惑星のさみだれ (6) (ヤングキングコミックス)

著者 :
  • 少年画報社
4.20
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・マンガ
  • / ISBN・EAN: 9784785930509

感想・レビュー・書評

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  • 面白い。
    本巻は、茜編と勇者の物語。
    勇者の剣。

    まず茜編。
    ネグレクト気味で、家族との繋がりが希薄になっている少年。
    人と繋がれなくて、何が楽しくて幸せなのか、自分で見つけられない、教えてくれる人もいない。
    獣の騎士という繋がりが、彼の心の中に何かを与えてくれることを祈ります。

    そして何と言っても、本巻は太朗と花子の物語ですよ。
    太朗……如何にも死にそうな気配漂っていたが、あぁ……。
    一瞬差し込まれる穏やかな表情の「すきだ」「しってる」が凄まじい。
    太朗退場後に花子視点で描かれるのがまたクる。
    もう、こういうの上手いなぁ。
    花子視点での、太朗に対しての主観的/客観的な立ち位置が逆転していくドラマ自体もとても面白い。
    そこから「勇者の剣」に至るのは、本当に痺れる。

    最後に本巻で気になるところを。
    まず黒竜について。
    夕日がその力を手に入れるのが王道と思っていたけど、そういう展開にはなりませんでしたね。
    ここまで夕日は泥人形に対してあまり活躍がない状態です。
    セカイ系における主人公は、基本的に傍観者で、最後の最後で選択を突きつけられることが多いのかなと思っています。
    夕日はかなり当事者として関わっていて、だからこそ成長しているのですが、このセカイ系主人公的な役割も担っているのかなという印象で読んでいます。

    あと気になるところとしては、アニムスの振る舞い。
    九つ眼と花子を戦わせて、花子の進化を観察していますね。
    騎士たちに「自分と同じ存在になりうる」と勧誘しているアニムスなので、泥人形は騎士をふるいにかけるための装置なんでしょうかね。
    現状ではアニマもアニムスも何を考えているのかよくわからないので、そこにも注目しつつ読んでいきたいです。

  • この巻の冒頭で描かれるのはアニムスと共闘しているように見える太陽の話。
    親の再婚によって家の中に居場所を失ってしまった彼は世界なんて滅びてしまえと願っていた少年。それだけならよくある話で終わってしまうが、そこに獣の騎士でありながら仲間から危険視されているロキが現れたことで太陽の生活が大きく変わっていく流れが描かれる
    まだまだ彼の内面の変化は起きていないけれど、一人で食べるステーキでは美味しさも不味さも感じられなかった太陽。けれど、夕日や南雲と一緒に食べたラーメンは好きだと思えた変化は好き。

    そしてこの巻、というか本作の中盤戦で最高潮と言えるのが第37話から始まる花子と太郎の物語
    この二人は性格が全く異なりながらも、ラブコメ的ポジションや長い付き合いによって良い関係だった。でも、それは包容力の在る太郎が歪さを有する花子を守っていたから成立する関係でも有って。

    そんな太郎達を含む騎士達に襲いかかるのは騎士型の泥人形。パワーアップした今の騎士達なら倒せる筈の相手でも、仲間が分断されさみだれが全力を出せないなら敵の攻撃を引き付ける役が必要になる。それに太郎が名乗り出るまでは良かったものの、さみだれが吹き飛ばされ、太郎が囮に失敗し……
    太郎が事前にランスに望んだ願いを考えればキルが言うようにあの場で太郎が庇う必要はなかったのかもしれない。それでも、そんな事情関係なしに太郎は花子を庇った。それはノイが言うように太郎の勇者性を示す行動だったのかもしれないね
    ただ、太郎の死は残された者達に大きな影響を与え……。そこから静かに崩れだす花子の様子はあまりにも悲しい
    第37話のカラー絵では太郎と花子の二人で進んだ学校への道、それを第38話では一人で帰る花子。構図はほぼ同じなのにそこに込められた感情が全く異なることが強烈なまでに伝わってきて辛い……

    半月に庇われ彼を死なせてしまった夕日。そして今度は直ぐ側に居たのに太郎を守れなかった。その悔しさを抱えたままの彼は黒龍継承の試練で八宵に全く敵わない。それはある意味強さを求める理由の差
    守りたい相手を守れなかった悔しさから強さを求めた夕日と、これから誰かを守るために力を欲した八宵。既に自分の気持ちを整理できている八宵は夕日を圧倒する
    その差を理解させられた夕日はちょっと情けない。「埋めてくれ…」って……

    そんな状況で出現した11体目の泥人形は人の姿をコピーでき、花子の前に太郎の姿で現れる。普通なら花子を更に追い詰めるそれは逆に花子に気持ちの整理をつけさせる展開は印象的
    偽物を見たことで太郎の喪失を理解し、その上で自分が太郎から貰ったものを再認識した花子。その勢いのまま髪を切りそれまでの花子から新しい花子に生まれ変わる場面は強烈

    同時に他の騎士達も太郎を弔い、そして進むために喪服で泥人形に挑む展開には胸が締め付けられる
    今度は全員の力で騎士型の泥人形を追い詰め、トドメは花子が刺した。
    そのシーンでは皆が涙を流す。太郎の死を改めて悼むように。
    ノイが言うように、太郎は皆から愛されていた人物だったんだなぁ……

  • コミック

  • 読み終わった時に、表紙とは違い、カバー下では手を繋いで座っていることにところなんか、ぐっときた。

  • すきだ

    しってる



    勇者の剣

  • 毎巻々々ほんとに盛り上げてくる漫画だなあと思う。

    この巻でとうとう一人目の犠牲者が出てしまった。そこに生じる各登場人物の喪失感や虚しさをこの漫画はとても上手く絵描いている。死に方が呆気ないところとか生々しい。

    大コマで青空の下に花子がポツーンと一人で佇む描写とか胸にくるよね

    ここまで読んできて思ったのはこの漫画は「感情」を描き出すのが本当に上手いということ。決意のような強い感情、死を目の当たりにした時の悲しい感情、気持ちが晴れ上がった時の爽快感、色々あるけどそれをキャラクターの表情、台詞、背景、コマ割りなど使えるものをフルに使って読者にぶつけてくる。キャラ一体一体のもつ熱量がすごいのだ。だからこそそのキャラクターが死んでしまったときにぽっかり穴が空いてしまったように感じる。


    ここからラストスパートに向けてどんな風に盛り上がっていくのか本当に楽しみ。

  • 太郎と花子の話が全て。グッとくる話だった。
    白道さんが気になる所だが。

  • 惑星を砕く物語、とある一人の勇者の話。
    何の前触れもなく訪れた終わりとそれからの展開に心震える。合間に挿入されるささやかな日常描写がたまらない。何度読んでも気づけば目に涙が。シリーズの中で一番の巻と言っても過言ではないと思う。
    そして何と言っても最後のカマキリの騎士と九つ眼の戦いのシーン。勇者の剣までの展開は何度見ても鳥肌もの。こんなに震える戦いのシーンはあまりお目にかかったことがない。
    騎士とアニムスの戦いもいよいよ終盤戦。厳しい戦いはまだまだ続く。

  • 言葉にならない。こんな緩いイラストと進行で、圧巻ともいうべき1人の戦士を描き切るとは。
    徐々に話は進むが、アニムスは相変わらずの謎を振りまくり。今巻もいい味出してました。この巻には、正直、やられた、って思った。大きな転機だと思う。

  • うーーーわーーー

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