ニッポン神様ごはん 全国の神饌と信仰を訪ねて

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  • 青弓社 (2019年12月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (168ページ) / ISBN・EAN: 9784787220868

作品紹介・あらすじ

古くから伝わる神様の食事=神饌は、各地でどのように息づいているのか。全国の神饌を訪ね歩き、ユニークなお祭りもあわせて取材して、担い手である地域の人々の生き生きとした声とともに信仰や伝統文化の現在の姿を描き出す。祈りと食文化をめぐるエッセー。

みんなの感想まとめ

神様に捧げる食事、神饌をテーマにした本書は、日本各地の神事や祭りを通じて、地域の人々の信仰や伝統文化を生き生きと描写しています。神饌作りに参加することで、自然の恵みに感謝し、特別な料理を通じて神々と共...

感想・レビュー・書評

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  • 〈長い前振り〉です。本の書評を読みたい方は〈さて、本題です〉からお読みください。

    何故、この本を読もうとしたか、そこから始める。

    私の住む〈ムラ〉では、〈ムラ〉を遠くまで見渡すことの出来る一画に大木があり、その下に神様を祀っている。村の鎮守ではない。言わば氏族鎮守である。この〈ムラ〉には、同じ苗字を持つ家が二十数軒存在する(親戚関係ではない)。それを数グループに分けて、お盆前と秋祭りの後に幟を立て、境内の掃除をし、お供えをする係りを数年交代ごとに回している。ということを、私は父親が亡くなって初めて知った。お供えものは、信心も無い私が適当に前日にスーパーで買って揃えたのだが、海のモノ(イカの燻製)、山のモノ(ピーナツ)、お米、お神酒(お酒缶)である。この公でない祭は果たしていつまで続くか。しかし、止めればこの祠一帯は、あっという間に荒れ果てるのは目に見えてはいる。おそらく世の中の小さな祭はそうやって、二千年近く続いて来たのではないか。だとすれば、お供えの中味はともかく、構成要素は二千年前の形を遺しているのかもしれない。

    岡山県倉敷市には、楯築遺跡という弥生墳丘墓がある。弥生時代最大級の墳丘墓であり、この墓の周りに立てていた特殊器台が後に箸墓古墳にも使われ、やがて埴輪になったという意味で、日本古代史上もっとも重要な遺跡のひとつである。言いたいのは、この特殊器台が、「神様ごはん」のもとになったと本書で解説している「直会(なおらい)儀式」の、王墓祭祀での最古形式で最大の器物だということだ。特殊器台とは何か。単に液体を入れる大きな壺を置く器台のことなのであるが、それが、弥生中期から晩期にかけて巨大化されて儀式化されて行き、模様と大きさ共に非常に特殊な器台になった。遂には弥生の王の中でも、もっとも影響力のある楯築の王の時に、その器台を使った儀式が完成されたとみなされている。儀式は直会(神人共食)儀式だったのか?液体は酒だったのか?どんな儀式だったのか?全てはナゾではあるが、全て明らかになれば、当時の祭とは政治とイコールだったのだから、大和王朝の祭に直結する古代統一の秘密が知れるということである。何かヒントがあればいいな、と愚考したわけだ。

    〈さて、本題です〉著者の吉野りり花さんは学者ではなく、旅ライターだった。よって、不足している部分(神饌の作り方、細かい儀式等々)はあるが、綺麗なカラー写真と、それを担う人々の生の声と写真があり、堅苦しくなく、まぁ面白い本でした。

    神饌(お供え)は、基本的にやはり海の幸、山の幸、お神酒、米(または餅)で構成されていて、しかも基本的に直会儀式が伴うものであった。そういう意味で、日本の神撰は、わが〈ムラ〉のお供えから、日本最古の神社と言われるような所のお供えまで、二千年近く依然統一されている気がする。

    しかし、「ものすごい発見」はなかった。とても残念である。

    マイメモ。
    ・平安中期「延喜式」の神饌は、既に農産物から海産物まで多種多様。少なくとも6世紀の記述あり。
    ・明治「神社祭式」で神饌品目を「和稲、荒稲、酒、餅、海魚、川魚、野鳥、水鳥、海菜、野菜、菓、塩、水等」と決めている。これ以降「熟饌(調理済)」から「生饌」に変わった。
    ・京都貴船神社の若菜神事「若菜がゆ、酒、水、ごはん、塩鯛、トビウオ、アジ、椎葉餅、ぶと団子」
    ・岡山吉備津神社75膳据神事「桧の葉を敷き詰め、御物相のごはん、海のもの(鯛、アジ、昆布、海苔)と山のもの(春は筍、エンドウ、秋は大根、生姜、キノコ、栗)菓子、鏡餅、御神酒、熨斗」運ぶのは、天狗面、獅子頭、お幣、鳥籠持ち、盾、鉾、弓、大太刀、小太刀、五色旗、御幣物、剣、等々続き、神饌担当はみんな紙製マスクをつける(←これは出雲神事にもある。決して言葉を発してはいけないと云うことだろう)。←楯築遺跡に最も近い神饌。参考になるとすれば、マスク。神事は元は夜中だった可能性がある。
    ・奈良県奈良パークホテルで古代料理ランチあり。「蘇、すわやり、古代米粥、唐菓子、麦縄、まがり餅、ぶと」平安時代からの変更はほぼ無し←いつか食したい。
    ・福岡県宗像神社の古式祭(12.15に近い日曜日、午前6時、千円で誰でも参加可能)

