“自殺する種子”―遺伝資源は誰のもの?

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  • 新思索社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784783502258

作品紹介・あらすじ

熱帯の人々が数千年かけて作り上げた作物という遺伝資源は、人類共有の文化遺産ではないだろうか。キャッサバ育種25年の起承転結から。

感想・レビュー・書評

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  • 「低開発国」でほそぼそと農業をする人たちのために、キャッサバの育種に尽力してきた著者の経験談と提言です。

    現在人類が主食としている植物のほとんどは、南北問題でいうところの「南」が原産地です。

    遺伝子組み換え植物などが話題になり、バイオテクノロジーでなんでもできるような誤解が生まれていますが、現在の技術で介入できるのは枝葉の部分に過ぎず、根幹の部分は、何世代にも渡って人間にとって好ましい植物を選抜しつづけた先人の努力に頼っているのだそうです。

    実際の体験から、「低開発国」の研究機関の現状や、バイオテクノロジーに取り組む研究者たちの姿勢を踏まえ、著者は、「南」の国々の文化遺産とも言える栽培植物の恩恵に浴しながら、ゲノムの解析で特許を取ったり「特産」と称する野菜を囲い込もうとする動きに、苦言を呈しています。

    あまりなじみのない分野の本で、読むのに苦労しましたが、とても勉強になりました。

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著者プロフィール

1941年、大阪府生まれ。北海道大学大学院農学研究科博士課程修了。73年国際熱帯農業研究センター(CIAT:コロンビア)キャッサバ育種室長として着任し、変異の大きな巨大な育種材料集団をつくりあげ、83年タイ移転。CIATのアジアキャッサバプログラムを設立し、アジア各国で50以上の新品種が採用され、栽培面積は170万ha以上に及ぶ。98年に帰国し、神戸大学農学部教授を経て退官。カブトムシなど甲虫類の世界的コレクターとしても知られる。著書に『自殺する種子:遺伝資源は誰のもの?』『カブトムシと進化論:博物学の復権』(ともに新思索社)、『キリスト教・組織宗教批判500年の系譜』(明石書店)など。

「2009年 『虫のフリ見て我がフリ直せ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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