ニュートリノ (イースト新書Q)

著者 :
  • イースト・プレス
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レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781680163

感想・レビュー・書評

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  • 素粒子物理学の専門家により、素粒子について、特に素粒子の実験についてわかりやすく説明した本。素人向けの講演で使用した資料が基になっており、わかりやすい。絵も独特で面白い。役立った。
    「今、僕がこのようにiphoneを持つことができるのは、僕の手の表面の原子を覆う電子と、このiphoneの表面を覆う電子が、電子同士で反発しあっているからです。もしこの反発しあう力がなければ、僕の手もiphoneも本来はすかすかなので、僕はiphoneを持つことができないのです。世の中の物質がこの形を保っているのは、実は、電子がもつ力、電磁力のおかげなのです」p20
    「皆さんが中高生の頃に物理学の授業で力学を学んだ際、抗力や張力、応力、摩擦力など、様々な力が登場したことと思いますが、それらは、本を正せば、重力を除いて、すべて電磁気力だったのです」p20
    「陽子の崩壊を観測する目的で、カミオカンデはつくられました。つまり、当初はニュートリノの検出器ではなかったのです。結局、カミオカンデでは陽子の崩壊は観測されず、実験は失敗に終わり、カミオカンデはその役割を終えようとしていました。そのとき、1987年2月23日1635分、大マゼラン星雲内で起こった超新星で発生し地球にやってきたニュートリノを、カミオカンデが捉えたのです。これにより、日本はニュートリノ研究の主役へと躍り出て、カミオカンデの実験グループを率いていた小柴先生は、この功績によりノーベル賞を受賞されました。今でもニュートリノ研究において日本が世界をリードしているのも、この超新星の観測がそのすべての始まりだったのです」p102
    「(梶田)ノーベル賞受賞の際の日本での報道を見ていると「ニュートリノに質量があることがわかった」ことばかりが強調されますが、これは副産物のようなもので、本質的に重要なことは、ニュートリノが、時間とともに他の種類のニュートリノに変化する、ということなのです」p125
    「2010年1月から2013年5月までの期間の実験で、ミューニュートリノから電子ニュートリノへの変化という、それまで人類が誰も見たことがなかった現象を、世界で初めて発見するという快挙を成し遂げました」p148

  • ニュートリノとは何かを、やさしく紐解いてくれる一冊。物理学を勉強してない私でも理解できた。あらゆる物理現象や実験を猫にまつわるたとえ話で解説してくれる。天才的に解説がうまい方だが、多分すごい変わった人だと思う。笑

  • まず、表紙のスーパーカミオカンデの写真が美しい。図書館で借りて読んだけど、表紙のために本買おうかと考え中。内容はさすが多田先生、ニュートリノのこと何もわからない私でもちゃんと読めて何となくは理解できました。Twitterでの猫画像の拡散に例えたり、シュレディンガーの猫の思考実験で猫を○すのは猫好きには耐えられないと、白猫と黒猫に変えて説明したり、とても楽しく読めました。

  • この本の前に読んだ、ニュートリノってなんだ?よりも分かりやすかった。
    2冊を読んだことにより、理解が深められてよかった。

  • Kindle

  • 簡単にニュートリノを説明しようとは試みてはいるがやはり難しいというか、頭に入ってこない感じ

  • 多田将さんの書く科学解説本は優しい。たまにブルーバックスなどで見かけるのだが、より正しく書くことにこだわっている人が多い。多田さんはそうではなく、より正しく伝えることにこだわっている。そのことが十分に伝わってくる。ニュートリノについて書かれたこの本も、本来はひどく伝えるのが難しいものであったはずだ。それが多田さんの手にかかると不思議にすっとその内容が頭に入ってくる気がする (残念ながらその多くはすぐに抜けてしまいもするのだけれども...)。

    ニュートリノに質量があるということが2015年の梶田さんのノーベル賞受賞とともにニュースになったが、本質的なことはニュートリノの種類が変わっていく、いわゆるニュートリノ振動が確認されたことであるということがよくわかる。そのニュートリノ振動理論も、3人の日本人、坂田昌一、牧二郎、中川昌美によって提唱され、さらにそれがカミオカンデの実験によって確認されたというのも素晴らしいことだと思う。そして、同じく日本人の小林・益川の両人によって発見されたCP対称性の破れをニュートリノでも確認しようとする実験が進行中だという。多田さんいわく「絶対に負けられない戦い」だとのこと。偏狭なナショナリズムとは違う誇りが感じられてとても素敵な感じがする。

    多田さんも参加するカミオカンデのニュートリノ実験は、小柴さんと梶田さんの二人のノーベル賞受賞者を出している先端かつ成功した基礎研究プロジェクトである。小柴さんが超新星爆発によるニュートリノをぎりぎりのタイミングでとらえたのはパスカルの「Chance Favors the Prepared Mind」という言葉を思い出させるし、梶田さんがTVのインタビューで何の役に立つのかとの質問に「私には解らない」と答えたことはかつて米フェルミ研究所の初代所長ウィルソンが「国防には直接役立ちませんが、我が国を守るに値する国にするのに役立ちます」と答えたことを思い出させる。カミオカンデの業績は、ノーベル賞でよく報われたとはいえ、もっとよく知られてほしいな。

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    多田さんの他の著作のレビュー

    『宇宙のはじまり』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4781680038
    『すごい宇宙講義』のレビュー
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    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4781606245
    『ミリタリーテクノロジーの物理学<核兵器>』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4781680054

  • 文系出身で素粒子や宇宙については初心者向けの書籍を数冊読んで(すぐに忘れて)いる程度だが、さくっと読めた。ニュートリノに絞った内容なので初めて知ったことが沢山。
    ただ200頁と薄い本の中、平易なイメージでの説明が多くて、ほんとのところはどういう理屈なのかわからないままのところがあるので、読後感は少しもやっとしたものが。高校で行列もやっていない程度では、そのレベルはお呼びでないのかもだけど。

    挿絵が恐ろしくへなちょこ。

  • 請求記号 429.6/Ta 16

  • こんなに平易な文章でど素人に分からせるのはある種の能力、しかも見た目はお世辞にも?という人材が然るべき馬を与えられて活躍できるならまだ日本も捨てたもんではないという気がするくらい。
    ニュートリノ研究の意義がよく分かりました、これがどう世に役に立つのかなどプラグマティックに考えてはいけません、どこかの党首と同じ発想ですから。真面目に愉しむためには金がいるんです、それを惜しんではいけないということ。
    でもやっぱりこの世界も最終的には数学の世界は理論・実験いずれに携わろうとも必要なのね、知らないフリをしてましたが改めて駄目押しを喰らいました。

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著者プロフィール

京都大学理学研究科博士課程修了。理学博士。高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所、准教授。著書に『すごい実験』『すごい宇宙講義』『宇宙のはじまり』『ミリタリーテクノロジーの物理学』『ニュートリノ』(以上イースト・プレス)、『放射線について考えよう。』(明幸堂)がある。

「2018年 『核兵器』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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