    • 佐藤史緒さん
      kuma0504さん、こんにちは。
      突然おじゃましてすみません。

      この本も、レビュー〈本題〉も興味深いのですが、〈前振り〉が一番おも...
      kuma0504さん、こんにちは。
      突然おじゃましてすみません。

      この本も、レビュー〈本題〉も興味深いのですが、〈前振り〉が一番おもしろく、興味深く読ませていただきました。
      現在進行形でそんな風習がのこってるなんて凄いです…!
      民俗学とか興味があるので、こういうお話を聞くと嬉しくなるのです。
      (別に研究してるとかいうわけではなく、ただ凄い!と感動するだけなのですけれど)
      貴重な記録を書き留めて下さってありがとうございました。
      末筆ながら、お父様の魂が安らかでありますようお祈りいたします。
      2020/05/10
    • kuma0504さん
      佐藤史緒さん、こんにちは。
      ありがとうございます。
      こういう話は、現実世界では99%、こういうブクログでもあんまり書くと8割以上は、引いてし...
      佐藤史緒さん、こんにちは。
      ありがとうございます。
      こういう話は、現実世界では99%、こういうブクログでもあんまり書くと8割以上は、引いてしまう物なので、なかなか書けないのです。ましてやこういうコメント頂くのは大変嬉しいことです。
      それでも黙ると腹ふくる気がするので、時々こういうところで出しています。

      最近、「洗骨」という映画を観ました。これも、民俗学、考古学どちらにも刺激を与える作品です。あ、父親の13回忌を先日したのですが、古墳時代にはまだ行われていたと思われる風葬習俗は、沖縄の島で、脈々とまだ残っていることをドラマとして描いています。13回忌習俗やムラの境に結界があるとする本土の習俗の中にも、私は風葬の名残があるのではないかと、これを観て思いました。今TSUTAYAで準新作で置いています。
      2020/05/10
    • 佐藤史緒さん
      返信ありがとうございます。
      そうでしょうか、ひいてしまうものなのでしょうか。
      私などは明治以降しか歴史がない地域に住んでいるので、こうい...
      返信ありがとうございます。
      そうでしょうか、ひいてしまうものなのでしょうか。
      私などは明治以降しか歴史がない地域に住んでいるので、こういう話はとても興味深いのですけれども。
      お互いマイノリティなのかもしれませんね。

      「洗骨」という映画、面白そうですね。
      風葬が現代に行われているとはこれまた知らず、驚きです。
      自分の国のこととはいえ、知らないことはまだまだ多いものですね。
      機会があれば観てみようと思います。
      貴重な情報ありがとうございました。
      2020/05/10
  • 神様に献じる供物、神饌。その多くは食べ物である。
    日本全国に存在する神事を訪ねて、受け継がれる伝統と信仰、
    人々、そして、その土地ならではの、神饌を紹介する。
    序章 神々の食「神饌」
    第1章 若菜パワーで鬼退治・・・貴船神社の若菜神事
    第2章 村人みんなで神饌作り・・・老杉神社のエトエト
    第3章 里芋の神饌を担いで氏神様へ・・・茂名の里芋祭り
    第4章 古代の薬「薬草」で疫神を鎮める・・・大神神社の鎮花祭
    第5章 春告げウドと鹿肉を肴にどぶろくで乾杯
                   ・・・御座石神社のどぶろく祭り
    第6章 海水を煮詰めて塩を作る・・・御釜神社の藻塩焼神事
    第7章 神饌を頭にのせて行列・・・北白川天神宮の高盛御供
    第8章 神々のお膳を運び行列がいく
                  ・・・吉備津神社の七十五膳据神事
    第9章 八百年続く神と人の宴・・・宗像大社の古式祭
    第10章 田の神様のごちそう膳・・・奥能登のあえのこと
    参考文献は書籍・雑誌・論文など・冊子・ウェブサイトで分類。
    神饌に関わる神事や行事の様子のカラー画像多数。
    日本全国の中から10の神饌と神事等を紹介する体験記です。
    前作「日本まじない食図鑑」からの時間の経過か、
    紀行エッセイな書き方は減少し、神饌作りに神事、祭り、
    神と共に味わう直会などの体験を前面に据えて紹介しています。
    自然の食材を得られることへの感謝、特別な料理を捧げ、
    共に味わうこと。神を身近に感じた時代からの古式や古儀を守り、
    継承していくことの大切さを教えてくれます。

  • 2022京都外大図書館プロジェクト Library Explore Mission(L.E.M.)学生選書
    京都外大図書館所蔵情報
    資料ID:655703、請求記号:176.5||Yos

  • ふむ

  • 吉野さんの本 初めて読みました。

  • こうして見ると・・・いや分かっちゃいたが、結構なビジュアルのもの供えてんな人間達・・・

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著者プロフィール

旅エッセイスト。鹿児島県出身。早稲田大学第一文学部文学科日本文学専修卒業。日本文学を学んでいた大学在学中、民俗学の講義を受けたことをきっかけに民俗学や神道文化に興味を持つ。卒業後、出版社勤務を経てフリーランスライターになり、日本の旅や食の民俗をテーマに執筆。著書に『日本まじない食図鑑 お守りを食べ、縁起を味わう』、『ニッポン神様ごはん 全国の神饌と信仰を訪ねて』(以上、青弓社)がある。

「2025年 『疫病退散たべもの記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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