カラー版 身近な鳥のすごい食生活 (イースト新書Q)

著者 :
  • イースト・プレス
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781680644

作品紹介・あらすじ

スズメが群がり鳴きながら食べるのはなぜか? 共喰い・死体喰いも辞さぬカラスの食欲、強靭な胃袋で硬い実をすり潰すハト、人や動物の行動を利用して巧妙にエサを捕るハクセキレイ…。鳥が空を飛ぶには高カロリーが必要である一方、肥満は飛翔の大敵。「軽量化」が生きる術である鳥たちの食生活は工夫と策略に満ちていた! 都市に暮らす鳥を長年観察しつづけた著者が、適者生存のサバイバルを生き抜く鳥たちの食卓に迫る。この一冊で、身近な鳥を「見る目」が変わる。

感想・レビュー・書評

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  • この本をチラ見した妻曰く「この人知ってるよ。高校の時の先生!」...だと。
    へ~、びっくり、そんな奇遇なこともあるのですね。
    とはいえ、鳥を食べるのは大好きだが、鳥の食生活などに興味なしの妻は読む気なし。
    自分はと言えば、なぜかグッと親近感が増しちゃいました。

    身近な鳥35種のほとんどを目にしたことがあるので書かれていることにもしばしば納得します。
    その一例がジョウビタキ。
    なぜか自分を知っているような気がしていたが、そのとおりだった。
    草をむしったり、土を掘り起こしたりしていると、近くまで来てじっと見ているのだ。
    その場を立ち去るとすぐにムシ探しを始める。お目当てはコレ。
    自分の行くとこ行くとこに、こっそりついてくるので可愛い。

    ワカケホンセイインコも身近な鳥になってしまいましたね。
    緑で奇麗なのだが近くで見るとでかいし気が強そうで少し怖いんですよね。
    幸か不幸か今年は見ていないのだが、こいつらが近所に大量にいたら嫌だな。
    木の実を食い荒らし、糞害も起こしそう。
    あまり増えすぎずひっそりと暮らしていて時々姿を見せて欲しい鳥です。

    表紙に控え目に[カラー版]とあるのですが、草木や花だけでなく鳥自身の姿も美しいので、豊富なカラー写真に惹きつけられました。
    日頃よく見る鳥たちが、普段どんな食事をしているのかが良く分かる、鳥にとってのグルメ本ですね。

  • 身近で見かける鳥の生態を知ることができて面白かった。
    カラスは一度に食べきれない時は餌を隠すんだけど、再び食べる時は、小動物は先、クルミは後みたいに、いわゆる賞味期限順に食べるんだって。凄い!

  • 表紙は桜の花をくわえるスズメ。
    乙女心をくすぐりますね。

    でもこれ、動物行動学用語で「盗蜜」。
    万引きは犯罪です。
    メジロやヒヨドリのように嘴がストローのように細長い鳥では、
    嘴を花にさしこんで蜜を吸うことができます。
    しかし種子を食べるのに適応したスズメの嘴は太くて短く、
    吸蜜には適応していません。
    花の蜜線付近を嘴でちぎって蜜をなめるのです。

    花粉も運ばず、蜜だけ横取りされる、
    花にとって迷惑な行為、それが「盗蜜」。
    (ただし、ソメイヨシノに限っては、オオシマザクラとエドヒガンの雑種のため、種子ができないので、実害があるわけではありません)

    とはいえ、花をくわえている写真は可愛い。
    でも本を開くと、とても可愛い鳥が
    ムカデ、カナヘビ、ミミズ等をくわえる写真が。
    (それって、私たちが豚や鶏をかかえているみたいな?
    そう思うと食肉工場の方に感謝です)

    もっとすごいのはモズの「ハヤニエ」。
    ヨーロッパの(だけじゃないだろうけど)歴史でみた
    見せしめの串刺し刑みたい!

    でも人間を利用したハクセキレイ、ジョウビタキ、カツオドリによる「オートライシズム」
    コサギとアオサギの「おねだり漁」などは
    かかわる人間たちにとってとても可愛い行為なのでは。

    ヤドリギとレンジャクの不思議な関係、
    30%体重を増やして春に渡去するツグミの話も
    面白いですね。

    そして避けて通れないカラス。
    意識したことなかったけど熱帯ジャングル生まれのハシブトガラスと北方の草原性のハシボソガラスといます。
    それぞれに特徴がありますが、ハシブトガラスは都市生態系のスカベンジャー(清掃人)なので、ちょっと感謝の気持ちをもったほうがいいかも。

