フェイクニュースの生態系 (青弓社ライブラリー)

著者 :
制作 : 藤代 裕之 
  • 青弓社
3.30
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本棚登録 : 115
感想 : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787234971

作品紹介・あらすじ

アメリカ大統領選挙以降、フェイクニュースは国内外を問わず社会的な問題となっている。だが、国内の実態はほとんど明らかになっていない。日本国内のフェイクニュースはどのように生まれ、なぜ広がるのか。

2017年の衆議院議員総選挙、18年の沖縄県知事選挙の2つの選挙、20年の新型コロナウイルス感染症拡大時の「デマ」――各事例をもとに、ソーシャルメディアやまとめサイト、既存メディア、ポータルサイトの相互作用で、フェイクニュースが生成・拡散するプロセスを実証的に分析する。そして、フェイクニュースは、ソーシャルメディア時代において、ニュースが生成され、拡散するニュースの生態系そのものから生み出される構造問題であることを指摘する。また、フェイクニュースに対抗するために必要性が議論されているメディアリテラシーやファクトチェックについては、逆効果になりかねないと警鐘を鳴らす。

汚染の構造と複合的な要因を踏まえ、フェイクニュース生態系における汚染の連鎖を断ち切るために、プラットフォームを運営する企業、既存メディア、個人、それぞれの役割を確認する。そのうえで、多様なメディアと多様な考えの人々により構成され、相互作用が生み出す豊かなニュース生態系を実現する道筋を照らし出す。

感想・レビュー・書評

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  • 正しさ求め誤る矛盾 回避必要
    評 武田徹(ジャーナリスト)
    <書評>フェイクニュースの生態系:北海道新聞 どうしん電子版
    https://www.hokkaido-np.co.jp/sp/article/614312?rct=s_books

    フェイクニュースの生態系 | 青弓社
    https://www.seikyusha.co.jp/bd/isbn/9784787234971/

  • 読み終えた直後の、さらりとしたまとめ。

    増えつづけるフェイクニュースに対して、私たちはどうすればいいのか。

    嘘を見抜く、と個人スキルだけでは、もう既にどうにもならなくなっており、ニュースそれ自体の「生態系」を見直さなければならない、と著者は述べている。

    騙された方が悪いだとか、見破るスキルを身につけるべきだ、といった、「自己責任論」で片付けていない点は、あまり類を見ないような気がします。

    また、「疑ってかかる」ことを盲信的に取り組むのが、なぜいけないかについても言及されている。

    インターネットで見るような、「メディアリテラシーの身につけ方」に留まらないような内容の深さがあって、その点においても、おもしろい本だ、と思いました。

    ニュースそのものを見るべきではない、と主張している、『News Diet』 (ロルフ・ドベリ著)も正しい。
    しかしながら、ソーシャルメディアがあまりに浸透している現代に、それをやってのけるには、段階的でないと難しい。

    フェイクニュースとどう向き合うか。
    私にとっては、第6章で取り上げられた、『ニュースを「景色」として見る(P210)』、という考えが、受動的でありながらも選択的な考え方であって、ものすごくしっくりくるな、と感じました。

  •  ロシアがウクライナに仕掛けた戦争。ロシアの方からのプロパガンダがすごいのですが,それに気づかないロシア国民もたくさんいるようです。今日(2022/03/22)のテレビにも,ロシアの若者が出てきていて,「軍事施設しか攻撃していないと思う」「ほかの国で流されているのは,以前の戦争の映像だ」などと言っていました。自分が信じてしまうと,本当の映像もフェイクニュースになってしまうんですね。だから,このフェイクニュースというのは扱いづらいのです。
     本書は,その扱いづらさがどこから来ているのか,ということを明らかにしてくれます。わたしたちは,もう,いつもフェイクニュースに囲まれて生きています。先のロシア人のように,本当のフェイクをフェイクと思わずに,ちゃんとした映像の方をフェイクと判断することだってあるのです。こうなってくると,どうすればいいのかわかんなくなります。
     著者は,なんでも疑ってかかるという態度も危ないといいます。それこそ,フェイクに突き入られることもある。確かに,正しい情報には正しく付き合うのがいいんですからね。なんでも疑うことで,正常な判断ができなくなります。
     その一方で,情報にだまされたくないからと,情報に対して常に受動的になろうとする若者が増えているのではないかという指摘もあります。

