東京日記: リチャ-ド・ブロ-ティガン詩集

  • 思潮社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784783724261

感想・レビュー・書評

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  • 1976年、ブローティガンが日本に滞在した7週間のうちに書いた詩を日記のように並べた詩集。


    まえがきが名文。ミッドウェー海戦で亡くなった叔父を持ち、〈西洋によって馴致されるべき東洋〉のイメージに浸りきっていた少年が、その強い刷り込みこそが戦争の害なのだと気付くまでを淡々と語る。大人になると禅や俳句に惹かれ、遂に彼は日本へやってきた。
    上記のような成立背景から紀行文のようなものを期待してしまうのだが、作品から漂うのは圧倒的な孤独感である。当然日本語は話せないのでコミュニケーションに困ることが多かったらしく、ホテルに籠りきりだったんだろうなという詩もポツポツある。
    外にでても観光地には行かず(関西へ行った帰りの新幹線で友人と喧嘩したエピソードとかはある)、ひたすらうろうろしているだけなのだが、行くあてもなく東京をうろうろするときの気分がとてもよくわかる。私は東京に住んだことはないのだが、だからこそブローティガンが切り取った疎外感だったり、あるいは"東京を居心地よく感じることに対する薄っすらとした寂しさ"みたいなものに共感をおぼえた。
    英語が堪能なタクシー運転手に「アメリカに行ったことは?」と質問して急に気まずくなっちゃう瞬間や、外国人だということが理由でレジ係から嫌悪されている気がするという皮膚感覚を、ブローティガンはスケッチする。経済成長期の日本っぽい光景ではあるけれど、ブローティガンは疎外感を抱きながらも、その人たちと孤独を分け合っていたんじゃないかと思う。みんなが孤独だということが共感を生む街が東京だとすれば、東京を歩くことはブローティガンを読むことに似ているのではないだろうか。

  • 【内容】
    来日したブローティガンが日記のように書いた詩がそのまま詩集になった。あるいは全部含めてひとつの詩か。

    【感想】
    ボクが学生の頃ブローティガンが日本に来てたんや。知らんかった。

    プリミティブな生の感覚をそのまま掴める感じ。

    シイナ・タカコって誰や? まあ、誰でもいいか。実在であろうが実在しなかろうが、楽園の女神か異界の誘惑者って存在か。

  • 角田さんの小説に出てきたので。
    日記みたく詩を書くの素敵だ。やってみたい。
    ブローディガン、買ったまんま読んでないので読む。

  • 詩人ブローティガンが1976年5月中旬ー6月末 東京に滞在した1ヶ月半に
    日記をつけるように書いた詩を集めたもの。

    きちんと日付があるのは5月16日から6月30日まで。
    この間に記念日とか誕生日とかある人は その日を探して読んでみるのも面白いかもしれない。へんな読み方だけど(笑)

    毎度の事ながら…。和訳だけじゃなく原文も一緒に載せて本にしてくれればいいのになぁと思った。原文読んだところで しっかり解釈できないから和訳はありがたいし、必要だけど、書かれた文章の「文字の流れ方を見る」のも詩っていう形態の文章を「読む」ことの楽しみだと!!!
    だから外国のことばで書かれた詩は この本に限らず、原文を並列させて載っけてくれたら もっと楽しいのになぁとよく思う。

  • 東京に滞在するひとりぼっちのアメリカ人の記録

    言葉が通じないことは圧倒的に部外者であると感じること

    どれだけ愛しても 最初から拒絶されているように感じる

    君が思ってるほど世界は君に悪意を持っていはしまい
    君が求める程の好意は願うべくもないけど

    そのときそばに居てあげられたらと思うけど
    きっと彼を愛してあげられはしなかっただろう
    私が生まれた1年後に彼は自ら命を絶った

    滑稽な程の悲哀

    もう笑い飛ばすしかやりようがない
    最後の糸が今にもちぎれそう そんな詩集

  • 凧、ロマンス、不動産、退屈な東京の夜にホテルですること、二人の女性、断片#3が初読では印象に残った。

  • 俵万智さんの「101個のレモン」で紹介されていたの詠んでみました。作者は子供の頃、第二次世界大戦で叔父さんを亡くしていらい日本人に対して憎しみを抱いていたが成長する過程のなかで日本人をしり「芭蕉や一茶」などの歌人の文章と出会い日本人に対しての感情も憎しみではなくなっていく。彼の詩は日本に来て滞在した期間に書いた詩で、日記であって詩ではない感じもしたが数点、頭や心(気持ち)の中にイメージ出来て共感できた心(恋)詩もあった。

  • 07/10/25読了。
    ロスト・イン・トランスレーションを連想させる作品。

  • 日本的な感覚に満ち溢れている感じが良い。

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著者プロフィール

作家、詩人。1935年、ワシントン州タコマ生まれ。56年、ジャック・ケルアック、アレン・ギンズバーグらビート・ジェネレーションの集うサンフランシスコへ。67年に小説『アメリカの鱒釣り』を刊行、世界的ベストセラーとなる。主な著作に『西瓜糖の日々』『ビッグ・サーの南軍将軍』など。風変わりで諧謔に富んだ作風は世界中の若者たちの想像力をかき立てた。84年、ピストル自殺。

「2023年 『ここに素敵なものがある』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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