アニメと声優のメディア史 なぜ女性が少年を演じるのか

  • 青弓社 (2020年12月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784787234780

作品紹介・あらすじ

魔法少女、アイドル、萌え……戦後のラジオドラマが生んだ女性声優はアニメの変遷とともに多様で多層的な世界を築いている。少年から青年まで性と年齢を超えるキャラクターを演じてジェンダーを攪乱する実態を中心に、「声の演技」とアニメの歴史を描き出す。

みんなの感想まとめ

声優の歴史とその変遷を深く掘り下げた本書は、特に女性声優が少年キャラクターを演じる現象に焦点を当てています。読者は、緒方恵美や永井一郎といった著名な声優の影響を通じて、声優業界の歴史的背景や、性別を超...

感想・レビュー・書評

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  • 緒方恵美さんのご自伝を読んでから、こちらも気になって読んだ。
    硬いっちゃ硬い本で、緒方さんに直接関連する部分は思ったより少なかったけれど、声優の長い歴史のなかで緒方さんが果たした役割が掴めたような気がする。やっぱりすごい方だ。

    永井一郎さんが声優に対する偏見と闘ってきたこと、舞台もアニメも演じることには変わらないと力強い永井さんの言葉にも感動。もう一回『母をたずねて三千里』を見たくなった。

  • どんなことにも、それが生まれた歴史がある。女性声優が少年キャラを演じるのは、日本でアニメを見てきた者にとっては当たり前のことだけど、もしなにかが違ってたら、当たり前ではなかったのかもしれないな。

  •  女性声優が少年役を演じるという現象は占領期のラジオドラマにまでさかのぼることができた。

     当初の理由は子役を扱うにおいての経済的倫理的理由が大であったが、時を経るに従い、女性声優は単に少年にとどまらず、青年・成人男性をも演じるようになり、アニメにおいてキャラクターのデータベース化が進むと、両性具有的な役までが熱狂的な人気をもって受け入れられるようになった。

     このように女性声優はアニメを中心に様々な領域においてジェンダー越境的な新しい物語世界を創出している。

     本書は上述のように女性声優が少年役を演じるというこのについての考察を中心に、戦後から現在に至るまでの「声優」というアーティストについて、アニメ研究やメディア史の観点で記述したものである。

  •  
    ── 石田 美紀《アニメと声優のメディア史
    ~ なぜ女性が少年を演じるのか 20201221 青弓社》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4787234781
     
    ♀Ishida, Minori 視聴覚文化論 1972‥‥ 京都 /新潟大学経済科学部教授
     
    …… 日本の漫画やアニメについての文化論は多いが、声優まで含めた
    ものはまだ少ないようだ。サブカルチャーに詳しい著者は1972年生まれ。
    京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。
     声優にまで射程を伸ばした斬新な論考だ。
     
    ・性も年齢も超える
     野沢 雅子、小原 乃梨子、田中 真弓、緒方 恵美、高山 みなみ......。
    アニメの少年を女性の声優が演じるのは、日本アニメの特徴だという。
    こうした配役はどのようにして生まれ、アニメ文化に何をもたらしてき
    たのだろうか――というのが本書のテーマだ。
     
     少年を演じる女性声優を軸にアニメと声優の歴史をたどり、日本が独
    自に育んできたアニメと声の文化を描き出す。子役起用が難しいという
    制約から始まった少年役に女性声優をあてる配役は、魔法少女もの、
    アイドルアニメ、萌えアニメ、BLなどのアニメの変遷とともに多様な広
    がりを見せてきた。性も年齢も超え、恋愛対象としての「イケボ」の青年
    まで演じる女性声優は、外見とキャラクターとの差異やジェンダーの
    ズレから、視聴者に独特の欲望を喚起してきたという。
     
     みんなに愛される少年から女性が恋する青年までの女性声優を切り口
    に、アニメと声優のメディア史を考察している。本書は以下の構成。戦
    後のラジオ放送の時代までさかのぼり、声優の歴史をたどっている。
     
    ・歌手やタレントとしても活躍
     近年、声優人気はうなぎのぼり。人気職業になり、歌手やタレント、
    俳優などとしてマルチに活躍する人も少なくない。
     雑誌《声優グランプリ 19‥‥‥ 主婦の友インフォス》
    はすでに創刊26年になる。
     お堅いイメージの強い岩波からも人気声優が出しているが、本書のよ
    うな声優についての学術書は珍しい。
     
    ―― 森川 智之《声優 声の職人 20180421 岩波新書》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4004317142
     
    ―― 堀 あきこ/守 如子・編《BLの教科書 20200720 有斐閣》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4641174547
     
    ―― 石田 美紀《密やかな教育〈やおい・ボーイズラブ〉前史 20081108 洛北出版》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4903127087
     
    ―― ミツヨ ワダ マルシアーノ・松浦 雄介・北浦 寛之・西村 大志
    ・一ノ瀬 正樹・出口 康夫・近森 高明・岩田=ワイケナント
    ・クリスティーナ・須藤 遙子・久保 豊・谷川 建司・馬 然・名取 雅航
    ・長門 洋平・石田 美紀《〈ポスト3.11〉メディア言説再考 20190225 法政大学出版局》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4588675222
     
    ―― 小山 昌宏 & 須川 亜紀子《アニメ研究入門 [応用編]
    ――アニメを究める11のコツ 20181120 現代書館》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4768458408
     
