- Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
- / ISBN・EAN: 9784785322199
作品紹介・あらすじ
おおむね素粒子物理学の発展の歴史に沿って、素粒子の世界の見方と考え方の発展を追うように執筆された、素粒子物理学の入門書。力学・電磁気学・量子力学の初等的な知識のみで読み通せるように、難しい数式の使用はできる限り避けた。
知的好奇心にあふれた多くの方々に素粒子の世界を紹介し、素粒子に親しんでもらいたいという著者の気持ちが込められた一冊である。
感想・レビュー・書評
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坂本『場の量子論』を読む準備のつもりで、ザーっと流し読み。
素粒子物理学の入門的な内容が、少ないページ数の中によくまとめられている本だと思う。ディラック方程式が非相対論的近似でスピン1/2のシュレディンガー方程式と一致するのには、ちょっと感動した。また、このディラック方程式の負エネルギー解として陽電子(反粒子)の存在が自然に導かれるのも興味深い。
ただ、(難しい数式の使用はできる限り避ける、という本書の方針によるものだと思うが)天下り的な記述が散見され、理論的な部分についてはよく分からない部分も多かった。
前提知識として、電磁気学、量子力学、特殊相対論についてある程度知っていることが必要。
クォークとは現在の物理学で考えられている物質構造の基本粒子のことだが、ジェームズ・ジョイスの『フィンネガンの徹夜祭』の一節”Three quarks for Muster Mark!”(コーンウォールのマーク王のもとに嫁いでいくイゾルデと、護衛するトリスタンが乗っている船の周りに立ち込めている霧の中で海鳥(かもめ)がクォーク、クォーク、クォークと3声鳴いた)に因んで命名されたそうだ。全然物理と関係ないじゃん。
1 はじめに
2 素粒子の特徴 粒子性と波動性
3 素粒子の世界を探る
4 相対論理論
5 核力とパイ中間子
6 ディラック方程式
7 ニュートリノと弱い相互作用
8 ハドロンとクォーク
9 フェルミオンの世代と混合
10 おわりに
付録
A 主な素粒子
B 湯川ポテンシャルの導出法
C 電磁気力がある場合の解析力学
D ゲージ変換とゲージ理論詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
素粒子の標準模型をミニマムな形で、見通しよくまとめている教科書。ディラック方程式の導出、ヒッグス場の自然な導入に美しさを感じた。量子力学、特殊相対論、電磁気学の知識が前提。相互作用に関するハミルトニアンの定式化はいささか説明不足(場の量子論の知識が前提?)に感じたが、他の数式の説明は妥当に思う。