恋愛論 完全版 (文庫ぎんが堂)

著者 :
  • イースト・プレス
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本棚登録 : 218
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781671123

作品紹介・あらすじ

著者自身の初恋の体験をテキストとし、色褪せることない普遍的な恋愛哲学を展開した名著『恋愛論』が「完全版」となって復活!表題作に加え、有吉佐和子さんへの追悼文「誰が彼女を殺したか?」、直筆マンガ「意味と無意味の大戦争」、本人による解説「巨大なナメクジ」ほかを収録。さらに、「最後のあとがき」を新たに加筆。

感想・レビュー・書評

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  • 先日亡くなった橋本治さんの本って読んだことなくて一冊手に取ったらめちゃくちゃ面白かった。

    講演会?かなんかで話したのをそのまま文字にしただけだから、話し言葉でダラダラしてて脈絡ないし内容飛ぶしその上書き方が古くて全体的に読みにくかったりはあるけど。

    でもこの時代に恋愛とか結婚という観点から男女平等について考えぬいて、日本の宗教のなさが恋愛に「宗教」を求めてしまう構造とか、とにかく今読んでも全然追いつけないくらいトガりまくった一冊だった。

    働く上での男女平等がようやく着目され始めたような時代に
    パートナーシップや家族間での男女平等に言及するとか、しかも性的指向についてもかなりオープンに語ってて、つがい至上主義なこの国のこの時代に?ってほんと鳥肌たちまくった。

    周りに流されずに自分と向き合って時代とか空気とかそういうものに惑わされないで己と向き合った人の言葉が心強い。

    逃げ場として閉じ込めた女たちへのエール、そして何も考えられなくさせられて天使になっちゃった男たちへのエール、どちらもバカみたいな愛に溢れてる。恋愛論ってタイトルなのに恋愛ってこの世に存在を認められてないからねってもうそんなめちゃくちゃな感じが面白かった。

    今の時代のフェミニスト風潮に居心地が悪くて、なんか疲れちゃってる女の人にこそお勧めの一冊。なぜ自分がこの時代の流れに疲れという嫌悪を示さざるを得ないのか、自由になるチャンスはいくらでもそこらじゅうに転がってる、いつでもここにあるそんなさまざまな生きる可能性を怖くないよと笑って差し出してくれた一冊。

  • この本を読んでつくづく他人の恋愛なんてどうでもいいよ、と思ったので、「恋愛は個人的なこと」というのは確かにそうだと感じた。
    しかし「恋愛とはこういうものだ」「こういうのは恋愛じゃない」なんていうこと自体がナンセンスだと思うので、みんな好きなようにしたらいい。
    恋愛が個人的なものなら「恋愛論」なんてなんの意味があるのか。
    これは過去に自分がした恋愛を後から分析して語ったもので、こんな話聞いて本人以外の誰が楽しいのだろう、と思ってしまった。

  • 映画「キャロル」のレビュー記事で取り上げられていたので手に取り、著者の過去が語られ始めたところですでに読んでいたことに気づいた。『桃尻娘』シリーズが大好きだった30年近く前に読んで、そのあと自分の中では読んでないことになっていたのは、まああんまりピンとこなかったのだろう(そして陶酔能力が低いまま今に至る)。

    今回は「あーはいはい」「しらんがな」が7割、「あるある」「爆笑」が1割、「よかったね」が2割。講演時の橋本クン(ここはカナ)より年を食ってしまうと、まあそんなものである。あとがきからすると、著者も40過ぎた中年に「大丈夫」と伝える気はなかったようだし。ただ、彼の美しい思い出話に対してよかったねと思えたことにはほっとした。そこにすら白けた気持ちになってしまっていたら、自分の硬直加減に暗澹とするところだったから。

    勝ち負けとかその場で一番の男とか、そういうのは別にどうでもよくて、やさしくしたりされたりしていい相手がいたらすてきよねって思うだけだけど。そういうのは本書によると恋愛ではないらしく、だったら恋愛じゃないということでいいです。そのあたりをだれかに教えていただく気もないし、ただこの本は橋本クンの恋バナ本としてキュートなんじゃないの、って思う。

  • 1986年当時の彼女に進められて読んだ覚えがある。
    この年になって、ふと当時自分が何を思い何を考えていたんだろうって思ったときに、この本のことが頭に浮かんだ。

