ロボットは東大に入れるか (よりみちパン! セ) (よりみちパン!セ)

著者 :
  • イースト・プレス
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本棚登録 : 249
レビュー : 47
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781690643

作品紹介・あらすじ

「24時間、疲レマセン。フヘイフマンモ言ワナイシ、大シタコストモカカリマセン。」みんながわかる、人工知能の最前線!今後、「人間」に残される領域とはなのか?朝日新聞「天声人語」はじめ、各メディアで大注目の同名プロジェクトの全貌!

感想・レビュー・書評

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  • AIが生活に不可欠になっている、また急激な勢いで進化しているにも関わらず、法整備を含め一向に社会政治的な議論が深まらない現状に警鐘をならしている。

    例えば、法律や判例を取り込めばロボットは裁判官になれるかという問いに対して著者はこう答える
    「裁判や医療診断は最終的にはコンピュータには任せられない。なぜなら機械は責任が取れないから」
    ただ人間は疲れたりブレたりするので、コンピュータの力を借りながら行うのが精度がよいというアメリカの事例を紹介する。

    なお著者曰く
    「何が一番嫌ですか?」→「嫌だと思うことを嫌だ!と言えなくなること」
    (谷川俊太郎からの4つの質問に対する答え)
    最高の哲学だと感じた。

    ロボットは東大に入れるかというテーマはホッブズとデカルトから始まった400年来の問い。ホッブズ(1588-1679)は理性は計算できる、デカルト(1596-1650)は言語を話す機械は作れないと主張。
    犬と猫の識別をどう数学で表現するか。チェスの世界王者になるのと東大に入るのとではチェスの方がはるかに狭き門であるが、すでにロボットはチェスの世界王者を打ち負かしている。さらにロボットが東大に入るより難しそうなプロジェクトが:

    『ロボットは井戸端会議に入れるか?』(笑)

  • コンピューターではなく、ロボットとした所が良いですね。
    読んでみて面白かった上に、奥の深い本でした。

    先日、今年の模試の結果が新聞に載っていましたよね。
    日本でも、このようなプロジェクトがある事に感激!

    『チューリングマシン説明できますか?』という本で、チューリングマシンについて理解はしたつもりだったが、この本を読んで見て、表面でしか理解していなかった事がわかった。
    また、『クラウドからAIへ』という本で、現在のAIは、ビッグデータを活用した推論という事を知ったが、この本を読んでみて、実際にどのように活用するか、また、推論がいかに難しいかを知った。

  • これはオモシロイ。
    人工知能が現在どこまで辿り着いているのかを分かりやすく教えてくれる。
    結局、出題をどう理解するかがすべて。自然言語処理能力というのだそうだ。
    当たり前だが、プログラミングさえできればコンピュータは必ず正解を出力する。逆に言えば計算しかできないのだ。
    人工知能がどのように考えているかを知ることで(考えているんじゃなくて計算してるだけだけど)、はじき出された結果の持つ意味が理解できる。
    また人工知能の進化を理解することが、今後の社会における人間の役割を考えることにつながるという主張は素晴らしい。
    今こそ社会科学の出番なのに。

  • 改訂新版が出た今となっては情報はもう古いのかもしれない。しかし,基本的には偏差値50より少し下くらいのスコアを出しているようだ。ざっくり言えば,受験生の半数は東ロボくんに負けるかもしれない。

    問題は,そういう東ロボくんでもできるようなレベルのことがどんどん機械に置き換わると,同じレベルかそれ未満の能力の人がどうなってしまうのかということ。

    AIに仕事が奪われるところを見極めようとするプロジェクトの取り組みを高校生向けに伝えたいくつかの講演をまとめた感じ。


    *****
     人間が一所懸命考えて,それで思いつくことは,高校生でも大学院生も研究者も,じつはそれほど変わらない。でも,研究者とみなさんとで決定的に違うところもある。それは,研究者はイメージを数学の言葉にする方法論を持っている,という点なんですね。(p.28)

     別に,東大に入らなくてもいいんです,それは大きなテーマではありません。東大のような最難関校の定員は大学定員全体の1パーセントに過ぎないですから。本当に重要なのは,ふつうに学校に入って,仕事につく人たちの平均的な能力を,人工知能が上回ってしまうときがくるのか,ということです。そこで仕事をしている人たちは,機械には代替できないような能力で勝負しなければなりません。その能力が,高度に人間らしい能力で,しかも誰もが身に着けられるわけではないものならば,今まで以上に高収入を得られることでしょう。いっぽう,それが「イラストを判別する」というような,人間ならば誰もができるものならば,それはとても単価の安い仕事にならざるを得ません。機械が労働市場に参入してくる,とはそのようなことです。(p.103)

    「ロボットは東大に入れるか」というプロジェクトを始めたとき,ある新聞に「国立情報学研究所『ドラえもん』計画」という見出しの記事が掲載されました。残念ながら,東ロボくんはどこまでいってもドラえもんにはならないでしょうけれども,みなさんにはぜひ考えてほしいことがあるんです。
     それは,ドラえもんがいる世の中になったら,のび太くんは何をして働いていくんだろう,ということでなんです。ドラえもんがいたら,たしかに宿題もしてくれるし,困ったことはみんな解決してくれる。そのとき,のび太くんは何をして暮らしていくのだろう。「ロボットに働かせて遊んでいればいい」と思うかもしれないけれども,ロボットが働いて得たお金は,ロボットをつくった会社やその会社がある国だけじゃなくて,のび太くんのところにもちゃんと回ってくるのかしら。ドラえもんと一緒に,のび太くんもジャイアンも幸せになるには,どんな社会の仕組みをつくっていけばいいんだろう。
     私は,そのためには,近代以降,私たちがつちかってきた,「役に立つ」「便利になる」というのとはまったく違うタイプの知恵や仕組みが必要になるような気がしてなりません。このプロジェクトを通して,みなさんも一緒にそのことについて考えてもらえるなら,とてもうれしく思います。(pp.110-111)

