雨をよぶ灯台

  • 思潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (99ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784783736912

作品紹介・あらすじ

あの優しい男は
私が家で泣いているときに
カーテンの隙間から
星明りと一緒に差し込む白い顔の男である
(「御祝儀」)
「影も形もないものが、光をひろげ、流れをつくる。そんな夢のような作品を、マーサ・ナカムラだけが書いていく」(荒川洋治)。
豊かな詩的想像力、類いまれな筆力を示した、中原中也賞受賞のデビュー作『狸の匣』から2年。自由と切迫のはざまで揺れ動く、最新15篇。
装幀=外間隆史

感想・レビュー・書評

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  • 雨が上がらないので、時空全体がおぼろと化し、ものも光も滲んでゆく。自分の顔と酷似した虚像は水溜まりに映らない。雨滴のためにひっきりなしに水面がくずれている。水に纏わるいくつもの言葉はかたちを結ぶことなく、留まりから逃げてゆく。死んだ愛の顔、行方不明のわたしの顔を溺れる街に探しに出かければ、記憶の水路で人でない者と遭遇する。悪意とからかいの針がちらちら見え隠れする。
    ここでは生きている以上に歳を取る。
    だから、わたしの意識の天井と壁に張り巡らされていた鏡はやわらかく融滌し、止まない雨は夢に似ていると直感するのだ。

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