29歳で図書館長になって

著者 :
  • 青弓社
3.29
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本棚登録 : 134
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787200549

作品紹介・あらすじ

想像と創造ができるための図書館を、みんなで協働して作ろう! 若い館長が、「人・もの・金」を確保して生き生きとしたサービスを提供するにはどうしたらいいのか、これまでの殻を打ち破る大胆な施策を提案して、利用者に身近な情報拠点作りを呼びかける。

感想・レビュー・書評

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  • 29歳で江戸川区立篠崎図書館と篠崎子ども図書館の館長となった著者が、「想像と創造のための場」としてのこれからの図書館に向けて、様々なアイデアを提言。
    図書館員は自治体の課題を知るべき、図書館に気軽に話せる空間を設けるべき、さまざまな地図をそろえるべき、教科書を置くべき、本棚の貸し出しなど、興味深い提言も少なくなかったが、全体的には、あれもこれもと図書館で何でもやろうとしすぎではないかという印象(著者も、「本書(……)に叙述したことをすべて一つの図書館でおこなうのは不可能である」と述べてはいるが。)。自治体には、図書館だけでなく、役所自体や公民館や博物館、児童館など、様々な機能をもつ公共施設や主体があるのだから、連携は必要だとしても、なんでもかんでも図書館自体でやろうとするのにはちょっと違和感があった。
    また、政治資金パーティーならぬ「図書館資金パーティー」など、斬新すぎてついていけないアイデアもあった。
    最後に、本書のタイトルからは、若くして図書館長となった著者のこれまでの半生記的なものを想像していたのだが、そういう話は全然なく、ちょっとタイトルがミスリーディングではないかと感じた。

  • アイデアが豊富。図書館の可能性を再確認できる。

  • タイトルと表紙の絵から、若者の青春奮闘記のようなイメージだったが実際はちょっと固めのないようで筆者の目指す図書館の未来について、様々な角度から語っている。表紙とのギャップがすごかったので、パラパラ読みで終わってしまいました。

    図書館を利用者にとってすごく大きな存在にしたいという熱意が伝わってきた。私も思うところがひとつある。日本の図書館に行くと寝ている光景がとにかく目立つ。中学生、高校生、大学生、高齢者。以前ニューヨークの図書館を訪れたとき、寝ている人は誰一人いなかった。寝るなんて恥ずかしくて絶対にできる空気ではなかった。「ここは知を求める人たちが集まるところ」という雰囲気だった。日本では国立国会図書館ですら寝ている人を見かける。いっそのこと仮眠室なんか作ったらどうかと思っている。

    著者は図書館長である。本書を通しては色々な理想が語られているが、図書館長の立場で少しずつでも叶えることはできないのかな?この内容であれば、図書館長でなくても図書館学みたいなのを学んだ学生で書ける。図書館長になって理想と現実に悩まされた話だったり、どうやって自分に理想とすることを実現してきたかとかを語ればもっともっと面白くなると思った。

  • ・本を借りるだけでなく、想像と創造ができる場としての図書館。図書館は無料貸本屋では無い!

    ・1日の予定の無い人が「そうだ、図書館に行こう!」と思える場にしたい。

    ・人と知識、人と情報、人と人を結び付けるのが図書館員である。
     ・関心のあること人が集まって話すことによって考えが深まる
     ・人と接することで刺激を受ける
     ・想像が豊かになり創造へ向かう

  • 図書館のあり方について分かった

  • 新しい図書館のあり方を若い図書館長が提言する。単なる「無料で本を貸してくれる施設」のイメージを打ち破り、コミュニティの身近な情報拠点として図書館がどのように変わっていくべきかを全国の図書館で働く人に呼び掛ける。

  • 小さな田舎町の公共図書館で働く臨時職員からすると、非現実的な理想論も多いけれど、日々の業務や司書としての心構えなど参考になることも、多々ありました。

  • 2015年2月刊。図書館員へ向けた提言がびっしり。

    【引用メモ】
    来館者に図書館用語を使ってはいけない。例えば、利用案内にレファレンスサービスと記載されていて驚いたことがある。図書館に初めて来たというような来館者に対してレファレンスサービスという文言を使うのは正しいのだろうか。(p.52)

