ケアする声のメディア ホスピタルラジオという希望 (青弓社ライブラリー 109)

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  • 本 ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787235350

作品紹介・あらすじ

病院内の小さなスタジオから放送するホスピタルラジオ。ボランティアが制作を担当し、患者がベッドサイドで耳を傾け、医療従事者やリスナー同士のコミュニケーションも促進する「ケアする声」の実践を、発祥地イギリスと日本国内の事例で詳細に紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • “病院ラジオ”の源流を英国に訪ねて~“ケアするメディア”の現在地~|読むらじる。|NHKラジオ らじる★らじる(放送日:2024/03/19)
    https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/my-asa/myk20240319.html

    病院ラジオ - NHK
    https://www.nhk.jp/p/hospital-radio/ts/4LP7MJWPN9/

    立命館大学映像学部小川明子研究室
    https://mediaconte.net/ogawa/

    小川研究室 | 名古屋大学大学院情報学研究科/情報学部
    https://mediaconte.net/ogawa/

    教員紹介:小川明子(おがわ あきこ) | 情報玉手箱
    https://tamatebako.i.nagoya-u.ac.jp/3004/

    ケアする声のメディア ホスピタルラジオという希望 | 青弓社
    https://www.seikyusha.co.jp/bd/isbn/9784787235350/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「院内ラジオ」存在意義は [評]高瀬毅(ノンフィクション作家)
      <書評>ケアする声のメディア:北海道新聞デジタル
      https://www.h...
      「院内ラジオ」存在意義は [評]高瀬毅(ノンフィクション作家)
      <書評>ケアする声のメディア:北海道新聞デジタル
      https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1022618/
      2024/06/10
  • NHKの「病院ラジオ」を皮切りに、病院内でのホスピタルラジオの取り組みが紹介される。自分もradikoでラジオを聴きながら通勤電車を行き帰りしているけど、毎日同じ時間に同じ番組の音楽やDJの会話を聞くとホッとする。病院のベッドで寄り添う声を聴けるのはケアにつながると思う。海外の歴史や取り組みなど、沢山の参考文献とともに詳述されている。

  • イギリスの病院には「ホスピタルラジオ」という取り組みがある。
    入院患者を気分的に慰め、回復を助けるため、1920年代に始まり、2022年6月時点で154のホスピタルラジオ局がある。
    患者に双方向型で音楽、クイズやビンゴなどエンターテイメントを提供したり、ボランティアが病棟を訪れコミュニケーションを図ったり、医療情報番組を放送したりしているという。
    結果的に患者の不安が軽減され、ナースコールが減ったそうだ。
    日本では、2018年8月、NHKがお笑いコンビ、サンドイッチマンによる「病院ラジオ」という番組を放送、話題を呼んだ。
    そして、2019年12月、愛知県豊明市にある藤田医科大学病院で「フジタイム」という院内ラジオ番組が始まった。院内の職員や学生ボランティアがパーソナリティーなどほとんどの業務を担当して制作する1時間前後の患者向け音声番組コンテンツであり、時候の話、最先端の医療情報などを紹介、院内コンサートも再生する。
    スタッフは、多忙な中、技術面や音楽の権利処理など多くの課題を乗り越え、活躍を続けてきた。その原動力は、普段、十分ケアしきれない患者たちの心情に寄り添い、病気と闘う孤独な入院生活の癒しや楽しみになればという気持ちやラジオへの関心、メディアで自己実現をしたいという期待から生まれている。
    病院にとっても、病院広報、医療者と患者との信頼関係の構築、組織内コミュニケーションの活性化といった効果があるようだ。ちなみにコロナ禍の面会制限や対外活動の停止に対応して、2021年5月には近畿大学でも「近大メディカルラジオ」という取り組みが始まっている。
    こういった取り組みは、病院関係者の負担増、メッセージが双方向になりづらいというデメリットから、なかなか広まりにくいようであるが、その一方で、高齢者施設や依存症の回復をサポートする団体においても実践されている。
    全体を通して、学術的でレベルの高い記述も多々あるが「対話」という根源的ケアの重要性は十分伝わってきた。 

