ひとはなぜ乳房を求めるのか: 危機の時代のジェンダー表象 (青弓社ライブラリー 70)

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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787233288

作品紹介・あらすじ

ヨーロッパ中世、近世イタリア、戦中・戦後の日本映画、ピンクリボンキャンペーンなど、古今東西の乳房イメージと社会との関係を明らかにして、女性の身体そのものから乖離している乳房イメージと、それに密接に絡み合うジェンダー力学を解明する乳房文化論。

感想・レビュー・書評

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  • 『ひとはなぜ乳房を求めるのか――危機の時代のジェンダー表象』(青弓社ライブラリー 70)
    執筆:山崎明子, 黒田加奈子, 池川玲子, 新保淳乃, 千葉慶
    四六判 216ページ 並製
    定価:1600円+税
    ISBN:978-4-7872-3328-8 C0336
    奥付の初版発行年月:2011年08月
    http://www.seikyusha.co.jp/wp/books/isbn978-4-7872-3328-8


    【目次】
    はじめに 山崎明子

    第1章 男/女の差異化――医学的言説における乳房 黒田加奈子
     1 医学史概略とジェンダー
     2 医学史に見る乳房・乳をめぐる言説――体液としての乳
     3 薬剤としての乳

    第2章 美の威嚇装置 山崎明子
     1 ピンクリボンキャンペーンとは
     2 ピンクリボンキャンペーンの歴史
     3 蓄積される乳房の表象
     4 新たな意味創造の困難
     5 「乳がんではない」美しい身体
     6 表象の裏切り
     7 ピンクリボンキャンペーンをめぐる表象の政治学

    第3章 「聖戦」論理の構築 池川玲子
     1 戦時下日本映画にみる「授乳」のイメージ
     2 銃後映画の「授乳」イメージ
     3 戦地・占領地映画の「授乳」イメージ
     4 満洲移民映画の「授乳」イメージ

    第4章 都市秩序の再生 新保淳乃
     1 ペスト危機と乳房イメージ
     2 ペスト図像での乳房イメージ
     3 授乳しない乳房の系譜
     4 都市秩序の再生

    第5章 男性優位のジェンダー秩序の再編/強化 千葉 慶
     1 「危機」の時代の/「危機」に抗する日本映画――レイプ表象の生産/消費の背景
     2 「俺たちをケダモノにしたのはお前たちじゃないか」――「劣情有理」とレイプ表象
     3 「あんたも、お嬢さんなんて仮面を早く取ることだな」――「レイプ神話」の定着へ

    あとがき 山崎明子

  • 「乳房」像をめぐるあれやこれや。
    全体に、悪くないけど物足りない。
    良い問いになりそうなのに問いを立てただけで終わってしまう。
    もうちょっと掘り下げて欲しい。

    後書きが幼かったから、若い人たちの集まりだろうとプロフィールをみたらそうでもなかった。
    内容もさることながら、雰囲気が大学生のゼミのノリをそのままひきずってるみたいだ。


    1章:医学的言説における女性の体
    医学の文脈の中で女性の体はどのように「理解」されてきたか。
    現代医学の中の扱いではなく、もっと古い話。男が考える女の体。
    すなわち「男性(スタンダード)じゃない」体。
    古代ギリシャあたりの引用は引用だとわかっていても気持ち悪い。
    あんまり気持ちが悪いので、この章を読むだけでだいぶ時間がかかってしまった。

    2章:ピンクリボンキャンペーン
    キャンペーン自体は女性のための活動なのに、啓発ポスターが「行ってらっしゃい、エイズに気をつけて」レベルの気色悪さ。
    「あなた(私)の体」ではなく「みんなの女」を健やかに管理しようという、これが現状。
    河野美代子さんがどっかで「彼女の診察についてくる”優しい彼氏”」の支配と自己コントロールについて書いてたのを思い出した。

    3章:戦時下日本映画における「授乳」表現
    ここでいう「授乳」は乳を飲ませることに限らず、赤ん坊を育む関係をひっくるめてのこと。
    でも「育児=授乳」のカテゴライズは、前章で問題にしている「乳房=母性」のレッテル貼りに貢献しちゃうんじゃないだろうか。

    4章、ヨーロッパのペスト危機の頃の絵画における乳房表現
    良い乳/悪い乳、マリア/エバ。
    これもやっぱり乳に注目して見るからそう読めるだけのような気もする。
    加齢への憎悪や貧民(部外者)への憎悪と読むこともできる。
    なぜあえて乳に注目するのかという説明が弱いので、これもやっぱりラベルの貼りなおしに見える。

    5章日本のポルノ映画とレイプ表現。
    こう描かれていますよという説明だとわかっていても胸糞悪い……
    この文章じゃなくて現実が。
    そしてまた物足りない。ここに描いてあることは前提であって、そこからの発展が読みたいんだけどなあ。

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著者プロフィール

山崎 明子(やまさき・あきこ)
1967年、京都府生まれ。千葉大学大学院社会文化科学研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、奈良女子大学生活環境科学系教授。視覚文化論、美術制度史、ジェンダー論。著書に『近代日本の「手芸」とジェンダー』(世織書房)、共著に『歴史を読み替えるジェンダーから見た日本史』(大月書店)、『視覚表象と音楽』(明石書店)、『ひとはなぜ乳房を求めるのか』(青弓社)、『〈妊婦〉アート論』(青弓社)、『問いかけるアイヌ・アート』(岩波書店)、『現代手芸考』(フィルムアート社)など。

「2023年 『「ものづくり」のジェンダー格差』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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