自我と脳 新装版

  • 新思索社
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (841ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784783501374

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  • 心と脳の関係を解明するために書かれた本です。心という物理的でないものが、脳という物理的なものから生み出されているという、よく考えるととんでもない事実は、古くは心と身体という心身問題、心は脳が生み出していると考えるようになった現代では心脳問題と呼ばれる極めて解決困難な哲学的な問題です。

    著者のポパーさんとエクルズさんの説というか仮説は、「自己意識」という概念を導入して自己意識が脳と相互に作用して、高度な意識が生み出されるというものです。そして、物理的な世界を「世界1」と呼び、個人の頭の中にある想いや考えを「世界2」と呼び、個人の頭の中から出てすべての人に共有できるものになったものを「世界3」と呼んで世界を説明するのが、ポパーさんの哲学です。

    脳という世界1が心という世界2を生み出し、その世界2が思想や制度や科学や技術という世界3を生み、それを活用して世界3でもあり世界1にもなる本や駅やさまざまな電子機器などを生み出しています。そういうところをけっこう詳しく書いていただいているのですが、私のような素人には専門的すぎて「ちょっと何言ってんのか、よくわかんない…」ところが多々ありましたが、読んで直ぐわかることって、既に知ってることだから読んでも面白くないわけで、わかんないところをなんとか解るようになれるようにするのが面白かったりします。

    まぁ、最低でも心脳問題というのはどういうことかということぐらいは、なんとなくわかったかもしれません。ちょうど、社会や他者の圧力やいじめやマスコミの公開リンチなんかについても考えていたので個々人の脳の中の世界2から社会という世界3がつくられて、それがまた、個々人の世界2を圧迫したりしているのだろうなぁなどと…ちょっと絶望的な気持ちにもなりましたが、こんなクソみたいな今とはちょっと違う世界3にするためには、みんなの世界2を使えるのだろうなという淡い希望も湧いたのでした。

    Mahalo

  • 1059夜

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