公共図書館を育てる

著者 :
  • 青弓社
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本棚登録 : 165
感想 : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787200785

作品紹介・あらすじ

公共図書館は、そもそも何館あるのか。
47都道府県立が約60館、市区立が2,600館、町村立が620館で、全国に合計約3,300館ある。
市区町村の約77%が公共図書館を設置しているが、町村部の設置率はかなり低く57.6%でしかなく、これが全体の数字を押し下げているのが現状だ。
これを人口比でみると、日本は4万人に1館、アメリカはその倍の4万人に2館もある。

2005年には人口の48%が図書館を使っていたが、14年には34%にまで下降している。
こうした現状を踏まえ、公共図書館を増やすにはどうしたらいいのか、利用者の縮減を押し止めて図書館を使いやすくするためにはどういう施策があるのか――、を具体的に検討して提言する。
解決策の一部としてAIを使った図書館資料の管理や利用者誘導、さらに経営規模のあり方を検討し、身近な公共図書館が十分な情報資源を提供できるようになっているのかどうか、コミュニティとつながるだけのサービスポイントになっているのではないか、も指摘する。

さらに、財政難を逆手に取った岩手県の成功例や図書館が変わることで地域を変えた栃木県の実例、図書館蔵書検索サイトを使った横の連携を当事者が語る。
加えて、市民の意向を踏まえて専門的なリーダーシップを発揮した新たな図書館、心地よい空間として世界的にも有名なデンマークとフィンランドの2つの図書館を紹介して、大きなヒントを示している。

目次
第1章 未来の図書館のエコシステム
第2章 これからの公共図書館を考えるために
第3章 日本の公共図書館をどう育てるか――システム規模を考える
第4章 図書館とコミュニティ――イギリス公共図書館の展開
第5章 図書館での技術動向・予測――「ホライズン・レポート図書館版」
第6章 未来の図書館に関する提言
第7章 オーフス公共図書館からヘルシンキ市新中央図書館へ――公共図書館の新しい表情
資料 図書館のインパクト評価の方法と手順 ISO 16439:2014

感想・レビュー・書評

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  • これからの図書館の在り方を考察している論文や記事を編纂した一冊です。
    人件費を中心とした財源不足による図書館サービスの変化を案ずる立場から書かれていて、感情的な記述が多くあるという印象を受けました。
    国内と海外の図書館におけるケーススタディや比較は大変参考になりますが、日本の図書館に何を取り入れると良いかは議論の余地がありそうです。

  • 図書館が大きく変わろうとしているようだ。
    理由は、新自由主義的な、公共のものにお金をかけない時代背景や、印刷された情報(本)以外にオンライン上での情報がどんどん増えて、情報源が多様化したこと、とか。
    図書館は、貴重な資料や多様な情報を収集、公開するだけではなくて、コミュニティの中心となるんですよ、という話。
    ただ、税金で運営されて金食い虫になるんじゃなくて、自分から価値を創り出したり、収入を確保したりもしなくてはいけない。

    印象的だったのは第6章の岡崎正信氏の「オガールプラザ」。
    何もない空き地をなんとかしてくれと町に言われ、図書館に全く興味のない人が図書館を建てた。
    図書館では貸スタジオやマーケットなど人を集める工夫をし、その横に商業テナントを備えて図書館の集客力をフルに生かす。
    図書館の経営課題などと思うと「図書館を変える」と考えてしまうが、そうではなく、「図書館で変わる。地域が変わる。」と地域を主語にする。
    この目の付け所に感銘を受けた。

  • 岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
    http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00623616

    図書館を変えれば地域が変わる! 国内外の事例を多数紹介して公共図書館の制度と経営のあり方を問い直し、AIを使った所蔵資料の管理や利用者誘導、オープンライブラリーの取り組みなど、デジタル時代の図書館を構築するヒントにあふれた実践的ガイド。
    (出版社HPより)

  • 太田氏と岡崎氏の提言が参考になった。機械的に本を並べてもいきいきしない。図書館が運営費を稼いでも良いのではないか。確かにそうだ。

  • 仕事柄、タイトルが気になって借りてみた。

    幕別町と紫波町の話は衝撃だった。
    「近所の本屋で買えるかまで調べてこそ本のレファレンスでは」とか「何冊借りられたかではなく、図書館でどうエリア価値を高められるか」とか。
    デンマークのオープンライブラリも、使えるところを最大限利用するという意味で衝撃を受けた。

    サービスって、当然自分たち以外の人たちにすること。
    だから、専門知識は前提として、その価値観だけにとらわれてはいけない。
    サービス対象は、専門家じゃない。
    ”みんな”のことを見ていかないと。

  • 近年、関係予算の削減等により衰退傾向がみられる公共図書館の今後の在り方について論じている。
    既存の論文やシンポジウムの記録の寄せ集めということもあり、あまりすっと入ってくる感じではなかったが、「未来の図書館のエコシステム」の考え方、デンマークのオープンライブラリーの取組、幕別町等での図書館を中心に据えたまちづくりの事例など、公共図書館の可能性を拓くヒントが散りばめられていた。

  • TRC書店を排除しすぎだと思う。

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著者プロフィール

1944年、愛知県生まれ。筑波大学名誉教授、未来の図書館研究所所長。専攻は図書館情報学。著書に『学術情報と図書館』(丸善)、編著に『図書館制度・経営論』『図書館経営論』(ともに日本図書館協会)、共著に『世界のラーニング・コモンズ――大学教育と「学び」の空間モデル』(樹村房)、訳書にPeter Hernon/John R. Whitman『図書館の評価を高める――顧客満足とサービス品質』(丸善)、共訳書に英国文化・メディア・スポーツ省編『将来に向けての基本的考え方――今後10年の図書館・学習・情報』、英国図書館情報委員会情報技術ワーキング・グループ『新しい図書館――市民のネットワーク』(ともに日本図書館協会)など。

「2021年 『公共図書館を育てる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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