場の量子論: 不変性と自由場を中心にして (量子力学選書)

著者 :
  • 裳華房
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  • Amazon.co.jp ・本 (437ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784785325114

作品紹介・あらすじ

場の量子論について、“古典場の量子化”と“相互作用のない場(自由場)の量子化”に絞って、これらを“不変性”という視点から解説した。“相互作用のある場の量子化”については、続刊『場の量子論 -ゲージ場と摂動論を中心にして-(仮題)』にて解説する。初学者に少しでも門戸を広げられるよう、詳しい式の導出や説明を極力省かない方針とし、得られた式の物理的意味の理解に時間が費やせるように試みた。また“check”と題した問題も設けられている。

感想・レビュー・書評

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  • まえがきにある通り、学部レベルの量子力学を前提に独学が可能な、構成が本当によく練られた、場の量子論の教科書だ。

    新しい概念や式変形の説明は懇切丁寧をきわめているとともに、他書では自明とされていたことに奥深い意味があったことが本書では次々と開示される。8つのコラムもピリッとスパイスが効いていて実践的だ。ところどころ触れられる超対称性への発展も今後の学習、研究に期待が高まる。巻末ではなく、文章の中で注として、より詳細な参考文献が与えられるのも教育的だ。

    冒頭(第1章・場の量子論への招待)から、目からウロコが落ちる。ベクトルは4次元の成分を持った量ではない、変換性で定義される量だ、とか、アインシュタインの縮約はローレンツ変換の下で不変な理論のみ扱うことを宣言したに他ならない、とか、スピンによる物質・力・質量の起源の分類など。

    第2章・クラインーゴルドン方程式の掘り下げ方もすごい。これまではディラック方程式を目指して、否定し、通過するだけだった同方程式が輝いて見える。

    第3章・マクスウェル方程式では、アハロノフーボーム効果がなんなのか初めて分かった。プロカ方程式は初耳だが、ゲージ不変性の要求はゲージ場が質量を持つことを禁止するとは。

    第4章・ディラック方程式では、ディラックによる導出方法を扱う。クラインーゴルドン方程式の因数分解のやり方が違ったのか。極め付けは、スピンと統計の関係は勝手に決められたものではなく、量子化された相対論的方程式に初めから組み込まれていたとは。

    第5章・ディラック方程式の相対論的構造では、双一次形式が新しく学ぶ内容だった。

    第6章・ディラック方程式と離散的不変性では、ニュートリノがディラック型かマヨナラ型か未解決であることを指摘している。

    第7章・ゲージ原理と3つの力は本書の白眉か。ステップを設けて、ゲージ原理から力が説明される過程が理解できて、感動すら覚える。SU(N)が数学ではなく物理のレベルで初めて分かった。

    第8章・場と粒子では、クラインーゴルドン方程式、ディラック方程式、マクスウェル方程式を、場として統一的にとらえることから、粒子像の新しい視点をもたらす。

    第9章・ラグランジアン形式では、作用原理は力学変数の取り方に依存しないことから、それが場の量であっても成り立つことをまず指摘している。いくつかの要請からラグランジアン密度を導出する箇所は、本書の理解の難所だった。

    第10章・有限自由度の量子化と保存量では、連続的不変性が保存量が導くというネーターの定理の逆も成り立つこと、つまり、保存量が無限小変換を引き起こす生成子になることを説く。

    第11章・スカラー場の量子化で、やっと場の量子化が出てくる。密度が濃い章だ。場の量子論で負のエネルギー問題がなぜ無関係になるかが確認される。スカラー粒子は正準交換関係からボースーアインシュタイン統計に従う。因果律から別の量子化条件の可能性を探る中で、これまでの量子化条件の妥当性を論証する。

    第12章・ディラック場の量子化では、反交換関係で量子化しなければ、物理が成り立たないこと、そこから、フェルミーディラック統計に従わなければならないこと、パウリの排他原理が導かれる。

    第13章・マクスウェル場の量子化は、私には理論物理学的アクロバット(飛躍)が2つあり、理解の難所だった。それは、385ページのA0の時間微分を作用積分に加えることとグプターブロイラーのローレンス条件だ。結果はオーライなので、納得するしかないが、その発想の源は未消化だ。

    第14章・ポアンカレ代数と1粒子状態の分類では、ポアンカレ代数の交換関係の物理的、幾何学的意味を確認し、1粒子状態の分類を試みる。

  • 請求記号 421.3/Sa 32

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