ミリタリーテクノロジーの物理学<核兵器> (イースト新書Q)

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781680057

作品紹介・あらすじ

20世紀の科学者たちが開発し、実戦に投入された想像を絶する軍事技術の数々。中でも核兵器は人類に大転換をもたらした。本書は、政治的・倫理的な是非は一切問わず、純粋に物理学の観点から、その凄まじいメカニズムに迫っていく。原子核が膨大なエネルギーを生み出す仕組みから、兵器に利用する際の設計方法、冷戦時代につくり出された究極の産物まで、直視しなければ見えてこない「核」の本当の姿を、素粒子物理学者が描きだす。

感想・レビュー・書評

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  • 「核兵器」をテーマした本というと、軍縮やパワー・オブ・バランス、あるいは平和構築といった政策論が連想されるが、本書は珍しく、純粋にサイエンスの視点から「核兵器とは何か」を教えてくれる本である。著者の多田将は高エネルギー加速器研究機構に所属する素粒子物理学者で、最先端の宇宙物理学を一般向けに平易に解き明かす著作で知られている。

    本書は、核物理の基礎から、原子炉工学、濃縮過程、そして核兵器のメカニズムと実装に至るまで、極めてわかりやすく解説されており、出色の出来栄えである。これだけボリュームがありかつ難しい内容を平易に解き明かす著者の力量は見事。現代社会に必要なサイエンス・リテラシーを涵養するのに絶好の一冊である。

  • 多田将 核兵器を説明した本。核分裂を利用した原子爆弾や核融合を利用した水素爆弾 のメカニズム、原子炉と核兵器の違いを理解できた。意外と単純。

    「質量欠損=エネルギー」「原子核の分裂→陽子と中性子をくっつけるエネルギーが発生」というのは 面白い

    原子→原子核のまわりに電子がまわってる
    原子核=陽子(プラスの電気)+中性子(電気なし)

    核融合と核分裂が 核兵器の原理そのもの
    *核融合は 原子核同士がくっつくこと
    *高温→電子を取り除く=原子核が剥き出しになる→強い力が働く→核融合する

    不安定な原子核の核分裂
    *不安定になる直前の原子核→中性子を与える→核分裂→エネルギー発生
    *エネルギー=陽子と中性子をくっつけるエネルギー=強い力+電磁力

    原子炉=核分裂を緩やかに行う
    核兵器=核分裂を一瞬で行う

    連鎖反応
    *核燃料(核分裂物質)に中性子を照射→核分裂→中性子が飛び出す→隣の核分裂物質が吸収→核分裂
    *核兵器は 連鎖反応を利用する

  • 核兵器の原理を解説している。
    著者のこと全く知らなかったのだが、画像を見て愕然としてしまった。金髪のロン毛。全く似合ってない。

  • 核物理学の精髄である核兵器の原理を噛み砕いて、説明。原子力発電、IAEAなどについての知識も得られた。本当に無知だった。

  • 核融合
    高温にして電子が取れてプラズマに。
    1億℃くらいに高温にして運動速度を上げると原子核がくっつく。

    核分裂
    ガソリンの燃焼の100万倍、TNT爆弾の1000万倍のエネルギー。
    中性子を減速材でゆっくりぶつけ不安定にし、分裂させる。

    制御棒
    中性子を吸収。
    消費される中性子=生成する中性子:臨界状態
    中性子が増加:超臨界状態。極めて短時間に行うのが核爆弾

    ウラン235と原子炉で作られるプルトニウム235のみが制御しやすい実用燃料。

    ガンバレル型原爆
    砲身状の構造でウラン235のコアどうしを離して詰め、片端の起爆剤でぶつける。反応効率低い、安全性に劣る。広島に投下。

    インプロージョン型原爆
    球状で内側に向かって爆薬を爆発させ、押し固め、過早爆発を防ぎ、ベリリウムの中性子がプルトニウムを臨界にさせる。長崎に投下。現在のすべて原爆の方式。

    水爆
    原爆を起爆装置にした重水素の核融合。

    中性子爆弾
    中性子は金属を透過し水で出来た人間にて吸収される。
    核融合による中性子のほうが高速のため水爆型になる。

  • 最後の章の「核兵器」にまで展開する話の進め方が秀逸だ.連鎖反応を制御する減速材や冷却材の所はよく理解できた.重水と軽水の話は良かった.長崎に投下されたインプロージョン型の原子爆弾の説明は,現役時代の仕事で一部の部品に馴染みがあり,楽しく読めた.このような知識は常識として持つべきで,知ろうとしない輩がとんちんかんな議論をしている場面が多々見られるのは,嘆かわしいことだ.

  • 理系音痴にもわかる物理学による核兵器の解説書、おおむね解りやすいという書評が多いが、どうしてどうして凡人には結構ハイレベル、それでも読書前より少しは理解力が高まって夷るような気になれる本。

  • 最高の内容。とても判りやすい。

  • 高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所・准教授にして、(恐らくは)ミリタリーマニアの筆者による「文系人間にもよく分かる(分かったような気になる)核兵器のしくみ」。これだけで全てが分かるわけではないだろう。が、少なくとも、核兵器の原理である核分裂と核融合、原発に欠かせない核燃料と減速材、核兵器のしくみと作り方、原子爆弾・水素爆弾・中性子爆弾などの種類による違いなどなど、「聞いたことはあるが意味が分かっていなかった」言葉や概念について、筆者の軽妙な語り口により、途中で挫折することなく、一通りの知識が得られるのが素晴らしい。専門家による、一般人向け新書本のお手本のような本。

    何よりも、北朝鮮やイラン関連のニュースを見聞きする際にこれまで感じてきた「なぜ重水炉ではだめで軽水炉ならいいのか?」「核兵器を作るのになぜ遠心分離機が必要なの?」「イランが苦労してるらしいウラン濃縮ってそんなに難しいの?」、はたまた「日本は核兵器を作ろうと思えばすぐにでも作れると言われてるけど、そんな簡単にできるもの?」といった疑問がなんとなく分かるようになる。外交政策や国際問題の専門家にとっても必須の教養が、このわずか180ページの本には凝縮されている。

    思えば戦後の日本では、トップ大学ですらまともな軍事学の研究もされず、理系の分野でも、研究者が一般向けに、軍事技術を解説する教養書を出版することなどあまり考えられなかったのではないか。戦後70年経ち、ようやく我が国もそのようなタブーから脱し、科学的観点から安全保障について議論できるようになってきたとすれば、それは喜ばしいことと思う。

    筆者には、ぜひその類まれな「難解な事柄を分かりやすく説明する能力」を発揮して、シリーズ第2弾、第3弾を執筆していただきたい。

    (2015/11/25読了)

  • 原発と原爆がどう違うのか、素人の僕でもとても分かりやすかった。
    まだまだ核兵器は進化し続けていることを知り、使うことが無いような世界であることを願いたくなる

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