アニメと声優のメディア史 なぜ女性が少年を演じるのか

  • 青弓社
3.13
  • (3)
  • (0)
  • (10)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 216
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787234780

作品紹介・あらすじ

魔法少女、アイドル、萌え……戦後のラジオドラマが生んだ女性声優はアニメの変遷とともに多様で多層的な世界を築いている。少年から青年まで性と年齢を超えるキャラクターを演じてジェンダーを攪乱する実態を中心に、「声の演技」とアニメの歴史を描き出す。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 緒方恵美さんのご自伝を読んでから、こちらも気になって読んだ。
    硬いっちゃ硬い本で、緒方さんに直接関連する部分は思ったより少なかったけれど、声優の長い歴史のなかで緒方さんが果たした役割が掴めたような気がする。やっぱりすごい方だ。

    永井一郎さんが声優に対する偏見と闘ってきたこと、舞台もアニメも演じることには変わらないと力強い永井さんの言葉にも感動。もう一回『母をたずねて三千里』を見たくなった。

  • どんなことにも、それが生まれた歴史がある。女性声優が少年キャラを演じるのは、日本でアニメを見てきた者にとっては当たり前のことだけど、もしなにかが違ってたら、当たり前ではなかったのかもしれないな。

  •  女性声優が少年役を演じるという現象は占領期のラジオドラマにまでさかのぼることができた。

     当初の理由は子役を扱うにおいての経済的倫理的理由が大であったが、時を経るに従い、女性声優は単に少年にとどまらず、青年・成人男性をも演じるようになり、アニメにおいてキャラクターのデータベース化が進むと、両性具有的な役までが熱狂的な人気をもって受け入れられるようになった。

     このように女性声優はアニメを中心に様々な領域においてジェンダー越境的な新しい物語世界を創出している。

     本書は上述のように女性声優が少年役を演じるというこのについての考察を中心に、戦後から現在に至るまでの「声優」というアーティストについて、アニメ研究やメディア史の観点で記述したものである。

  •  
    ── 石田 美紀《アニメと声優のメディア史
    ~ なぜ女性が少年を演じるのか 20201221 青弓社》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4787234781
     
    ♀Ishida, Minori 視聴覚文化論 1972‥‥ 京都 /新潟大学経済科学部教授
     
    …… 日本の漫画やアニメについての文化論は多いが、声優まで含めた
    ものはまだ少ないようだ。サブカルチャーに詳しい著者は1972年生まれ。
    京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。
     声優にまで射程を伸ばした斬新な論考だ。
     
    ・性も年齢も超える
     野沢 雅子、小原 乃梨子、田中 真弓、緒方 恵美、高山 みなみ......。
    アニメの少年を女性の声優が演じるのは、日本アニメの特徴だという。
    こうした配役はどのようにして生まれ、アニメ文化に何をもたらしてき
    たのだろうか――というのが本書のテーマだ。
     
     少年を演じる女性声優を軸にアニメと声優の歴史をたどり、日本が独
    自に育んできたアニメと声の文化を描き出す。子役起用が難しいという
    制約から始まった少年役に女性声優をあてる配役は、魔法少女もの、
    アイドルアニメ、萌えアニメ、BLなどのアニメの変遷とともに多様な広
    がりを見せてきた。性も年齢も超え、恋愛対象としての「イケボ」の青年
    まで演じる女性声優は、外見とキャラクターとの差異やジェンダーの
    ズレから、視聴者に独特の欲望を喚起してきたという。
     
     みんなに愛される少年から女性が恋する青年までの女性声優を切り口
    に、アニメと声優のメディア史を考察している。本書は以下の構成。戦
    後のラジオ放送の時代までさかのぼり、声優の歴史をたどっている。
     
    ・歌手やタレントとしても活躍
     近年、声優人気はうなぎのぼり。人気職業になり、歌手やタレント、
    俳優などとしてマルチに活躍する人も少なくない。
     雑誌《声優グランプリ 19‥‥‥ 主婦の友インフォス》
    はすでに創刊26年になる。
     お堅いイメージの強い岩波からも人気声優が出しているが、本書のよ
    うな声優についての学術書は珍しい。
     
    ―― 森川 智之《声優 声の職人 20180421 岩波新書》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4004317142
     
    ―― 堀 あきこ/守 如子・編《BLの教科書 20200720 有斐閣》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4641174547
     
    ―― 石田 美紀《密やかな教育〈やおい・ボーイズラブ〉前史 20081108 洛北出版》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4903127087
     
    ―― ミツヨ ワダ マルシアーノ・松浦 雄介・北浦 寛之・西村 大志
    ・一ノ瀬 正樹・出口 康夫・近森 高明・岩田=ワイケナント
    ・クリスティーナ・須藤 遙子・久保 豊・谷川 建司・馬 然・名取 雅航
    ・長門 洋平・石田 美紀《〈ポスト3.11〉メディア言説再考 20190225 法政大学出版局》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4588675222
     
    ―― 小山 昌宏 & 須川 亜紀子《アニメ研究入門 [応用編]
    ――アニメを究める11のコツ 20181120 現代書館》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4768458408
     
    ―― 藤井 仁子・編《入門・現代ハリウッド映画講義 20080301 人文書院》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4409100246
     
    https://www.excite.co.jp/news/article/Jcast_trend_403050/
     エキサイトニュース 20210116 12:00
    https://egg.5ch.net/test/read.cgi/moeplus/1611035009/-100
     
    (20210119)
     

  • 2021I126 778.77/I
    配架場所:C2

  • 題名と副題は逆にすべき、偏って浅く、広くは無い

  • 2021年度貸出ランキング 電子ブック(KinoDen)部門TOP5入り作品
    https://kinoden.kinokuniya.co.jp/shobi/bookdetail/p/KP00046444
    ※学外で利用する場合は、マイライブラリからアクセスしてください

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/755489

全12件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1972年、京都府生まれ。新潟大学経済科学部学際日本学プログラム教授、新潟大学アニメ・アーカイブ研究チーム共同代表。専攻は視聴覚文化論。著書に『アニメと声優のメディア史』(青弓社)、『密やかな教育』(洛北出版)、共著に『BLの教科書』(有斐閣)、『アニメ研究入門 応用編』(現代書館)、『入門・現代ハリウッド映画講義』(人文書院)など。

「2022年 『グローバル・アニメ論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

石田美紀の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×