手の心の穴に触ろうとしてみてください。こんなことはないですか?「魅力のない自分のなんかの体では、満足してくれないだろう」とイジけてたりしながら愛されるのを待っています。「愛されたい」ということは、「自分の欲望を満たしてもらいたい」ということでしょう。しかし、彼女は「相手の心の穴に触ろう」とはしていません。本当に気持ちのいいセックスとはお互いの「肉体」と「心の穴」を肯定しあい、受容しあうセックスです。(P172)セックスの時は、相手の目を見る。「目を閉じてする」ということは、相手を無視して自分の世界に入り込み、相手の体を使ってオナニーしているのと同じになってしまいます。また、女性が「イッたフリをする」のもオナニーと同じです。気持ちよくないのにイッたふりをして、それに悩むくらいなら、イクことにこだわらないことです。もしあなたが相手の目を見てセックスするのが怖いんだとしたら、それは相手が「私を愛していないこと」が伝わってきたり、自分が「相手を愛していないこと」に気づいてしまったりするのが怖いからかもしれません。

    Q.「イッたふり」やめてみますね(爆)。最後に、こんな私にメッセージを。
    A.(P176)今のあなたが「できないこと」や「思わずしてしまう、やめられないこと」に罪悪感や劣等感をもたなくていいのです。そして「未来の自分が、できるようになりたいこと」ではなく「今の自分が無理なく(がんばらずに)できること、やりたいこと」と、「人に頼まれなくても、放っておかれてもしてしまうこと」をどんどん、していってください。(P178)「愛されたい」という気持ちが強いあまり、人に愛してもらうことを求め、自分からは「相手を愛する」ことをせず、愛されるのを待っている。だから愛されない…、という悪循環で苦しくなってしまうことに問題があるのです。「自分が人から好かれるとか嫌われるとかいうこと」に無頓着になってみてください。それができた時、つまり自分で自分を受容した時に初めて「人から愛される」ようになるんです。(P184)恋の本当の目的は「相手を得る」ことではなく、自分を「わかる」ことにあるのです。(P194)相手の心の穴が、自分の心の穴の「どんな部分に、どのように反応したのか」を考えるんです。どっちが「正しいか、まちがってるのか」「良いか悪いか」で判断することをやめましょう。

    • naonaonao16gさん
      raindropsさん

      自分で言うのもあれですが…
      よくまとまってると思います(笑)

      またぜひ遊びにきてくださいね^^
      コメ...
      raindropsさん

      自分で言うのもあれですが…
      よくまとまってると思います(笑)

      またぜひ遊びにきてくださいね^^
      コメントとても嬉しかったです!
      2021/01/26
    • 本ぶらさん
      コメント楽しく読まさせてもらいました。
      ただ、“実はそうじゃないのに見せかけの好意をよせてくる男”って。
      つまり、「エッチ目的だけのオト...
      コメント楽しく読まさせてもらいました。
      ただ、“実はそうじゃないのに見せかけの好意をよせてくる男”って。
      つまり、「エッチ目的だけのオトコ」、あるいは「他にもつき合っている女性がいるのにつき合おうとするオトコ」ということでしょうか?
      だとしたら、それはそういうものですよ。オトコって、多かれ少なかれそんなもんだと思います(爆)
      恋愛とかエッチって、そもそも自分本位なものような気がするんです。特にオトコのエッチ観は、いわゆる第二次性徴の頃に目覚めた後は、あとは好奇心と欲求(欲望ではなく欲求ねw)に果てしなく追いまくられているようなものです(^^;
      つまり、それは例のiku問題に絡んでくるわけですよ。欲求に追いまくられているわけですから、若い頃のオトコのエッチは自分本位にエッチラオッチラしてそれで終わり、というのが基本形だと思うんです(ーー;)

