社会的ジレンマのしくみ―「自分1人ぐらいの心理」の招くもの (セレクション社会心理学)

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  • サイエンス社
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レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781905976

作品紹介・あらすじ

違法駐車、ゴミ問題、受験戦争からオゾン層破壊、地球温暖化まで-。社会の中では、自分一人得をしようとしたことが、思いがけない大問題になることがあります。これらの現象は「社会的ジレンマ」と呼ばれ、社会心理学において個人と社会をめぐる重要なテーマとして、研究が進められています。気鋭の研究者が人間社会に必然的に起こる「ジレンマ」を分析し、その解決策を提出。

感想・レビュー・書評

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  • 2階心理学コーナー : 361.4/SER/15 : 3410161853

  • 『社会的ジレンマのしくみ――「自分1人ぐらいの心理」の招くもの』〈セレクション社会心理学 15〉



    【目次】
    まえがき [i-iv]
    目次 [v-x]

    1 社会的ジレンマ 001
    1-1 自分で自分の首を絞める 001
    1-2 受験戦争 003
    1-3 大釜の飯 005
    1-4 ドウズの定義 006
    1-5 環境問題 009
    1-6 資源問題 012
    1-7 公共財問題 015
    1-8 他人を出し抜く 017
    1-9 自己防衛 020
    1-10 群集行動 023
    1-11 資源の有効利用 027
    1-12 コミュニケーション・ジレンマ 029
    1-13 社会的迷惑 031
    1-14 社会的調整 033
    1-15 意図せざる結果 034
    1-16 本書の構成 039

    2 情は人のためならず 041
    2-1 性善説と性悪説 042
    2-2 社会的ジレンマの実験 043
    2-3 利他的利己主義 046
    2-4 インセンティブ・コンパティビリティー 048
    2-5 囚人のジレンマ 051
    2-6 一回限りのジレンマと繰返しのあるジレンマ 055
    2-7 やさしいだけじゃダメ 059
    2-8 三人以上の社会的ジレンマの場合 064
    2-9 全員一致の原則 070
    2-10 集団とネットワーク 073
    2-11 まとめ 075

    3 信じる者は救われる 077
    3-1 協力的な人間と非協力的な人間の違い 079
    3-2 善人は腰抜けか? 082
    3-3 権威主義的パーソナリティ 084
    3-4 信頼の自己実現 086
    3-5 限界質量の理論 089
    3-6 ホッブスの理論 098
    3-7 安心の保証 102
    3-8 まとめ 104

    4 アメとムチ 106
    4-1 利他的利己主義の限界 106
    4-2 利得構造を変える 106
    4-3 監視と統制のコスト 110
    4-4 二次的ジレンマ 114
    4-5 二次的ジレンマの実験 117
    4-6 強制されればやる気も失せる 123
    4-7 日本人はアメリカ人よりも信頼感が低い 130
    4-8 日本人はアメリカ人よりも非協力的 137
    4-9 日本人は集団志向的か? 139
    4-10 まとめ 142

    5 戦略進化のシミュレーション 145
    5-1 戦略トーナメント 149
    5-2 戦略の進化 153
    5-3 集団内にネットワークが存在しない場合 156
    5-4 アメとムチの進化 160
    5-5 罰しない人間を罰する 163
    5-6 もう一つの可能性 166
    5-7 怒りの感情 169
    5-8 まとめ 174

    6 社会的効率と社会的公正 176
    6-1 感情と勘定 176
    6-2 社会的ジレンマと社会的公正 179
    6-3 「ただ乗り」により生み出される不公正 182
    6-4 利益の違いにより生み出される不公正 186
    6-5 「感情」と「勘定」の折り合い 191
    6-6 自分勝手な公正判断 194
    6-7 利益の正直な申告 198
    6-8 まとめ 204

    7 出口はあるか 206
    7-1 現代社会と社会的ジレンマ 206
    7-2 利己主義の徹底 210
    7-3 教育によって利他主義を育む 212
    7-4 安心の保証 215
    7-5 強権の必要性 217
    7-6 非協力は芽のうちに摘め 219
    7-7 まとめ 227

    文献案内 [230-242]
    あとがき [243-246]

  • さまざまな社会問題に共通に見られる「社会的ジレンマ」。この本では、ほとんど数式を使わず、社会的ジレンマに関する話題について幅広く論じられている。文章もとても分かりやすい。社会心理学的な実験によるアプローチが特徴。

    OPACへ⇒https://www.opac.lib.tmu.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB00853138&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB

  •  社会的ジレンマが継続する状況下では利他的利己主義をとると損をし続けずに済む。一対一のジレンマの下では応報戦略が有効である。プレイヤーが3人以上なら初期の協力者が限界質量以上だと高い協力率に落ち着き、限界質量以下では低い協力率に落ち着く。後者の場合に高い協力率を引き出すためには規制が必要で、協力者が非協力者に制裁を与えるのが有効であるが二次的ジレンマが生じる。

  • 放送大学「心理学実験3」社会的ジレンマに関する参考文献。

  • 面白い。「ルールを守らせる」ってほんと難しい。アメとムチだけではだめなのが科学的に証明されています。またアメムチの管理コストって結構大変。

  • 前回の本と続けて、山岸俊男氏の社会的ジレンマに関する本です。
    「自分一人くらいいいだろう」の心理や「コツコツやっても、要領のいいやつが美味しいところ持ってくもんな」などの心理を論理的に説明してくれます。簡単に読めるタイプの本なので、論理の深さは若干の物足りなさを感じますが、なかなか面白いです。
    個人的には、組織が大きくなればなるほど共通の意思決定が困難になるという命題につながるような気がして興味がわきました。

  • 社会的ジレンマ。つまり、「集団全体が自分で自分の首をしめている状況」。
    これだけでは分かりにくいと思いますので、具体例を挙げてみます。
    ちょっと変わった例が出てきます。
    *「受験戦争」…みんなが受験勉強をする。これは、社会的なコストが増えるものの、合格者は変わらず(「出し抜き型」)。
    この他にも、「大釜の飯」、「資源問題」、「男女差別」などが例として挙げられています。
    要は、自分一人では解決できない問題に対して、「それなら自分はいいや」という心理に陥る問題。全員が協力すれば結局は皆が得をするのに、それができない問題。これらをどのように解決しましょう?という疑問をする本だと思います。
    この問題に関する従来の研究をやさしく紹介・検討していきます。
    最後に著者の主張を簡単に紹介しておきます。
    これらの問題に対しては「精神主義的な方向」、つまり「皆が悔い改め、自分一人ぐらいという考えをすてればいい」という方向に向かっているけれども、そのような説教で解決できるほど簡単な問題ではない、と主張されます。そして、基本的には社会制度自体の問題とされるべき、という方向を採ります。
    この本は、「アメリカの方が日本よりも集団志向が強い」といったデータなど、社会心理学的な部分以外でも楽しむことができました。

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