杉山平一詩集 (現代詩文庫)

著者 : 杉山平一
  • 思潮社 (2006年11月発売)
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  • レビュー :2
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784783709602

杉山平一詩集 (現代詩文庫)の感想・レビュー・書評

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  • いつもトイレで詩集や和歌や俳句を読んでいます。小熊秀雄、正岡子規、斎藤茂吉……いろんな詩を用を足しながら学びました。ある日、母がこう言いました。「いまトイレに置いてあるあの人いいね~」。トイレから脱臭しきれなかった匂いが漂ってくる中、母が晴れやかな顔で言いました。「わかりやすいわ~。私でもわかるわ~。いままで、くら~い詩ばっかりやったから、とーってもいいわ」と感心しきりでした。
    杉山平一が亡くなったとき、戦後関西詩壇回想で足立巻一のエピソードを書いていたのを読んだぐらいだったが、ああこういう詩風なんだと頷いた。
    ウィットとユーモアをきかせた生活人の視点にたった詩。長谷川龍生と正反対の世界。まあそう言ってしまえば簡単だろう。だけれども、詩をトイレに置き続けて、母が絶賛するとはどういうことか。

           ■

    「不在」
    お隣は 遠くへ
    引越して行ったのに

    シーンとした空家にむかって
    幼ない女の子が呼びかけている

    きいくちゃーん
    あーそびましょおおー

    ゆるやかに うたうように
    信ずるものの澄みきった声で

           ■

    父や母の世代には、まだ貧困地区のようなものがあって、あそこへ行ってはいけませんと、親の親は言ったりしていた。でもたぶん、貧困の話ではない。ある程度、戦後豊かになった。でも、情報というのは非対称で、すれ違いがあった。人はメールで待ち合わせをするのではなく、手紙や、直接家を訪ねていた。みんなよく歩いていた。そうして歩いてきた少女が、空家にむかって、遊ぼうという。このあと、この少女は「あ、きくちゃん、引っ越したんやった」と呟くのだろうか。何かをあきらめるのだろうか。こういった、いろんな想像を巡らせることのできることを、嫌だと思う人、つまらないと思う人もいれば、実にそれが切なくて楽しいと言える人もいる。
    無人島に仲間と漂着したとき、長谷川龍生や小野十三郎よりは、杉山平一を持って行きたい。
    僕は美しい文を書きたい。
    と、川上明日夫は言っていた。
    いい文章を書け。
    いい文章とは、こういうところを丁寧に書くことだ。自分を飾るな。その鎧、脱げよ!でも、常套句には溺れるなよ。
    弱々しいけど動かないものが強い。

    • じんさん
      この本と西瓜さんに関わるエピソードは、
      微笑ましいです。
      詩は読まないんですが此のレビューには
      興味をもちました。

      本や映画(他の作品でも)をみて、
      何かを感じ取れる感性って素敵
      ですね。
      2012/12/19
    • 猿川西瓜さん
      >じんさん
      ありがとうございます。とてもうれしいです^^
      2012/12/20
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