      そんな、どーしようもないオトコですけど。大体30歳前後くらいになると、微妙に変わってくるんです。
      それは、体力が衰えてくること、仕事等でストレスが高まること、あと、友だちが結婚してしまうこと少なくなることで、10代後半から20代の気力体力が充実していた頃には忘れていた「寂しい」って感情を思い出す、みたいなとこがあるんだと思うんです。
      そんな風に「寂しい」という感情を思い出すことで、たんなる自分本位のセーヨクではなく、安心できる誰かと繋がっていたいというエッチに変わっていく、そういうもののような気がするんです。
      実は、30代前後に性の意識が変わるのは女性も同じみたいで。ぶっちゃけた言い方すると、もう清楚を装わなくてもいいみたいな意識に変わる人が多いような気がします。
      そういう意味では、オトコとオンナって、よく出来てるなーなんて思ったり(^^ゞ
      つまり何を言いたいかと言うと。
      『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』は、そういうタイプの人だからということではなくて。
      もしかしたら、愛してくれない人を好きになってしまう「時期」にすぎないってことはないですかね?
      女性も20代の頃は、気力体力充実しているわけです。さらに言えば、若い女性という絶対的価値があるという意識はあるでしょうから、どうしても普遍的な魅力のあるオトコ(つまり、あなたを愛してくれない人)を好きになってしまう。
      でも、男も女もいつまでも20代ではいられない。年をとっていく体からの要求で否応なく自分が変わっていく。
      それは、オトコはより女性を内面から愛する方向に変えていき、女性はオトコに好まれるような方向に変えていく。
      そういうことのような気がしますけどねー。
      ま、一つの意見として(^^ゞ
      ちなみに、うざかったら無視してくださいw
      2021/02/23
    • naonaonao16gさん
      本ぶらさん

      こんばんは!
      コメントありがとうございます^^

      なるほど、欲求ですね。
      まあ、そうですよね、そうなんだと思います...
      本ぶらさん

      こんばんは!
      コメントありがとうございます^^

      なるほど、欲求ですね。
      まあ、そうですよね、そうなんだと思います(笑)

      20代と30代では、確かに恋愛の仕方というか価値観は変わってくると思います。ただ、様々なカップルの形ができたことにより、意識を変えなくてもいい、むしろこのままでいい、という価値観もあるような気がしていて。

      もうすでに「愛してくれない人を好きになる」時期をとっくに過ぎているので大変お恥ずかしい限りではございますが、何度か読み返したいコメントだと感じました。たぶん、早く目を覚ませと、自分に変化を与えたいタイミングで。
      2021/02/24
  • めちゃくちゃ面白かったです。本の内容自体はまあまあでしたが。何が起こったのかきいてください。

    まあ…この手の本を買うのはちょっと抵抗がありますよ。そして読みはじめると最初は「わかるー!自分を肯定できないから他人のことも……うんうん、これってまさに私のことだわ!」とかベタに共感していました。しかし、どうも話がふわっとし続けているので「うん、心の穴の形が〜っていうのはわかったけどじゃあ具体的にどうしろっていう話なの?」と若干もやもやしてきて眠くなってきました。しかし、
    筆者が女子の悩み相談に答える、というページから雲行きがかわってきたのです。いや、途中までは「恋に悩む頭の悪い女子」と「解決法をやさしく説くアドバイザー」の構図だったのが、ヤリ捨てに悩む女子に対し二村さんが「浮気論」みたいのを話し始めたところで、その女子が「理屈はいい!お前がなんで浮気するのかをきいてるんだ!」と逆上して二村が狼狽えたことで形勢が一気に逆転し、そこから怒涛の展開になっていくのです。
    続く信田さよ子との対談がまた一手一手がプロの棋譜を読むようにスリリングな展開なんですが、信田が「こんなに深いことを書いた素晴らしい本はない」と絶賛しながら「女には菩薩のような存在でいてほしい。そうすれば男がフラフラしていてもおさまる」という主旨の二村の発言を受けて「あんないい本書いておきながら最終的に出てきた本音がそんなにださいものでいいの?がっかりだよ」とタコ殴りにされて終わり、対談式のあとがきで「もうこれどうまとめればいいの?」と弱腰の二村に女性担当編集が「調子にのってるなと思ってた」と追い討ちをかける、という、
    いや、モテ本でこんな展開、見たことないよ。っていうありえない事件が起きてます。最後に全部ひっくり返して終わる、って、乾くるみの「イニシエーション・ラブ」以来の衝撃。恋愛指南本とか自己啓発本にそんなトリックが待ってると思わないじゃないですか。

    そしてそんな筆者と読者のウジウジ感を笑い飛ばすような湯川玲子の明るい解説で本は終わります。

    実際すごい深いテーマを捉えていると思うので、ほんとにいい本だし、フェミ界の著名女子がコメントを寄せるのも納得。

    私自身が読んで感じたこと。二村さんは「世の中にはいい恋愛(自己受容)と悪い恋愛(インチキ自己肯定とナルシシズム)の二種類があるので、いい恋愛ができる相手といい恋愛をするようにしよう」と訴えていて、一見「そうだな」と思うのですが、具体的に今までの恋愛を思い起こすと、「この人とはいい恋愛だった」「この人との恋愛はナルシシズムに満ちた悪い恋愛だった」ということはなく、常にどちらの側面も持ち合わせているものではないか。自分自身も「驚くほど俗っぽくダサい感情」から「自分が消えてやさしさのかたまりになるような瞬間」までを常に行き来しているし、相手もそうだと思うし。だし、その清濁の混じり合いが醍醐味なんじゃないのかなー。などと思いましたが、さて。

