国民食の履歴書 カレー、マヨネーズ、ソース、餃子、肉じゃが

著者 :
  • 青弓社
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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787220875

作品紹介・あらすじ

子どもも大人も大好物のカレーのとろみがついたルーは、インド本場のサラッとした汁カレーがどうやって変わってできあがったのか。
イギリス・ウスター生まれのソース、フランス伝来のマヨネーズも、どんなルートをたどって現在の「和風調味料」に変身したのか。

中国大陸から渡ってきた餃子が「日本各地の餃子」に変身する過程を解明し、「おふくろの味」「手料理」神話の代表=肉じゃがの「戦前から食卓にのぼっていた」イメージを実証的にくつがえす。「肉じゃが」が初めて雑誌に登場したのは、敗戦後の1950年、しかもレシピではなく街レポでの紹介だったのだ!

「食の鑑識家」が明治の文明開化から現在までの家庭雑誌・料理雑誌を徹底的に渉猟してレシピどおりに実作して、食べて、経験豊かな舌で味を分析する。そして、通説とされている輸入史・生育歴に疑問やときにはダメ出しを加える。
鑑識ぶりも、徹頭徹尾、実証主義。「カレー、餃子、肉じゃがの国民食トリオ」が生まれ育った歴史を知る格好の食文化論。

目次
第1章 日本のカレー
 1 洋食調味料「御三家」と日本人
 2 鮑のカレー
 3 まずは漆椀のカレー、和食だけに……
 4 油揚げライスカレー
 5 身欠きニシンカレー
 6 蓮根カレー
 7 魚の骨のカレー
 8 里芋と竹輪のカレー餡
 9 カレー粉味噌汁
 10 牛肉のカレー味噌焼き
 11 生節のカレーライス
 12 王者エスビーが放つ絶対的ニッポンカレー
 13 ひもかわのカレーチャプスイ
 14 カレーロークス・コロッケ

第2章 マヨネーズ道
 1 和食のなかのマヨネーズ
 2 敗戦後の規格外マヨネーズたち
 3 マイナイソースだった頃の初期マヨネーズ
 4 「わたし、失敗しないので」マヨネーズ
 5 マヨネーズの広告集

第3章 ソース道
 1 醤油からソースを作る日本人
 2 ソースを使った和食の実例とその証拠となるレシピ
 3 日本「ソース」広告集

第4章 餃子自慢
 1 日本餃子の始まり
 2 日本餃子「皮作り」の時代
 3 「焼き餃子は戦後の日本で始められた」説を覆す資料画像
 4 餃子の皮作りと包み方のイラスト比較
 5 手作り皮の洋風の餃子?
 6 餃子のレシピは餡のレシピ
 7 餃子の発展型
 8 ニッポンの餃子のまとめ

第5章 肉じゃがの歴史
 1 「肉じゃが」という名前の誕生
 2 肉じゃがと命名される前のじゃが芋のレシピ
 3 肉じゃがという料理名の裾野に広がる「いもとにく」料理
 4 肉じゃが登場後の発展型
 5 肉じゃがはおふくろの味伝説を作った料理本の見出し
 6 都市労働力を支えた郷愁と肉じゃが
 7 肉じゃが「おふくろの味」と「肉じゃが」論

感想・レビュー・書評

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  • マヨネーズがJAS(日本農林規格)で規定されたのは1975年(昭和50年)のことだと知って、意外に新しいと思った。それまではいろいろな「マヨネーズ」(とろみとコクがあって、酸味と甘みが付いたソース)が作られていて、変わったところではゼラチンが入ったものもあったそうだ。昔ドイツにいたとき、市販のマヨネーズが妙にぶよぶよした感触でおいしくなくて、キユーピーマヨネーズが恋しくなった。もしかしたら、あれもそうだったのだろうか。中国では餃子と言えば水餃子か蒸し餃子のことで、焼き餃子は戦後日本人が発明した料理だという話は、どこかで聞いたような気がする。本書によれば、1924年(大正13年)の「主婦之友」3月号(主婦之友社)に、餃子を蒸したり、茹でたり、鉄板で焼いたりして提供する東京の餃子専門店が紹介されているそうだから、少なくとも戦後の発明ではないことになる。ウスターソースは洋風の醤油として受け入れられたとか、肉じゃがという料理は1950年(昭和25年)の「主婦と生活」1月号(主婦と生活社)より前の文献には見つからないとか、いろいろと興味深く読んだ。ところどころ気になる記載もある。「鎖国時代に付き合いがあった外国というとポルトガルや清でした」(56ページ)ということはないと思う。2020年3月1日付け読売新聞書評欄。

  • とんでもなく読みやすいのに、調査資料の量と時間がはんぱない。とても楽しい。自由研究に良さそう笑。

  • ↓利用状況はこちらから↓
    https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00554062

  • 東2法経図・6F開架:383.8A/U79k//K

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/52002475

  • 焼き餃子が日本で実は大正時代から食べられていたとか肉じゃがは実態はともかく名称としては昔からある料理ではないとか、そういう意外な話しがおもしろい。

  • カレー、マヨネーズ、ソース、餃子、肉じゃが。日本人が好む国民食と言っても良い調味料や料理は、いつ、どのようにして生まれたのかを探った本。餃子は戦前からあった、ソースは西洋の醤油として使われてきた、などの発見がある。中でも、肉じゃがが戦後の料理だという指摘には驚いた。おふくろの味、などと言われるが、それは1970年代にマスコミが発信した虚像だったらしい。食文化は伝説化しやすい。その意味で、ルーツを探ったこの本には価値がある。

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB29658033

  • カレー、餃子、肉じゃがなどが、国民食として広く認識されるようになった経緯について語られています。
    著者が過去の文献に書かれたレシピを実際に調理、実食した感想も書かれており興味深いです。

    [NDC] 383.8
    [情報入手先] 自校図書館
    [テーマ] 令和3年度第2回備中地区司書部会/フリーテーマ

  • 第1章 日本のカレー
    第2章 日本のマヨネーズ
    第3章 日本のソース
    第4章 日本の餃子
    第5章 肉じゃがの歴史

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著者プロフィール

1956年、福岡県生まれ。食文化研究家。著書に『国民食の履歴書――カレー、マヨネーズ、ソース、餃子、肉じゃが』『刺し身とジンギスカン――捏造と熱望の日本食』『台所に敗戦はなかった――戦前・戦後をつなぐ日本食』『昭和珍道具図鑑――便利生活への欲望』(いずれも青弓社)、『食育のウソとホント――捏造される「和食の伝統」』『食のリテラシー』(ともにこぶし書房)、『食べかた上手だった日本人――よみがえる昭和モダン時代の知恵』『食ベ物の声を聴け!』(ともに岩波書店)、『冷蔵庫で食品を腐らす日本人――日本の食文化激変の50年史』(朝日新聞社)など。

「2023年 『幻の麺料理 再現100品』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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