     世の中では英語がとても重要だと言われますが,外国語の能力は,母国語の能力を超えることはありません。ですから,英語の能力を高めたいのであれば,同時に日本語の能力を高めないといけないわけです。その意味を含めて,母国語の能力はたいへん重要です。大学に入学した後,国語力が高い人は伸びますし,そうではない人は伸びません。大学で何を学ぶにしても,ぜひ,母国語の能力を高めるように心がけていただければと思います。(p.170, 佐藤)

  • 人工知能だけでなく、高齢者、障碍者、移民、LGBT、子育て家庭などなど、すべて「どう共存するか」に尽きる問題のように思う。
    暗記問題は知識を覚える問題というのは言われてみれば納得だけど、たぶん受験生だった頃にはそれを理解できていなかった。だから苦手だったんだろうな。

  • http://naokis.doorblog.jp/archives/can_robot_pass_UOT_exam.html【書評】『ロボットは東大に入れるか』〜意外な試験結果
    http://naokis.doorblog.jp/archives/jobs_replaced_by_computers.html【書評(続)】『ロボットは東大に入れるか』についての考察。生き残らない書店・料理店と生き残る書店・料理店


    <目次>
    まえがき
    第1章 <東ロボくん>と人工知能の現在
     センター入試は楽勝か?
     コンピュータの「知性」とは?
     消える職業、変わる学校
    第2章 <東大>への大いなる一歩
     代々木ゼミナールによる結果報告と概評
     「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトチームによる講評と展望
    第3章 <東ロボくん>の将来/私たちの未来
     東ロボくんの「かたち」
     ロボットの人権
     機械の深化と人間の進化
    おわりに

    2016.02.17 新井先生の本を探して
    2016.02.23 読了

  •  有限の知識であっても特定の条件の下における特定の手続を同様に繰り返すことができるならそれらは式に書ける。有限の知識であっても特定の条件の下における特定の手続を同様に繰り返すことができたとしても言語を使う能力はまねできない。画像を四角く切り分けてどんな部品がいくつあるかを数えよう。回転させ反転させてだいたい重なる部品は同じとみなそう。

    『私たちの「本当の気持ち」を理解する代わりに、たとえば眼の動きや心拍数等から近似したい。猫とは何かを把握する代わりに、写真にどのようなパーツや色合いが出てくるかで近似したい。文章の意図を理解する代わりに、文字の配列具合などで近似したい。』80頁

  • 話題になった『AI vs. 教科書の読めない子どもたち』の作者、新井紀子先生の過去作ということで読みました。
    たった5年で技術がこんなに進歩したのかと、この本と『AI vs.〜』を読み比べてみて思いました。
    『ロボットは東大に入れるか』の出版時、東ロボくんの偏差値は50を下回っていましたが、今の東ロボくんはMARCHと呼ばれる東京の有名私大に合格できる能力を持っているそうです。
    他にも将棋や言語翻訳など、様々な面で人工知能は進化し続けています。

    この本は題名こそ『ロボットは東大に入れるか』となっていますが、新井先生が本当に問いたいのは、有能なロボットを前に人間はどうするか、だと思います。
    「敵を知り己を知れば百戦危うからず」
    新井先生は「敵を知る」ということの先陣を切り、私たちにわかりやすく説明して下さっています。
    でも、「己を知る」ことが出来るのは自分自身だけです。
    自分には何が出来るのか、それを見極めてロボットには出来ないことをする必要性を強く感じました。

    とても勉強になる本です。
    ただ、出版が2013年で現在と少しギャップがあるので、『AI vs.〜』と合わせて読むことをオススメします。

  • 人工知能に関する本としては、若干、古くなった印象がありますが、この本の面白さは、失われていないように思います。

    自然言語の理解の難しさや、そもそも「理解する」ことの意味など、AIを通じて、人間の活動や認識について学ぶこと、気づくことは多いですね。

    物理を専門とする者としては、物理の問題を解くためのアプローチが面白かったです。
    我々は、問題の設定にあたり、ほとんど無意識のうちに、非常に多くのことを、当たり前としているのですね。
    ちょっと反省しました。

  • 「AIで試験問題を解く」ことの、とてつもなく難しいことをやっていることが、ちょっとだけ理解できる。
    人に学習させる過程にも転用できるか?

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著者プロフィール

新井 紀子(あらい のりこ)
1962年、東京都小平市生まれの研究者。国立情報学研究所社会共有知研究センター長・教授。専門は数理論理学、遠隔教育。東京都立国立高等学校、一橋大学法学部を経てイリノイ大学数学科に留学し、同大学数学科大学院修士課程に進学。1990年に修士号を取得。帰国後の1994年に一橋大学法学部を卒業、専業主婦を経て広島市立大学情報科学部助手に着任。1997年東京工業大学博士。2006年から国立情報学研究所教授。
代表作に『AI vs.教科書が読めない子どもたち』。同作で2018年日本エッセイスト・クラブ賞、山本七平賞を受賞している。

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