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- Amazon.co.jp ・本 (80ページ)
- / ISBN・EAN: 9784783703242
感想・レビュー・書評
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【本書より】
かつて跣で甲板を走り
帆柱のてっぺん 破れた旗のかげで終日
阿呆鳥の行方を追っていたこともある
黒髭エドワード・ティーチの怒声に怯え
鱶が笑う海峡を泳ぎ切ったこともある
それなのに だね
アレクサンドル・セルゲーヴィチ
ラム酒の飲み方だけが思い出せないのだよ
やっぱり水で割るのだったかね 氷を入れて
雪でもいいのじゃないのかい?
さんざめくあばら家の戸をうしろでにしめて
冷たいいくひらかをまぶたにうけると
酔いはおのずと醒めてくる
かつていずれのわたりであったか
歌の調べを案じて馬上に
行き暮れたこともあったが
あの折りのわたくしはだれであったろう
この身であり この身でなかった幾人かの名を
蘇らせよ雪わりのラム!
(「雪わりのラム」より)
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