コルカタ

著者 :
  • 思潮社
3.70
  • (3)
  • (2)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 28
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (125ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784783731733

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 昌代さん独特のぞわっとする高揚感が感じられた。

  • ことばの魅力を浮遊するように味わえる一冊。
    意味も理由も感情も、響きで教えてくれる。
    詩の魅力はそういうところだと思う。

  •  音と音
     重なって 波紋をつくり 幾重にも 遠くまで
     運ばれていく ハコバレテイク
     届くように トドキマスヨウニ
     あのひとに わたしでないひとに
     -『雨と木の葉』より

    小池昌代の詩集である。紀行文のような、、、しかし、そこにあるのは確かに、小池昌代の詩。印度の蒸し暑さの中で、いつも以上に湿り気を含んだ言葉たち。

    始まりの一篇。するするとそこにすい寄せられてゆく。そこにあるもの、それは印度の水が、空気が、食物が、小池昌代という身体に取り込まれ、出てきたもの。

    それは、消化器官をただ単に下ってきたものではない。それは、元々あった分子を置換して生まれたもの。それは例えば、ギュウギュウ詰めの長椅子割り込んできた他人の身体が、回りの身体と触れ合って生じる居心地の悪さがなくなるまで、バランスを探して吐き出されるエネルギー。異物がすっかり輪郭を失ってしまう直前のあいまいさ。そこに潜んでいる大きな圧力の存在。この始まりにあるもの、それに魅せられる。

    しかしその気配は、輪郭を失って不思議と逆にどこまでもどこまでも広がっていく、その気配は、この一篇にしか、感じない。あとに続く詩篇たちは、もっと輪郭のはっきりした異物。それを懸命に飲み込み、消化してしまおうとする詩人の身体が、ギシギシと悲鳴をあげる。頭は、混乱した思いにからめ捕られている。思いは、辛うじて詩人の身体が果たさなければならない一つの歩みに、すがることで生き残る。

    ああ、でもここには「動」が詰まっている。切り取っても切り取っても、フレームに収まり切らない何か、と、収めようとする詩人の身体の葛藤がある。新しい、小池昌代。

全3件中 1 - 3件を表示

プロフィール

1959年生まれ。’97年詩集『永遠に来ないバス』で現代詩花椿賞、’00年詩集『もっとも官能的な部屋』で高見順賞、’01年『屋上への誘惑』で講談社エッセイ賞、’07年「タタド」で川端康成文学賞、’10年詩集『コルカタ』で萩原朔太郎賞、’14年『たまもの』で泉鏡花賞を受章。おもな作品に『感光生活』『弦と響』『野笑 Noemi』『幼年 水の町』がある。

小池昌代の作品

ツイートする