    ―― 藤井 仁子・編《入門・現代ハリウッド映画講義 20080301 人文書院》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4409100246
     
    https://www.excite.co.jp/news/article/Jcast_trend_403050/
     エキサイトニュース 20210116 12:00
    https://egg.5ch.net/test/read.cgi/moeplus/1611035009/-100
     
    (20210119)
     

  • なぜ歴史は理解されず、繰り返されるのか
    ――「女性が少年を演じる」構造から見るメディア史の前提

    なぜ女性が少年を演じるのか。

    アニメと声優のメディア史 なぜ女性が少年を演じるのかは、
    この問いを歴史的背景から解き明かしていく。

    だが本質は、事実の整理ではない。
    むしろ

    「なぜそれが理解されないのか」

    という問題にある。

    第一次声優ブーム以降、この構造は繰り返し現れている。
    にもかかわらず、毎回“新しい現象”として扱われる。

    ここに第一の逆理がある。

    本来、歴史は繰り返しを防ぐために存在する。
    しかし現実には

    歴史があるからこそ、同じことが繰り返される。

    なぜか。

    それは歴史が「知識」として消費され、
    前提として共有されていないからだ。

    「女性が少年を演じる」という構造も同様である。

    これは単なる演技上の選択ではない。

    声質
    表現様式
    制作体制
    メディア環境

    これらが複合的に作用した結果として成立している。

    つまりこれは

    歴史的に形成された最適解

    である。

    しかしこの前提が理解されないと、どうなるか。

    なぜそうなっているのか分からない
    表面的な模倣だけが行われる
    構造が崩れる

    ここに第二の逆理がある。

    最適解であるはずの構造が、
    理解されないまま使われることで

    劣化コピーとして再生産される。

    団長が述べられた通り、

    「理解できない人が多いからこそ今がある」

    これは極めて重要な指摘である。

    問題は知識量ではない。
    **歴史を“前提として扱えるかどうか”**だ。

    ここで、あの言葉が意味を持つ。

    「歴史は繰り返す。
    一度目は悲劇として、二度目は喜劇として。」

    この構造を読み替えるとこうなる。

    一度目:文脈の中で発生する(必然)
    二度目:文脈を失って再現される(誤用)

    ここに第三の逆理がある。

    再現しようとする行為そのものが、
    本来の意味を破壊する。

    ではなぜ、人は歴史を理解できないのか。

    理由は単純である。

    歴史は結果であり、過程ではないからだ。

    私たちは完成された形だけを見る。
    だがそこに至る選択や制約は見えない。

    その結果、

    形だけを取り入れ
    背景を無視し
    同じ失敗を繰り返す

    ここで終極に至る。

    歴史を学ぶ意味は、再現ではない。

    「どの条件でその構造が成立したのか」を理解すること

    である。

    なぜその選択がなされたのか
    どの制約が存在していたのか
    何が最適化されていたのか

    これを把握しない限り、
    歴史は知識のまま終わる。

    ゆえに結論は一つである。

    歴史は繰り返されるのではない。
    繰り返されるように扱われている。

    そしてそれを止める方法もまた一つだ。

    前提として扱うこと。

    それができたとき、初めて
    過去は“材料”ではなく“判断基準”になる。

    ――それが、メディア史が持つ本来の役割である。

  • 国立女性教育会館 女性教育情報センターOPACへ→https://winet2.nwec.go.jp/bunken/opac_link/bibid/BB11481893

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1337948

  • 丸の部分はポップガード。
    昔は洋画の吹き替えが生放送だった。

    プレスコでは声優の声の質やセリフのニュアンスが絵に生かされている。
    アフレコは仕上がった絵に声優が従う、、、アニメーターが描く原画や動画から生まれる視覚的、作画的要素(造形、表情、動き)に声優の演技が微細なレベルで同期することが求められる。

    アニメを構成する視覚的、聴覚的表現の双方を刺激してきた。

  • 2021I126 778.77/I
    配架場所:C2

  • 題名と副題は逆にすべき、偏って浅く、広くは無い

  • 2021年度貸出ランキング 電子ブック(KinoDen)部門TOP5入り作品
    https://kinoden.kinokuniya.co.jp/shobi/bookdetail/p/KP00046444
    ※学外で利用する場合は、マイライブラリからアクセスしてください

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/755489

  • アニメ黎明期から現在に至るまでの声優の立ち位置の変遷(当初積極的に姿を見せなかったのが、今はその逆など)や製作の裏事情は興味深かった。洋画の吹き替えの良し悪しが、必ずしも俳優と声優の声質の一致でないのと同様、アニメキャラの演者が年齢と性別に束縛されないのは、ある意味自然で、絵物語が持つ創造性の特徴のように思える。本書では後半專らジェンダー論的な内容になり、萌えやBLの分析も入るが、2次元で展開される変態的な性の倒錯(解放?)すらも、アニメ表現ゆえの強み。全般に理屈っぽく、最後は付いていけなかった。

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著者プロフィール

1972年、京都府生まれ。新潟大学経済科学部学際日本学プログラム教授、新潟大学アニメ・アーカイブ研究チーム共同代表。専攻は視聴覚文化論。著書に『アニメと声優のメディア史』(青弓社)、『密やかな教育』(洛北出版)、共著に『BLの教科書』(有斐閣)、『アニメ研究入門 応用編』(現代書館)、『入門・現代ハリウッド映画講義』(人文書院)など。

「2022年 『グローバル・アニメ論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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