音楽を動員せよ―統制と娯楽の十五年戦争 (越境する近代 5)

著者 :
  • 青弓社
3.75
  • (1)
  • (1)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 14
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787220240

作品紹介・あらすじ

近代日本で大衆化した音楽は、15年戦争期にどのように「戦争の手段」として活用され、人々に愛され親しまれたのか。戦時下の音楽界の組織化の諸相などの国内動向から対外宣伝、そして戦後の戦争責任論まで射程に収め、音楽史の暗部に光を当てる労作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • [ 内容 ]
    近代日本の歩みとともに大衆化した音楽は、十五年戦争期にどのように「戦争の手段」として活用され、人々に愛され親しまれたのか。
    戦時下の音楽界の組織化の実態、量産された「国民歌謡」や「国民合唱」、占領地で対外宣伝を担った音楽関係者たち、さらには戦後への継続や戦争責任までも射程に収め、近代日本の音楽史の空白を浮き彫りにする。

    [ 目次 ]
    第1章 音楽と総動員体制
    第2章 音楽界の一元化―演奏家協会と日本音楽文化協会
    第3章 電波に乗った歌声
    第4章 量産された「国民歌」―アジア・太平洋戦争期の楽曲募集
    第5章 音楽の「大東亜共栄圏」
    第6章 「戦後」への射程

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 十五年戦争期に、音楽がいかに国民を動員するために編制され用いられたかという点について子細に検討された力作。特に日本音楽文化協会についての研究はほとんどなかったそうで、そういう点を明らかにしたという点でもきっと非常に高く評価されるべきなのだろう。

    ただところどころでてくる「上から」「下から」という形で表現されるファシズムの説明の仕方はちょっと気になった。上からとか下からとかで、ファシズムは果して説明される研究段階はもう過ぎてしまったのではないのだろうか…という感じである。問題は、ファシズムとして編制する側とされる側の関係性、なんじゃないだろうか。

    同様に、音楽が国民を動員できることは自明の前提になっているように思えるけれども、本当にそうか?という気になる。国威発揚のために音楽が用いられた事実を明らかにしたうえで「音楽は国威発揚を促す効力がありました」と説明するのは、一種の結果論なんじゃないだろうか。問題は、音楽を通じて編制される国家と人びと、あるいは人間と人間の関係性は何か、という点にあるんじゃないのかなあ…とぼんやりと思った。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

1963年、東京都生まれ。洋楽文化史研究会代表幹事。専攻は近・現代日本音楽史。著書に『「国民歌」を唱和した時代』(吉川弘文館)、『音楽を動員せよ』(青弓社)、『戦時下音楽界の再編統合』(音楽の世界社)、編著に『日本の吹奏楽史』、共編著に『日本の合唱史』『総力戦と音楽文化』(いずれも青弓社)、『「戦う音楽界」』(金沢文圃閣)、資料復刻の編・解題として『音楽文化新聞』(金沢文圃閣)など。また、演奏会の企画・プロデュースにも注力している。

「2016年 『〈戦後〉の音楽文化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

戸ノ下達也の作品

ツイートする