イスラームと文化財

制作 : 野口 淳  安倍 雅史 
  • 新泉社 (2015年10月7日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787715050

作品紹介・あらすじ

文化財の破壊、盗掘、略奪…その背景に宗教があるのか?なぜ繰り返されるのか?イスラーム圏の諸国・地域における実情と、保護・活用に尽力する現地の取り組みを報告する。

イスラームと文化財の感想・レビュー・書評

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  • 非常に興味深かった。イスラームはバーミヤーンの遺跡破壊などによって、偶像崇拝にきわめて厳しく、また他宗教にも非寛容であるというイメージを持たれがちだが、実際はイスラームの教義に反しない限りは共存を認めるという。また、バーミヤーンの仏像にしても、地域においてはすでに宗教的意義は失われていて生活の中に溶け込んでいたという。これらの文化財を破壊するイスラームは、宗教的意味よりも政治的意味のほうを重視して偶像破壊に及んでいるという。

    最も印象的だったのは関廣尚世が記したスーダンの記事。スーダンは紛争とテロ支援国家のイメージばかりがクローズアップされているが、1951年に決まったアスワン・ハイ・ダムの建設に対し、水没する遺跡を守ろうとする文化財保存活動が国を超えて展開し、世界遺産概念の形成に寄与したという。またこのとき守られたヌビア遺跡群は、エジプトとスーダンで現地保存と移籍保存という異なる方法を選び、前者は世界遺産に登録され後者は移築されたので登録されていないという。同じ遺跡群ながら異なったかたちで保存されているというのも(そしてどちらが良いというわけでもないのが)興味深い。

    論考の最後には「歴史を学ぶとは、想像力を養うことだ」という印象的なフレーズも登場する。「文化財は地域の歴史や、それによって形成されるアイデンティティを表象する。それを知ろうとすること、あるいは他へ知ってもらうことは、どうもそれ以上の意味をもつらしい」(p.166)ともいう。ぼくも「それ以上の意味」について、いっそう考えていきたいと思った。

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