江戸幻獣博物誌: 妖怪と未確認動物のはざまで

著者 :
  • 青弓社
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787220400

作品紹介・あらすじ

山男、雷獣や雷鳥、石羊、蛇タコ、ウナギになる山芋、一足鶏、くらっこ鳥、遊歩する魚介、波に乗るタコブネ、大海蛇。奇妙な生き物に対する江戸期の人々の豊かな想像力と好奇のまなざしを本草書から読み解き、日本人の動物観・生命観を浮かび上がらせる。

感想・レビュー・書評

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  • メタモルフォーゼを扱った3章を読んで、昔の人はハマグリがスズメになるとか山芋がウナギになるとかナチュラルに信じていたんだな…とちょっとフフってなったけれど、よく考えたらオタマジャクシがカエルになるのも大概意味分からないし「それがアリならこれもアリ」となるのは当然か。ミノムシが蛾になるのなんて実際には見たこともないし。(蛇が蛸になる話はミミックオクトパスの映像を思い出せばめちゃめちゃ納得がいく。)

    鳥の声を聞きなしを扱った6章で指摘されていた、西欧と日本ではカッコウの聞きなしにそれほど差はない(クックウーカッコウ)けれど受ける印象は全く違っているらしいという話は面白かった。確かに不吉な鳥を時計のからくりにはしないだろう。日本では明らかにカッコウの声なのに「鳩」時計と呼ぶ。

    5章「一足鶏と鶏三足」に
    (2)ナンシー関編著『ナンシー関の記憶スケッチ・アカデミー』(カタログハウス、二〇〇〇年)に、四本足の鶏の表象の例がある。
    という注記があって懐かしさがこみあげてしまった。あったあった確かにやけに上手くてタチの悪い4本足の鶏の絵。また読みたいな。

  • 江戸時代の「幻獣」と言われるようなものについての本。面白い。江戸時代における生物観がわかり勉強になる。

    当時の人は蛇がタコになったり、ミミズがムカデになったり、山芋がウナギになったりする事を信じていたし、それが常識だったという事を知りました。

    今の常識のみで歴史を見ると間違った見方になる可能性が高いという事を再認識しました。

    妖怪、未確認生物、幻獣系が好きな方は一読されても良いかと思います。

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著者プロフィール

1972年、北海道生まれ。國學院大學文学部教授。専攻は伝承文学。著書に『江戸の俳諧説話』(翰林書房)、『ツチノコの民俗学――妖怪から未確認動物へ』『江戸幻獣博物誌――妖怪と未確認動物のはざまで』『ネットロア――ウェブ時代の「ハナシ」の伝承』『何かが後をついてくる――妖怪と身体感覚』(いずれも青弓社)、『怪談おくのほそ道――現代語訳『芭蕉翁行脚怪談袋』』(国書刊行会)、『ヌシ――神か妖怪か』(笠間書院)、共著に『現代台湾鬼譚――海を渡った「学校の怪談」』(青弓社)、『恋する赤い糸――日本と台湾の縁結び信仰』(三弥井書店)、編著に『福島県田村郡都路村説話集』(私家版)、共訳に尉天驄『棗と石榴』(国書刊行会)など。

「2023年 『怪談の仕掛け』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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