     ニュースに対して受動的であろうとするのは,能動的に読み解くと,考え方が固定化したり,極端な言説に近づいたりしてしまう危険性が高まるため,一歩引いておくためである。景色とバイキングという言葉で表現される若者の態度は汚染されたニュース生態系で生きていくために経験的に獲得したサバイバルの知恵と言える。(本書212ペ)

     だから「新聞の社説は読まない」と言っている若者もいるそうです。これって,昔々のノンポリの態度なのかな。このところ「支持政党なし」という国民が多くなっているようですが,もしかしたら,どんな政党からも騙されたくない,だから,わたしの立ち位置は自分だけの立ち位置でいたい,ということの現れかも知れません。がしかし,それでいいのかと心配になります。何事も中立でいたい,と思うのは勝手ですが,そんなことはできない。中立というのは結果的には多数派を助けるだけですからね。ということは,いつも多数派に流される生き方をしていることにもなる。
     本書から離れてしまいそうです。
     本書の特徴は,フェイクニュースを見破ろうと呼びかけるのではありません。それはすでに無理がある。それほどまでに,わたしたちはフェイクニュースの生態系の中に住んでしまっている。生態系ですから,自分だけでどうにかなるものではない。フェイクニュースは作る人がいるけれども,それを拡散する人もいる。わたしたちは,そういう人たちの生態系の中に一緒に住んでいる以上,そのフェイクニュースとは付き合っていかなければならない。
     わたしとしては,自分にはフェイクニュースを見破る力がほしいなと思います。そのためにも,いろんなことを学習する必要がある。
     今回のウクライナのことも,なぜ,戦争になったのか。プーチンだけを責めることはできるのか? イスラエルがアラブに武力行使したとき,なぜ,世界の国ぐにはだまっているのか。よく分からないです。日本のマスコミが報道するのは,アメリカ発の情報ばかり。これで,本当に戦争が収まるのでしょうか。ウクライナに武器を与えれば与えるほど,戦争は長引くだけです。そして多くの人(ウクライナもロシアも)が死んでいく。もし,武器を与えなければ早々に降参する。降参したら,両国で生き残る人間が増える。それがいいことなのか,いけないことなのか。
     こんな時に中立なんて言っていられるのか。ウクライナ支援に募金した人は「ウクライナ人よ,もっと闘え」と言っているのだろうか。逃げてきた人には親切にしたいという気持ちだけなのか。
     残念ながら,わたしの中の結論はなし。将来の歴史が証明してくれるのだろうな。
     でも,今一度,ロシアやウクライナの歴史を学習する必要があると思う。ということで,少しずつ調べているのである。

  • 「フェイクニュース」は、今の時代、何らかの形で見聞きする。





    著者は、フェイクニュースは情報汚染であり、生態系の問題と指摘している。個人で見抜けるレベルを超えているからだ。




    テレビやラジオのような既存メディアがフェイクニュースを広める役割を果して、更にはYahoo!のようなポータルサイトも拡散するツールとなっている。




    最後でメディアリテラシーに欠けている視点について次のように述べている。批判的に情報を読み解くことは、自らの考えの正しさを求める姿勢と表裏一体である。そもそも情報はあいまいなものであり、社会には正解がないことが多い。





    試験問題のように模範正解を追い求めても人生には模範解答はないのだから、清く正しいが正義から抜け出さないとフェイクニュースの思うツボかな。

  • 詳しい内容だけれど
    生態系
    というならばもう少し理論的なモデル化などもあると良かったかな

  • ビジネス保守の登場など、基本的には「カネ」と結び付いていることを留意したい。ニュースは受け流すことが肝要かも。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50254158

  • 2021年度第2回見計らい選定図書
    http://133.11.199.94/opac/opac_link/bibid/2003576555

  • 日経新聞20211127掲載
    東京新聞2021124掲載 評者:武田徹

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著者プロフィール

1973年、徳島県生まれ。法政大学社会学部教授。徳島新聞社、NTTレゾナントを経て現職。専攻はソーシャルメディア論。著書に『ネットメディア覇権戦争』(光文社)、『発信力の鍛え方』(PHP研究所)、編著書に『ソーシャルメディア論・改訂版』(青弓社)、共著に『アフターソーシャルメディア』(日経BP)など。

「2021年 『フェイクニュースの生態系』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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