- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784787234780
作品紹介・あらすじ
野沢雅子、小原乃梨子、田中真弓、緒方恵美、高山みなみ……。アニメの少年を女性の声優が演じることに、違和感はまったく感じない。しかしこれは、ディズニーアニメで少年を子どもが演じるのとは対照的な、日本アニメの特徴だ。こうした配役はどのようにして生まれ、アニメ文化に何をもたらしてきたのだろうか。
少年を演じる女性声優を軸にアニメと声優の歴史をたどり、日本が独自に育んできたアニメと声の文化を描き出す。子役起用が難しいという制約から始まった少年に女性声優をあてる配役は、魔法少女もの、アイドルアニメ、萌えアニメ、BLなどのアニメの変遷とともに実に多様な広がりを見せている。性も年齢も超えて恋愛対象としての「イケボ」の青年まで演じる女性声優は、外見とキャラクターとの差異やジェンダーのズレから、視聴者に独特の欲望を喚起している。
みんなに愛される少年から女性が恋する青年までの女性声優を切り口に、アニメと声優のメディア史を考察する。
目次
序 章 少年役を演じる女性声優――リミテッド・アニメーションと声
第1部 少年役を演じる女性声優の歴史
第1章 連続放送劇と民主化
第2章 子どもを演じること――木下喜久子と『鐘の鳴る丘』
第3章 他者との同期――一九五〇年代テレビ黎明期における声の拡張
第4章 アニメのアフレコにおける声優の演技
第5章 東映動画という例外――一九五〇年代末から一九六〇年代における子役の起用
第2部 ファンとの交流と少年役を演じる女性声優
第6章 アニメ雑誌とスター化する声優――一九七〇年代の変化
第7章 声優とキャラクターの同一視――一九八〇年代の新人声優たち
第8章 「萌え」と「声のデータベース」――一九九〇年代におけるキャラクターの声
第9章 「萌え」の時代に少年を演じること
第10章 受け継がれている「ずれ」と「萌え」――キャラクターに仮託された理想
第11章 声とエロティシズムの領域――少年役を演じる女性声優の現在
おわりに
感想・レビュー・書評
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緒方恵美さんのご自伝を読んでから、こちらも気になって読んだ。
硬いっちゃ硬い本で、緒方さんに直接関連する部分は思ったより少なかったけれど、声優の長い歴史のなかで緒方さんが果たした役割が掴めたような気がする。やっぱりすごい方だ。
永井一郎さんが声優に対する偏見と闘ってきたこと、舞台もアニメも演じることには変わらないと力強い永井さんの言葉にも感動。もう一回『母をたずねて三千里』を見たくなった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
どんなことにも、それが生まれた歴史がある。女性声優が少年キャラを演じるのは、日本でアニメを見てきた者にとっては当たり前のことだけど、もしなにかが違ってたら、当たり前ではなかったのかもしれないな。
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女性声優が少年役を演じるという現象は占領期のラジオドラマにまでさかのぼることができた。
当初の理由は子役を扱うにおいての経済的倫理的理由が大であったが、時を経るに従い、女性声優は単に少年にとどまらず、青年・成人男性をも演じるようになり、アニメにおいてキャラクターのデータベース化が進むと、両性具有的な役までが熱狂的な人気をもって受け入れられるようになった。
このように女性声優はアニメを中心に様々な領域においてジェンダー越境的な新しい物語世界を創出している。
本書は上述のように女性声優が少年役を演じるというこのについての考察を中心に、戦後から現在に至るまでの「声優」というアーティストについて、アニメ研究やメディア史の観点で記述したものである。 -
2021I126 778.77/I
配架場所:C2 -
題名と副題は逆にすべき、偏って浅く、広くは無い
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2021年度貸出ランキング 電子ブック(KinoDen)部門TOP5入り作品
https://kinoden.kinokuniya.co.jp/shobi/bookdetail/p/KP00046444
※学外で利用する場合は、マイライブラリからアクセスしてください -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/755489