水が流れている―屋久島のいのちの森から

  • 野草社
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (99ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787701817

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  • かのヘルマンヘッセが

    庭から生命の輪廻に辿り着いたように



    森に耳を澄ませ 草木の匂いを辿り 光と影の迷宮を行く



    その眼差しと 雲を追い続けた彼の人の目線が

    交わるような 気がして



    辿っていった先で

    時を遡り 大地の彼方まで旅をして



    木に宿った命が歌を唄う

    風が奏でた安らぎが祈りを口ずさむ



    太古の先住民たちが

    まだ我々が この地を踏む前から

    聴いていた その音色のように



    精霊を見たことはなくても 信じたくなる瞬間がある

    太陽が何度でも昇る瞬間に 雨に打たれた後の空の美しさに



    森の中で 川の果てに

    呼吸の先に 鼓動の中に



    神を思う時の 祈りに似て



    時間と水が 重なる

    流れ 過ぎていく



    時に 名前を授け

    永遠の時を 手のひらの中で 区切る



    文明と文化が自然と人口を分け隔て

    大地と月と同じ星であるのに

    宇宙と人智の溝のように

    時の流れが 歪むのか



    数多の自然と際限なく増え続ける人口の分水嶺をなぞるように

    流れ星が今日もまた消えていく





    そうして人が 大地に 生かされて

    空に抱かれ 星に見守られ

    止まった呼吸の苦しさを知る



    息は させられている

    大地に繋がらなければ 歩むこともできないのだから

    信じることを続けなければ 星を見ることもできないのだから

  • 重い飲み水を持ち運ばなくても、川から水をすくって潤いながら、深く山を登っていける屋久島。
    あの屋久島の森、雨、川、沢にふれている気分になれる本。
    私たちはみんな、ほんとうは、もともと水で、水として流れていたもの。
    長い時間をかけて、植物も動物も、全ては水から、それぞれの形に姿をかえて、関わりあって存在している。
    じっと目を閉じて、水の流れを心によびおこさせてくれる、宝ものの本。

           〈98~99ページから引用〉


    森について     

    森は
    土と樹々をかかえて
    永く沈黙しつつ 生きている
    人は その森に帰る

    森は
    ひとつの大きな闇であり
    慈悲である
    人は その森に帰る

    森の底には
    水が流れている
    その水もまた 森である
    人はそこに帰る その森に帰る

  • 屋久島について散文詩と写真で語った本。
    文章はたいしたことはない(コラ!!)が、やはり写真には惹きつけられる。
    田口ランディのエッセイ『聖地巡礼』のなかでこの人についての言及が出てきた時にはびっくりした。
    屋久島に行く友人にこの本を貸そうかと思ったが、貸すのをやめた。特別な地だ、偏見なしでいってきて欲しい。

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