風車の恋歌 (ソーニャ文庫)

著者 :
  • イースト・プレス
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781696034

作品紹介・あらすじ

商人の娘・芹は、若君の乳母を務める母に呼ばれ、城へおもむくことに。だがそこで芹に与えられた役目は、若君・知澄の側女となることだった。母からの突然の命令に愕然とする芹。知澄はそんな芹を、ある誤解からひどく詰り、乱暴に抱いてしまう。互いの事情を知らぬまますれ違う二人。それでも、知澄を慕う芹は、彼の歪んだ欲望を受けとめ続けていた。一方知澄も、芹に対する激情は恋だと認め始めるが、その矢先、二人は引き離されて……。

感想・レビュー・書評

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  • 同作者の既刊3冊とも読んでおり、遅ればせながら本作も読みました。私は元となったという中華風の話を知りませんが、読んでいくにつれて『初恋の爪痕』をベースに母の愛情を逆の形で書いたような作品に感じました。

    前3作に比べると濡れ場シーンは少ないながらも相変わらず読ませる文章で、好きなシーンもあるんですが、個人的な好みとして本作とはあまり相性が良くなかった…。なので毒ばかり吐いてる感想になります。すいません。



    特に「乳母」というモチーフが大奥とかの春日局に駄々かぶりで、どことなく芹と知澄を交えた関係も、徳川家光とその周囲とお万の方の設定を色々と掻き回して作られていたように見えました。他にも既存の作品を感じるところがチラホラ…。そういう意味で言えば、芹、知澄、嘉野の関係が読んでいてあまり入って来ず、逆にヒロイン父とか側女2名のキャラクターの方が魅力的だったので出番が少なくて勿体無く思います。5章のラストでヒロイン父と知澄が話すシーン良かったです。

    人の言葉とか行動の意図とかってあまり知り得ることはないし、時と状況が変わっていく中で意味も捉え方も変わるので、答え合わせのように全てを知らなくてもいいんじゃないかなあと思うんですが、知澄が嘉野の死後に嘉野が芹を自分(知澄)の側女にした真意を鶴に問うシーンっているかな??って凄く気になりました。嘉野が芹の母である前に知澄の乳母であろうとしていたことは明らかだし、別に芹が心底本意じゃなかったって分かってればいいんじゃん…。知らないことはわかりたいっていう身分の高い人の傲慢さと思えば仕方ないのかな、というかそういう風に見えてしまいました。不思議なもので、自分の身近で与えられるものの大切さには当然のように気付かないんだなあ。草介さんほんとうに可哀想だし、この人は何のためにいたのよ…。
    あと、あくまで「和風」のストーリーで時代を定めてないのはわかるんですが、戦国と江戸がごっちゃになってるってわかる風俗なのはTLだから仕方ないんですかね。

    この作者の主人公は控えめで辛抱強い子が多いんですが、今作では母にも父にも自己嫌悪の捌け口にされてしまってたし、ヒーロー好きになるのも…ちょっとよくわからなかったので次は違う性格の主人公に挑戦して欲しいです。

  • 商人の娘である主人公は、若君の乳母を務める母に呼ばれ、城へ上がる。
    与えられた役目は想像もしていなかったことでーー。

    元となったネット小説を読んでいたのでどことなく知ってる展開だなと思って読みました。
    (舞台も違うし大幅に加筆、改変されていますが…)
    しかし相変わらずぐんぐん読ませる文章力。
    作者買いしてしまう作家さんの1人です。

    今作は悪くはないんだけど、ほぼ全編暗い雰囲気だし幸せや甘さも少ない(というか甘さなんてあるか?笑)
    正直そこまで冷たい母の愛情を求めて言いなりになってしまう主人公には共感もできない。
    (ただこの作者さんの主人公って基本“いい子“!)
    なんだか未来も大変そうだなあと思ってしまう。

    『初恋の爪痕』や『最愛の花』に比べると面白みと感動は薄かった。
    前作から1年半で既存の作品の焼き直しということで、今後新作は書いてくれるのか出版されるのか不安になるけど気長に待ちます。

    2017.7.3 出版

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