- Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784783707196
感想・レビュー・書評
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1969年に初版が発行され、現在に至るまで第30刷を重ねている茨木のり子の詩集。
他の詩集よりもみっちり載せられているので、少々読みづらいがその分多くの詩を楽しめる。
どれも強く優しく生きようと思わせてくれる詩ばかりだが、
自分のいる日本が行った蛮行の被害者をうたった りゅうれいえんの話 だけでも買って読む甲斐がある。
こちらも繰り返し読みたくなる詩集であった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大阪帝大卒の医者の夫を持っていて、恥ずかしいから出版しなかった詩集があるというのが良い。彼女の詩をみんなで読み会うとき、女性からの意見というものになんだか言い返せなかったのを思い出す。この人の詩を読んだ女性の感想は「絶対」であるみたいなところがあった。それが、この茨木のり子の詩の本質のような気がする。
「民衆のなかの最良の部分」とか、そういうものならば、男でも入り込める隙間があり、くみとれるのだけれど、ほかの詩について感想を言うのは、男性が女性の登場人物を書くようなものであり、それはつまりどこまでも女装した男になる。彼女の詩を読んだ感想も、女装したものであって、で、まあそれは間違っていて言ってはいけないわけでもない。
夫への愛、戦争への鎮魂と悲しみ、女性としての生き方。そのスタンダード、のような気がする。ちゃんとした夫がいて、愛があって、書いたものがそれに酔わないように、どこか攻撃性を装っている感じもした。
が、それだけでもない。首吊という詩とかに、わずかに、その作者の日常の感じが伝わってくる。首吊の詩が、一番作者と読者の距離が身近なような気がする。ほかの詩からは、何か「悔しさ」のようなものを感じて、近づきがたい。自分の感受性ぐらい自分で守れというような、歯を食いしばった感じがある。ある人が「読み違いのない表現が多いと思う。読者に自戒を促したり、心を落ち着かせて、考えさせる詩が多い。詩としての魅力がある。人生の先輩から教えられる宝。自己肯定を感じる」と感想を漏らしていたが、確かにそうだと思えた。ただ、それを和らげて名品にしあげていったのは、彼女の同人達によるもみほぐしであったとは、彼女自身も「櫂」小史で書いている。 -
凛とした、まっすぐな言葉。
かつて逡巡として考え、確認し、結論を出してきたいろいろなものごとをすっかり忘れてしまっていたことを、思い出させてくれる。
折に触れて自分の立ち位置を確認するために、そばに置いておきたい本だと思ったので、図書館で借りたのではなくちゃんと買いました。
それにしても、今の生活じゃ使わない、目にしない漢字や言葉やたくさんなことに新鮮な驚き。
こんなにも言葉の密度が濃く、吸引力が強い日本語を読んだのは久しぶりで、頭がクラクラした。-
「凛とした、まっすぐな言葉。」
読む時は襟を正します。。。
今、世田谷文学館で茨木のり子展開催中ですが、行けそうにないのが残念。。。「凛とした、まっすぐな言葉。」
読む時は襟を正します。。。
今、世田谷文学館で茨木のり子展開催中ですが、行けそうにないのが残念。。。2014/06/03
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昔読んだ本
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野球に喩えれば全部直球というべきか。
その感性に脱帽する。 -
真っ直ぐでしなやかにつよい。
そんな感性と言葉で綴られた詩集。
大好きです。 -
彼女の詩につづられる言葉のひとつひとつは、勢いのよい、かたくて丸いボールのように、読む者にむかって放たれる。
言葉は力強いけれど、けっしてとげとげしいものではなく、爽快な衝撃をもって受けとめることができる。
第二次世界大戦をまたぐ困難な時代に生きた彼女は、傷ついたはずの社会(あるいは自分自身)を、憐憫や釈明の装飾でつつまない。あるいは、それらに対して超然的な態度をとるわけでもない。
そこには、まっすぐな彼女の感性しか存在しない。
この詩集では彼女の肖像をみることができるが、知性をたたえる彼女の視線は、力強く、同時に慈しみを感じさせる。
震災後、有効な言説を提示しえた日本人文学者は一人もいなかった。誰かの言ったとおり、日本文学は終わったのかもしれないが、茨木のり子の詩集を読むかぎり、終わったのは日本人文学者であって、日本文学ではない、と心強く感じた。 -
『女がひとり
頬杖をついて
慣れない煙草をぷかぷかふかし』
厳しくてやさしくて美しい詩集
不器用にしか生きられない事を受け入れなくちゃいけない
戦争の話がはじめてなんだかすんなり入ってきた
『ああ わたしたちが
もっともっと貪欲にならないかぎり
なにごとも始まりはしないのだ』 -
[ 内容 ]
[ 目次 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
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☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]