  • この本で、ホスピタルラジオという概念を初めて知る。
    筆者曰く、ホスピタルラジオには5つの効能があるという。

     ①双方向のエンターテイメント
     ②コミュニケーション機会の増加
     ③患者の不安解消とつながりの維持
     ④自分らしさの尊重
     ⑤互恵性

    個人的には、④に目新しさを感じると共に、納得させられた。
    「自分の好きな音楽や番組に寄せるメッセージについて考えることは、普段の自分らしさを維持し確認する作業になりうる。リクエストすることは一種の自己表現でもある」
    自己を顧みることは場合によっては辛く大変なことも多いが、ラジオへの投稿をきっかけにチャレンジしてみること自体が、ホスピタルラジオの効能だと思った。

    NHKでサンドウィッチマンがやっている「病院ラジオ」、観たことがないので次回の放送を楽しみに待ちたい。
    日本のホスピタルラジオとしては、他にも藤田医科大学病院の「フジタイム」、Voicyで聴ける「近大メディカルラジオ」がある。
    試しに近大の方を1つ聴いてみたが、すい臓がんを専門とする(?)新任部長さんの回で思いがけずよかった。
    声を通して先生の為人や、近大病院の雰囲気をなんとなく感じることができる。

    ホスピタルラジオ、今後も注目。
    ---------------------------------
    - リクエスト曲を流してくれること、自分のメッセージを名前やペンネームを呼びながら紹介し、自分に向けて語りかけて応援してくれると言うことは、ベッドで病気を抱えて1人横たわる自分の逡巡や存在自体を認めてもらう「救済」といえるかもしれない。深い理解が必ずしも必要なわけではない。状況に配慮しながら「聞いているよ」と語りかける、近すぎない関係がラジオにはある。

    - しかし、それまで自分が置かれてきた環境では出会ったことがないような他者と出会い、その人の困難や苦しみを理解し、より良い対応や関係性を追求することは、他者をケアするだけでなく、自分の思い込みや凝り固まった思考を揉みほぐしてより良い生き方を探ることにもなるのだ。ケアの倫理の本質は、人間を自立した個人というよりも、依存的な存在として認識し、そのつながりを重視するところにある。

  • https://cool.obirin.ac.jp/opac/volume/946473

    ひなたやまにもあります

  • いわゆる病院内ラジオである。NHKでサンドイッチマンがラジオ放送をしている番組があり。最初に見たときには意味がよくわからなかった。
     スマホのアプリや何かで音声が聞けたらいいが、病院内限定なので難しいであろう。リクエストで音楽を流すときに著作権の問題がクリアできないとも記載してあったが、ここが日本の著作権の問題であろう。
     メディアとしてのラジオが意外と若者に聞かれているということはあまり知られていないのでもっとこのことを多く広めるべきであろう。

  • 699
    over the sun
    藤田医科大学院内ラジオ

  • 490.14/オ

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著者プロフィール

1972年、愛知県生まれ。立命館大学映像学部教授。専攻はメディア論、コミュニティメディア研究。著書に『デジタル・ストーリーテリング――声なき想いに物語を』(リベルタ出版)、 共著に『ケアするラジオ――寄り添うメディア・コミュニケーション』(さいはて社)、『日本のコミュニティ放送――理想と現実の間で』(晃洋書房)、論文に「ニュース砂漠とメディア・リテラシー――ジャーナリズムのリソース調達という視点から」(「メディア情報リテラシー研究」第4巻第1号)、“From Self-help to Self-advocacy for People with Disadvantages: Narrating Problems through Japanese Community Radio”(Community Development Journal, bsac15)など。

「2024年 『ケアする声のメディア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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