  • 前著「すべてはモテるためである」を立ち読みして興味を持ったけど結局購入するのに躊躇してしまっていました。
    上野千鶴子氏の絶賛帯や信田さよ子氏との対談とか、これは読まなくちゃと購入しました。
    途中思い当たるところが多すぎて付箋だらけになりました。
    心の穴という表現でその人の引っかかっているもの、特に罪悪感に焦点を当てているのは納得できました。
    そのまなざしは優しいのでえぐられるというよりも癒される体験となりました。
    インチキ自己肯定が許容される男性に比べて、女性はそれができにくいという現実の指摘も鋭い!と思いました。
    つらい恋愛に悩んでいたころの自分に読ませてあげたかった。

    引用
    あなたは「負けず嫌い」か「じつは、とてもガンコ」か「めんどくさい女」じゃないですか?それも、あなたのナルシズムなんです。
    心の穴を埋めるために恋愛をしていると、かならず「しっぺがえし」をくらいます。
    あなたの魅力も欠点も、心の穴から生まれている
    恋愛関係とは、幼いころの親との関係(ひずんだ愛情)を「くりかえす」ことで「やりなおし」ていることが多い
    計画していた未来や「こうありたい」自分の欲望にこだわらない

  • 自己肯定感の重要性
    自分を受け入れる方法として、人のためになることを選択する。

  •  親友が突然貸してくれた。
    「最初は薄っぺらいな〜と思って読んでたけど後半すごいの!一気に深くなるの!!」
     とのこと。いや、けっこう前半からなかなかいいこと書いてるなあと思ったよ。笑
     恋愛のことだけじゃなく、心の穴の存在、心の穴ができてしまう過程、穴を埋めようとするんじゃなくその形を理解することでネガティブな感情を抱かなくて済む/折り合いをつけられるようになるのだとか。結局、根本的に満たされないものを他人に求めても無駄ってことよね。自分自身で折り合いをつけないと。
     結婚する前、まだ彼女もわたしも恋愛市場に首までズブズブに浸かっていた頃、一緒にこういう本を読んで、あーだこーだ考えて迷って悩んで右往左往して、って一緒にやってたら楽しかったかなあ。わたしは結婚が早かったから、この本みたいな理性的な大人の恋愛は経験しなかったような気がする。若い頃の恋愛もしんどかったけど、とっとと結婚してなかったら、大人になってからの恋愛もしんどかったのかなあ〜しんどかっただろうなあ〜

  • 出会うべきにして出会った本。自分がいま考えていることを言語化にしてくれた。そして素直に最後の対談を隠さず載るのが良い。
    誰しも心の穴があり、それと生きていく方法を探ってる。これで自分の状態と周りの環境に対しもうちょっと寛容になれるかもしれません。

    分かるのと、許すのと、愛せることは、別々。

  • 楽しいはずの恋愛が苦しく、つらいものになっている人たちに贈る「なぜ」と「どうしたら」の本。

    基本的には女性向けに書かれた本ですが、男性が読んでもほぼそのまま当てはまると思うので、男女関係なく読む価値ありだと思います。
    特に恋愛に関して苦しさや劣等感を持つ人が読むと、ヒントがあるかもしれません。

    本を読んで思ったのは異性恋愛関係なく、自分を大切にしたうえで善き人であれということかなと思いました。
    拘りたくなる時こそ手放さなくてはいけないのかも。

  • 自己受容とナルシズムの話。
    昔なら激痛だったであろう本。
    今読んでも余裕だった。
    少しは自己受容出来始めているのかな。
    そして自己受容しようとしてる人が、最近は近くに居てくれているからかな。

    被害妄想や自己否定から抜けられない女性に読んでほしい。できれば嫌われる勇気とセットで。

  • 恋がくるしい時のお助け本。
    恋愛の苦しみはあなたが悪いわけじゃないけど、誰かがなんとかしてくれるわけじゃない。だから一緒に恋のしくみを見直しませんか。そう著者は呼びかける。
    キーワードは5つ「恋」「愛」「ナルシシズム」「自己受容」そして「心の穴」。これらの概念の関係からみえてくるのは、例えば「なぜあなたは愛してくれない人を好きになるのか」という謎。
    キーワードを理詰めで考えているのにもかかわらず、どきりとする具体例が散りばめられていて自分を振り返るのに役立つ。自分と相手との関係を見つめるのに役立つ。しかも、自我が芽生える前の親との関係まで振り返る。
    恋が破れるか、恋が愛に変わるか。恋は必ずそのどちらかのしかたでおわる。
    まだ見ぬ愛の関係はきっと誰もが本当に望んでいる関係だ。

