戊辰内乱期の社会 佐幕と勤王のあいだ

  • 思文閣出版 (2016年1月15日発売)
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  • 本 ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784784218295

作品紹介・あらすじ

鳥羽・伏見の戦いで幕を開けた戊辰内乱は、否応なく当時の社会全体を巻き込み、あらゆる身分の人びとに日和見を許さなかった。内乱の当事者たちはそれぞれの正当性を喧伝し、彼らの支配を受けることになる人びとは、時代が佐幕から勤王へと移りかわるなかで立場を表明することを迫られた。
みずからの拠るべき正当性を探し求める者、保身のために立場を翻す者、混乱に乗じて地位の上昇を図る者―、新出史料を活用しながらさまざまな思惑が交錯する内乱期の社会像を描出する。

感想・レビュー・書評

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  •  戊辰戦争にあたって、「朝敵」とされ否応なく動乱の渦中に巻き込まれた譜代藩や旗本、あるいは旧来の政治秩序にルサンチマンを抱えて内戦に自己実現を期待する下級の公家や神職といった、通史では等閑視されがちな属性の人々の動向を分析している。「佐幕」から「勤王」への意識変化は政治状況に規定され直線的ではなく、他方で「佐幕」と「勤王」が本来対立する概念として認識されてはおらず、それ故に徳川幕府が天皇から切り離された時に、徳川側は新政府に対抗する「正当性」を確立できなかったことを重視している。

     個人的には本筋の議論よりも、「補論」の榎本武揚処分問題についての分析(榎本軍に参加したフランス人の処分問題と連動し、終始国際社会の眼差しを意識しなければならなかった、榎本への「寛典」も岩倉使節団の条約改正準備交渉への配慮)が斬新で興味深かった。

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著者プロフィール

1982年生まれ。中央大学文学部教授。専門は、日本近世史・近代史、アーカイブズ学。
著書・論文に、『国葬の成立―明治国家と「功臣」の死―』(勉誠出版、2015年)、『戊辰内乱期の社会―佐幕と勤王のあいだ―』(思文閣出版、2015年)、「歴史研究とアーカイブズ―史料保存運動から地域持続まで―」(下重直樹・湯上良編『アーキビストとしてはたらく―記録が人と社会をつなぐ―』山川出版社、2022年)などがある。

「2022年 『公文書管理法時代の自治体と文書管理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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