- 本 ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784787273925
作品紹介・あらすじ
1950年代から80年代までの『ゴジラ』『モスラ』などの特撮映画の歩みをたどり、それを支えた日本のSF史も分析して、戦後のポピュラー・カルチャーが社会的なものと距離を置くようになり、非政治的なジャンルになったプロセスを多角的に照らし出す。
感想・レビュー・書評
-
タイトルから「怪獣」を中心にその批評や周辺環境を通して
戦後のポピュラーカルチャーがどのように変遷してきたか、
を説いた本だと思って借りたのだが、その内容は、黎明期に
あった日本のSFがいかにジャンルとして形成されていった
かを「怪獣」というキーワードから読み解くといった本で、
タイトルとしては「ゴジラと日本SF」と言う方が正確な
気がするな。楽しい読み物ではあったのだが、やはり怪獣
とタイトルにありながらガメラが一切触れられていないのは
淋しいのである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1954年のゴジラから2016年のシン・ゴジラまでを描く。特撮とは、と言うより空想科学映画とは、に重きを置いた大人の読み物。
公開当時の批評から現在に至るまでの変遷を当時の時代背景を踏まえて解き明かす。
1954年公開当時の批評が批判的な物が多いのに吃驚。確かに終戦後9年、原爆投下後9年しか経ってない時代の空気は我々には判らない。多分2度と判らないだろう。其れでも60年代から堕落した怪獣映画がアメリカ版ゴジラ、パシフィックリムを経て遂にシン・ゴジラで見事に再生した事を好意的に評価している。しかし此れも今現在の評価で有り、もしかしたら30年後には全く違う価値観から酷評されているかも知れない。
評価とは時と共に「移ろうもの」と言う視点が面白い。
「虚ろうもの」と言ってもいい。
さて現在各方面から絶賛中の「シン・ゴジラ」は後世どのように評価されるんでしょうか。楽しみです。