港の人

著者 :
  • 思潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (115ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784783702627

作品紹介・あらすじ

外界にむかって開かれた港のようにみずみずしく五感を解放して、変幻を重ねる風景と内面の意識を卓抜な詩法が捉えてゆく。やさしい眼射しと軽妙なペーソスやユーモアのなかにも、忍びよる死と老いの不安な想念を織り込み、横浜の港の風物を背景にひとりの人間の孤独で自由な生の軌跡を描く。話題の「手帖」連作に新たな新篇を加え再構成した長篇詩集。

感想・レビュー・書評

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  • こんなにライトヴァース(?)とは知らなかった。
    詩の冒頭だけでもこんなにカッコいい
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    「暑い朝/たくさんの観念が/鼠いろになって目の前を通りすぎていく」(1)
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    「にんげんはことばを発明したときから/反自然の存在になってしまった」(3)
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    「無は一つみたいだけれど/じつにたくさんある」(7)
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    「とくににんげんは/たましいのぶんだけ体重が加わっているから/抱きあっても/ただの重さではない」(12)
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    「黄が緑にちかいように/死は/どこまでも生にちかくて」(24)

  • 台地に向かうバスの発車を待ちながら「港の人」を読む。30年前のずっしりと重い本。急に冷え込んだ高野街道の古い宿場町はうすら寒い。週末はだんじり祭、今も準備の灯がともる。港は象徴となって様々なイメージを喚起してくれる、至福の時。もう少しで我が家。

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著者プロフィール

北村 太郎(きたむら・たろう)
1922年生東京まれ。1992年没。本名・松村文雄。東京大学仏文科卒。戦前から「ル・バル」に参加、戦後は鮎川信夫、田村隆一らとともに「荒地」を創刊し、戦後的感性を見事に展着させた詩的世界を確立した。1966年、第一詩集『北村太郎詩集』を刊行、以後数多くの詩集を上梓する。おもな詩集に『犬の時代』(芸術選奨文部大臣賞受賞)、『笑いの成功』(藤村記念歴程賞受賞)、『港の人』(読売文学賞受賞)など。散文集に『パスカルの大きな眼』『詩を読む喜び』『ぼくの現代詩入門』『樹上の猫』。全集的集成に『北村太郎の全詩篇』、未刊行詩とエッセイを集めた『光が射してくる』など。

「2021年 『文庫 センチメンタルジャーニー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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