  • おもしろかった!
    心の穴、恋と愛について。

    「トラウマ」ではなく、誰にでもある心の穴だということ。親のせいに、いったんしてみること。
    下手な毒親本より、私は受け入れやすかったなぁ。

    本の外にある著者自身の立場や女性との関わり方にもやっとするところもあったのだけど、それが文庫版に収録された、一般女性との相談コーナー、信田さんとの対談、女性編集者とのあとがきで、一刀両断されていたのもよかった。

    それまで教える立場だった著者の「心の穴」や、男性の「インチキ自己肯定」が明かされていく。
    著者の率直さと、はっきり言える編集者がよかった。


    (印象的だったところの引用↓)

    よく読んでみると、そこにはかならず「愛されるファッション」とか「恋する女性は美しい」とか「モテの極意」とかが書いてあるんですが、恋愛の相手を「愛することができる女になろう」とは、どこにも書いていないんです。

    ——-

    恋とは、なんでしょう?
    「恋する」とは「相手を求め、自分のものにしたがる」こと。  
    つまり恋とは、「欲望」です。

    ——-

    「愛する」ということは「相手を肯定する」ことです。  
    つまり相手が存在していることを、心から「いい」と受けとめることです。あなた自身の損得勘定とは関係なしに。

    ——-

    恋と愛の、両方の感情があるから「恋愛」なのだと言うこともできます。  
    そして「恋したこと」が「愛すること」のキッカケになることもあるでしょう。  
    でも「自分で自分のことを嫌いな人」「自分自身を受け入れていない人」には、恋した相手を愛することも、愛せるような相手に恋をすることも、なかなかできないのです。

    ——-

    多くの女性誌は「恋してる(恋したい)女性にモノを売る」ための広告。

    ——-

    なんだかんだいって、男性が「自己肯定しているような気分」になりやすくできているのが、今の社会です。  
    言い方を変えるなら「肯定できる自分の姿・あり方に、男性のほうが多様性がある」ということです。
    男と女の性欲の違いという話に発展すると別の問題も出てくるのでここでは深く触れませんが「男性には風俗店のような場所で性欲を解消する方法があるけど、女性にはない」ということも、男性が社会から守られていることのあらわれのひとつといえるでしょう。

    そのころの社会は、男たちのためにだけあり、女には「女だけの社会」があったのです。  
    しかし時代の移り変わりとともに、男の社会に女性も加わるようになり、今では「女が、外で仕事をすること」は、あたりまえになりました。

    ——-

    ネット上で「自分のネガティブ感情を自分のために言葉にして、書く」というのは、無意識のうちに人の目を気にすることであり、どんどんナルシシズムを強めていきます。本人に客観性があって、読んでくれる人を楽しませるために書いているなら、いいのですが。  
    気持ちを吐き出したい、自己分析したいという目的なら、自分だけしか見ないノートに書いた方がいいでしょう。

    ——-

    恋するということは「欲しがること」ですから、苦しいけれど刺激的で、楽しくもあるでしょう。  
    愛するということは「欲しがること」ではなくて、自分や相手の心の穴を「見ること」です。もしかしたら、それほど楽しいことではないかもしれません。
    「見る」とは、正しいか正しくないか、よいか悪いかの判断をせずに、おたがいの心の穴を認めて、受容することです。目の前にあるものを大事にするということです。  
    それは、何かを「あきらめること」でもあります。

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著者プロフィール

アダルトビデオ監督。女性の欲望・受け身の男性・同性愛や異性装をテーマに「痴女」「レズ」「男の娘(おとこのこ)」などのジャンルで革新的な演出を創案。ソフト・オン・デマンドの若手監督エロ教育顧問も務める。近年は文筆家として活動の場を広げており、著書に『すべてはモテるためである』『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』(共にイースト・プレス)、『僕たちは愛されることを教わってきたはずだったのに』(KADOKAWA)、共著に『どうすれば愛しあえるの:幸せな性愛のヒント』(ベストセラーズ)、『欲望会議「超」ポリコレ宣言』(KADOKAWA)などがある。

「2019年 『あなたの恋がでてくる映画』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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