    資料の購入より難しいのは、不要になった資料を原簿から削除する除籍である。(中略)除籍は、本棚がいっぱいになったから捨てるという単純な行為ではない。該当する本棚を新しくするという行為である。(p.58)

  • 勉強になります!
    参考文献やサイトの引用の書き方は、お手本。

    P17(図書館奉仕)

    第三条  図書館は、図書館奉仕のため、土地の事情及び一般公衆の希望に沿い、更に学校教育を援助し、及び家庭教育の向上に資することとなるように留意し、おおむね次に掲げる事項の実施に努めなければならない。
    一  郷土資料、地方行政資料、美術品、レコード及びフィルムの収集にも十分留意して、図書、記録、視聴覚教育の資料その他必要な資料(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られた記録をいう。)を含む。以下「図書館資料」という。)を収集し、一般公衆の利用に供すること。

    二  図書館資料の分類排列を適切にし、及びその目録を整備すること。

    三  図書館の職員が図書館資料について十分な知識を持ち、その利用のための相談に応ずるようにすること。

    四  他の図書館、国立国会図書館、地方公共団体の議会に附置する図書室及び学校に附属する図書館又は図書室と緊密に連絡し、協力し、図書館資料の相互貸借を行うこと。

    五  分館、閲覧所、配本所等を設置し、及び自動車文庫、貸出文庫の巡回を行うこと。

    六  読書会、研究会、鑑賞会、映写会、資料展示会等を主催し、及びこれらの開催を奨励すること。

    七  時事に関する情報及び参考資料を紹介し、及び提供すること。

    八  社会教育における学習の機会を利用して行つた学習の成果を活用して行う教育活動その他の活動の機会を提供し、及びその提供を奨励すること。

    九  学校、博物館、公民館、研究所等と緊密に連絡し、協力すること。

    ~これは学校図書館にも同じことがあてはまるはず。基本。


    P212006年には文科省がせっちした「これからの図書館の在り方検討協力者会議」による「これからの図書館像」がまとめられた。

    P28 1-5情報、知識、知恵と人
    想像・創造をおこなうとき、情報と知識は必要である。しかし、情報と知識が多くあっても、知恵がなければ行動を起こすことができない場合がある。判断を誤ることがある。そして、困難なことに直面したときに知恵が必要なのである。その知恵は人と接していくことで蓄えられるものではないだろうか。

    P31 本屋雑誌から必要な知識と情報を取り出すための仕組みをもっていなければならない。これは図書館の重要な機能の一つでもある。

    P47 自学・自習力
    1有名ホテルや旅館に宿泊してみる。
    2デザインの勉強
    3外国語の勉強
    4ITの知識を学ぶ~情報処理技術者試験 ITパスポート試験

    P108気象庁「特別警報」のリーフレット

    P119千代田図書館の電子絵本の貸出

    P137 4-15データベースの充実と利用講習会

    本)チャート式情報アクセスガイド

    人材派遣の業界について「日系MJトレンド情報源」
    「TDB業界動向」
    「月刊人材ビジネス」

    P131 4-17いまの地域の写真撮影

    P156 5-7小学校教諭に対する支援
    2つのことが必要である。1つは学習指導要領を知っていること。もう1つは教科書を普段から読んでいることである。

    P165 5-12情報デザイン
    本)情報デザイン入門渡辺保史

    「図書館を使わないと損をする」

    P173 5-16公演デビューと図書館デビュー

    サイト内閣府「子ども・子育て支援新制度なるほどBOOK」
    日本タウン誌・フリーペーパー
    https://nicoanet.jp/entry_f/pages/index.html

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著者プロフィール

1983年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科図書館・情報学専攻情報資源管理分野修士課程修了。都留文科大学・日本大学・東洋大学非常勤講師。著書に『事例で学ぶ図書館制度・経営論』『事例で学ぶ図書館サービス概論』『図書館の新型コロナ対策ガイド』『29歳で図書館長になって』『仕事に役立つ専門紙・業界紙』、共著に『絵本で世界を学ぼう!』『つくってあそぼう!――本といっしょに、つくってかがくであそぼう』『図書館の活動と経営』(いずれも青弓社)など。

「2023年 『事例で学ぶ図書館情報資源概論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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