    面白くていろいろ伝えたくなってしまいます。

  • 身近にいる鳥たちの、驚きの食生活を紹介。
    1章 都会の鳥  2章 郊外の鳥  3章 秋・冬の鳥
    4章 水域の鳥
    カラー写真が豊富。索引、参考文献有り。
    スズメやカラス、シジュウカラ、カルガモなど、
    身近にいる鳥たち35種に焦点を当てて、食生活を紹介しています。
    鳥たちは、生存するために、子孫を残すために、
    身体の内外や食生を特化して進化し、生き延びています。
    空を飛ぶから軽量化は大事。身体自体を軽くするだけでなく、
    排泄も食事も同様。そのために特化する嘴や舌。
    体内の酵素、砂のうの筋力、吸蜜に特化したメジロの舌の驚き。
    何を食べるか・・・ダイエットとエネルギー補充との関連。
    しかも、鳥の種類によって違うこと。
    何でも食べちゃうものもいれば、季節によって食生が変化したり、
    ハシブトガラスのように共食い(死体)も辞さなかったりする。
    カワセミは雛の身の丈に合った魚を運ぶそうだ。
    多種の群れやヒト、モグラ等を利用してたりするものまで。
    紹介と説明は、平易で分かり易い文章。
    写真も適切で、動物写真家かと思うほど、鳥の細部が分かります。
    何よりも、行った場所が多くて嬉しい。
    今度行くときは、鳥にも注意を払って歩こうっと。

  • かなりのコスパ。写真もいいし、脳みそを使わないのでリラックスできますねぇ。小難しそうなオビ煽りですが、全く難しくもない易しいエッセイ的。しかしリファレンスもしっかり載ってるので、気になる箇所は文献を探しやすい。探鳥をしていても、あまり鳥の食生活を考えていなかった人にもおすすめ。センサス的に鳥を見るのも楽しいですが、特定鳥種を狙って見るためにはビヘイビアとかフードリソースの知識は必須ですね。

  • コサギとアオサギにえさのおねだりされたい。

    カラス、怖い。『カラスの教科書』で、上書きしよう…。

    食べる姿は、見ていて飽きない。
    くちばしだけでなく、舌も食べ物に合わせて形が変化しているのだ。

    自然科学系の本はいつも思うのだけど、広く根気よく、観察・まとめ・文章にしてくださるおかげで、好奇心が喜んでます。ありがとうございます。

  • すごくおもしろい本でした。よく見かける鳥でも、何をどうやっていつ食べているのかは、あまりよく知りませんでした。食性、嘴の形、消化、生息環境など、いろいろな要素を味方につけて、したたかに食べ、しなやかに生きている鳥たちの姿。そんな姿に少し近づけたような気がします。

  • 〜20200430 身近な鳥のカラフルな写真が豊富なのは嬉しいのだけど、食べたものの写真は私にはトラウマになりそう。

  • 【目次】(「BOOK」データベースより)
    1章 都会の鳥(スズメーおしゃべり採餌と桜の盗蜜/ツバメーアリもトンボもミツバチも捕らえる ほか)/2章 郊外の鳥(メジロー花蜜やコナラのシロップを吸う/シジュウカラー四季折々の食事の工夫 ほか)/3章 秋・冬の鳥(モズー小さな猛禽の必殺技/ツグミーモグラを利用したミミズ狩り? ほか)/4章 水域の鳥(カワセミー海に出たカワセミ/カルガモー10羽もの子どもを育てるシングルマザー ほか)

  • <目次>
    第1章  都会の鳥
    第2章  郊外の鳥
    第3章  秋・冬の鳥
    第4章  水域の鳥

    <内容>
    鳥の解説を「食」に特化した本。もうこの時点で”勝ち”だ。写真も多く、なんでそんな形なのか、そんな翔び方なのかよくわかった。鳥が意外とグルメで甘いもの好きなのも。また鳥に種を食べさせる植物たちの工夫も分かってしまう(ヤドリギの種の話とか…)。

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著者プロフィール

唐沢孝一
NPO法人自然観察大学学長。1943年群馬県生。1966年、東京教育大学理学部卒業。都立高校の生物教師のかたわら都市鳥研究会代表、日本鳥学会評議員・幹事等を歴任。現在、NPO法人自然観察大学学長。野鳥をはじめ昆虫や植物の生態を研究するほか、自然観察会を主宰し講師をつとめる。都市鳥関係の著書に『カラスはどれほど賢いか』(中公新書、1988)、『スズメのお宿は街のなか』(中公新書、1989)、『カラー版 身近な鳥のすごい食生活』(イースト新書Q、2020)、自然観察の著書として、『カラー版 目からウロコの自然観察』(中公新書、2018)、『唐沢流 自然観察の愉しみ方』(地人書館、2014)。東京の自然誌に関する著書として、『江戸東京の自然を歩く』(中央公論新社、1999)、『よみがえった黒こげのイチョウ』(大日本図書)などがある。

「2023年 『都会の鳥の生態学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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