  • 正直この本のなにが良いのかさっぱりわからなかった。

  • 小説家デビュー前の保坂和志が関わった、当時としてはひどくラディカルであったろう講演の記録。
    高校の同級生である「彼」に対して抱いた初恋の経験を中核として、橋本治の恋愛観が語られる。これまで彼の著作を何作も読んできたけれど、とても飄々とした人物だという先入観があった。ところがところが、彼はことあるごとに泣く。講演の最中でさえ、母親の思い出を語りながら、ひとしきり泣く。なんでこれを先に読まなかったのだろう、ひたすら後悔。

    「恋愛至上主義者」橋本治が生涯に経験した恋愛の全貌はもはや永遠に知ることはできないが、本書を読む限りでは、時代の規範と橋本治個人の欲望がしのぎを削った結果、あまりに普遍的でプラトニックな恋愛観が吐露される、性愛以前、以後の。。。具体と抽象が一致した愛。

    もう、あまりに心を動かされてしまって涙すら出なかった。はっきりと言える、橋本治こそ、有限の生を生きるしかなかった天使だ。男と女の隙間という天界を、悩み苦しみながら生きた天使だ。比喩ではなく、まじで天使だ。3度死にたいと思った、死にそうになった、そして実際に死んでしまった天使。

    そうやって順を追って思うと、今更ながら目頭が熱くなってくるが、そんな液体で彼(彼女、もしくはそれ以外)の恩に報いるつもりはない、はやく乾いてしまえこの涙。

    天使にとって、橋本治の死には、ほとんど意味がない。この世にいる全人類にとってはあまりに多大な喪失だけれども。

    本を読もうと思うけど何を読んだらわからないという人たちに向けて。ならば本書を何度か読み返すだけで、そうとうの真理を手にすることができる。これ、私自身が責任を持って保証しますほんとに。

  • 話の中心は、著者の初恋です。それがまた、純真だなあと思った。実は僕って「純粋」っていうのはあんまり好きではないし、それにそれは今回のこの事象にたいしては違うと思って考えたら、純真という言葉が出てきた。それも、しおしおしたりもするんだけれど、全体として「陽」に感じた。とまあ、序盤のあたりからの感想はこんなところなんですが、やはり著者がさらけだしてくれた「恋愛体験」からみえるのは、根本の恋愛感情なんです。社会ってものをとっぱらって、人間として裸の状態での「恋愛感情」がつぶさに見える。そして、男が男を好きになる初恋が語られて、たとえば、「男が男に恋する」という単調な字ずらだけをみるならば、「えーー?!」と退く男は多いと思うのだけれど(ぼくだってそうだ)、そこで壁を作らずに、とにかく話を聞いてみようという気で読むと、男が男を好きになることだって妙なことじゃないってわかってくるんですよ。「ああ、そうか、そういう形だってある」とわかるし、案外、自然なんです。ホモセクシャルだとかレズビアンだとか、LGBTって言われますけども、本書を読むと、そんなマイノリティとして認識されて、敬遠されがちなひとたちや意識が、あたたかな隣人として身近に感じられるようになると思います。そういう、誤解を解けるようなくだけた告白に本書はなっていて、LGBTはまったく自分たちと違うひとなんかじゃない!ってわかり始めると思いますよ。

  • 私の頭が良くないためか、書いてあることがほとんどわかりませんでした。すごいことを言っているとは思いますが、出てくる例え等(赤胴鈴之介等)がピンとこなくて最後まで読めませんでした。恋愛論の部分は成る程と思いました。

  • 男性と女性を超えた存在、橋本治さんの恋愛論。自身の体験から、恋とは何かを語っています。恋愛はやっぱり個人的なものだと思うので、共感できたりできなかったりですが、ひとりの人の考え方が赤裸々に見えて、こういう考えもあるのかと興味深く読めます。男性でも女性でも書けなくて、橋本治にしか書けないであろう、恋愛論。

  • 面白いけど、難しかった…

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著者プロフィール

橋本治
1948年3月25日 - 2019年1月29日
東京生まれの作家。東京大学文学部国文学科卒業。イラストレーターを経て、1977年に小説『桃尻娘』を発表、以後文筆業を中心とする。同作は第29回小説現代新人賞佳作となり、映画・ドラマ化もされた。1996年『宗教なんかこわくない!』にて第9回新潮学芸賞、2002年『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』にて第1回小林秀雄賞、2005年『蝶のゆくえ』にて第18回柴田錬三郎賞、2008年『双調 平家物語』にて第62回毎日出版文化賞、2018年『草薙の剣』で第71回野間文芸賞をそれぞれ受賞。
編み物にも通じており、1989年『男の編み物(ニット)、橋本治の手トリ足トリ』を刊行。自身の編んだセーターを着てCMに出演したこともあり、オールラウンドに活躍を続けた。

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