フレンドリー物理化学

著者 : 田中潔 荒井貞夫

• 三共出版 (2004年4月15日発売)

感想・レビュー・書評

[ゆうせいさんの感想 · 2019年3月3日]

筑波大学の授業科目「物理化学概論」の教科書。
応用物理の入門に適する。

物性値が豊富に記載されており、読者が自分で各種の化学反応の見積りをすることができる。章末問題は具体的で非常に参考になる。抽象論に陥りがちな熱力学も具体性と深みをもって理解できる。
フレンドリーの名の通り堅苦しさはなく読みやすいが、厳密さもなくツッコミ所も多くある。細かい所は気にしないから、まず知識を身に付けたい場合に適するか。高校化学に沿って理論(理屈)が(やや浅めに)掘り下げられているので、少し応用的な高校の参考書としても最適である。
白さの強い紙に黒字と青色の2色で、シンプルながら見やすく工夫されている。

目次
0.序章
1.原子の内部
2.化合物の構造
3.気体の性質―自由な粒子
4.物質の状態と分子間力
5.溶液の性質
6.イオン性溶液の性質
7.状態変化に伴うエネルギー―熱化学
8.熱力学の第二法則―自然に起こる変化の方向
9.化学平衡と熱力学
10.酸と塩基
11.電気化学―化学エネルギーと電気エネルギー
12.化学変化の速度
13.核化学

著者プロフィール

鳥取大学名誉教授、医学博士。1936年 九州帝国大学医学部卒業。鳥取大学教授、九州大学教授などを歴任。日本薬理学会名誉会員。

「1987年 『科学論文の書き方』 で使われていた紹介文から引用しています。」