オカルトの帝国―1970年代の日本を読む

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  • 青弓社
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本棚登録 : 37
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787232663

作品紹介・あらすじ

隠された知=オカルトが白日の下にさらされた1970年代に、私たちは何を夢見て熱狂したのか。科学的合理主義への懐疑から「新しい科学」として登場し社会に激震を走らせた70年代のオカルトブームを焦点化し、現代に続くオカルト的なものの始源を照らし出す。

感想・レビュー・書評

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  • 80年代を扱ったオカルトの惑星を読んだのでついでに
    読んでみたのだが、こちらも総花的であり散漫であり、
    それほどの内容ではなかったと思う。歴史として日本の
    オカルトを追っていくなら、やはり一人の筆者による通史で
    なければならないと思う。

  • 70年代日本のオカルトブームを、11人の研究者が各ブームごとに分かれて分析した論文集。ブームとして本書に取り上げられたのは、ノストラダムス、心霊写真、妖怪、日本沈没、横溝正史、エクソシストなど。
    オカルトという言葉が日本で広く知られるようになったのは、オカルト元年と言われた1974年、『エクソシスト』公開から。
    なぜ70年代なのか?第1章オカルト・ジャパン・シンドロームは以下のように分析する。
    まず50年代後半、「怪奇」を題材とする作品の映画が作られたが、それは「奇形」をモチーフとするものであった。この背景には、手足が変形し、「奇病」と言われ、原因不明で、憑きもの筋や祟りと言われた水俣病を中心とする公害病への恐怖心がある。
    続く60年代で重要なのは「怪奇」の分化。楳図かずおの恐怖マンガに始まるグロテスクな外見からによる「怪奇」ではない、心理的に訴える「恐怖」がモチーフの新しいジャンルが開拓されたこと。
    60年代後半には、この外見から独立した心理的恐怖という意識の方向性が、さらに外部世界/内部世界へと二極化していく。外部からの恐怖は怪獣もので、内部からの恐怖は平井正和の『幻魔大戦』に見て取れる。
    『幻魔大戦』は外部からの恐怖を描くマンガではあるが、より重要なのは超能力という秘められた力に目覚めた主人公が、自分自身に対して持つ恐怖。
    続く70年代前半でオカルトは定型化され、消費されるようになる。『エクソシスト』が公開されたのは、こうした日本化されたオカルト的基盤が準備された時代だった。

  • 世界的には冷戦(核戦争の恐怖)、国内的には公害問題を背景にした世相が、日本の1970年代オカルトブームの背景にあったことが分かる。第一章参照。

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著者プロフィール

和歌山県生まれ。横浜国立大学教育人間科学部教授。専攻は日本近現代文学・文化史。著書に『〈こっくりさん〉と〈千里眼〉』(講談社)、『催眠術の日本近代』(青弓社)、『無意識という物語』(名古屋大学出版会)、編著に『オカルトの帝国』『「学校の怪談」はささやく』『心霊写真は語る』、共編著に『ライトノベル研究序説』『ライトノベル・スタディーズ』(いずれも青弓社)など。

「2016年 『怪異とは誰か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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