人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか (認知科学選書) (新曜社認知科学選書)
- 新曜社 (1993年6月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
- / ISBN・EAN: 9784788504486
感想・レビュー・書評
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偏りの錯誤と回帰の誤謬。
仮説に合致する情報だけを探そうとする傾向。
肯定的な情報を求める傾向がある。
セルフハンディキャッピング=あらかじめ自分の不利な情報を流すこと。失敗したときの言い訳のため。
超能力の存在を裏付ける証拠はほとんどない。実験の間違いやウソが入っている。
誕生日問題=23人でも同じ誕生日の人がいる可能性は50%、35人だと85%。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人間は見たいものを見たいように見る
たまたまの良い結果が常とされ、期待値が無闇に高まってしまうこと
自分がそうだったからと言って他の人に当てはまるとは限らないこと
そもそもそれ自体に本当に効果があるか確立されていないものを信じること
を論理的に説明しようとしている本。
でもこの本自体で取り上げる例がちょっと極端なところがあるように感じて、ちょくちょく疑問も感じた。
一般的にこう考えがちであるとされる例が、自分はそう思わないことや、そういう傾向があることを知っていることも多かったので、途中からは目新しいと感じたり、自分の知らない分野(英語のニュアンスの違いとか)などの拾い読みに。
相関関係を検証するには2x2分割表の全部の情報が必要なのに、「どの部分の情報が必要であるか?」という質問はいじわるじゃない?って思った。
「1つ選べ」と誤解しそうな質問で、「複数選択でもいい」という提示もなければ尚更、その結果を導くための質問って印象を受ける。
人は否定の情報を残念がるから、失敗を「うまくいかない方法だとわかった」と捉えにくいってことなのかな。
自分の主張に合う意見を探してしまいがちというのは思い当たることがあるけど、外向的か判断したいなら「1人で過ごす時間が好きですか?」「大人数は苦手ですか?」みたいな質問かなと思い浮かべながら読んでいたから、そんなわかりやすいところでも仮説に沿う質問を投げかけてしまうことがあるということに驚いた。反対を切っていく考え方というのは思ってたより難しいことなんだな。
東西ドイツの質問、比べるのがスリランカとネパールじゃなくて、フランスとイタリアとかだったらどうなっていたのかな。隣国ですらない別物で、相違点に目が行かないのはただ知らないからだけなのに「相違点を重視してしまう」って話になるのよくわからない。
バスは自分が乗ってしまうからというよりは、行き先が違うものも関係なく数えてしまうからの方がまだわかる。自分側のバス停であっても、行き先が違うのがあれば見送るはずだし、利用者が多ければ本数も変わるはずだから、時間帯によって実際に本数の違いもあるだろうなぁ。 -
出来れば、大学の一般教養科目として履修しておきたい内容です。卒業すれば社会の風雨に晒される学生が身につけるべき基本的な教養が本書には書かれています。社会心理学で頻出する基本用語もわかりやすく解説されています。例えば、誤信認知、偏りの錯誤、回帰の誤謬、バーナム効果、セルフハンディキャッピングなど覚えておいて損のない知識が具体的事例で紹介されています。
世の中の出来事を正しく理解する科学的知性こそが迷信や噂を理性的に選択排除できます。公正かつ批判的にみる能力無しでは、悪意やデマに無抵抗となり、物事を無批判に受け入れる危険性が高まります。日本語訳もわかりやすい良書です。 -
■何もないところに何かを見る/わずかなことからすべてを決める
・人はランダムな事象の配列を正しく認知できず、偶然生じた偏りや連続を見て規則性があると信じがち。例えば、コインを投げると裏と表がほぼ交互に出るはずだと考える。こうした誤った直観を「偏りの錯誤」と呼ぶ。
■欲しいものが見えてしまう
・人は、ある仮説に関する情報を評価する時、仮説に合致する事例を重視したり、そうした事例だけを捜したりする傾向がある。そのため、正しい評価ができない。
仮説を正しく評価するには、得られる情報すべてを活用しなければならない。
・多くの人は、「自分自身について過大評価しがち」。それは、自分に都合がよい結論を導くために、自分勝手な基準を用いて自分の能力を評価するから。
■人づての情報の持つゆがみ
・話が人から人へと伝えられる時、そのまま伝えられることはほとんどない。それは、話し手が、聞き手に細かいことを伝えて負担をかけるべきではないと考え、話を単純化するため。
・人は、話をより面白く有益なものにするために、密接性(話が身近な感じ)を高めることがある。例えば、誰かに起こった出来事を、自分に起こった出来事として話したりする。
■みんなも賛成してくれている?
・人は、自分が持つ意見や信念が、実際以上に社会に支持されていると考える。そのことが、他人の意見や信念を正しく推測することを難しくし、誤信を生み出す原因となっている。
・見解の相違を表明することは、嫌われることにつながりかねない。人はそう考えるため、意見の不一致があっても、ほとんど表明しない。そのため、人々が持つ信念や考えは、健全な批判によって正しく修正される機会を失ってしまう。 -
第1部 誤信の認知的要因
第2部 誤信の動機的要因と社会的要因
第3部 いろいろな誤信の実例
第4部 誤信を持たないための処方箋 -
・toppointで読む
・ゾーンに入るは迷信 -
社会心理学の入門編という感じで、とても分かりやすい。
いかに人が間違いやいい加減なことを信じやすいかを様々な心理学的側面(実証データ)から説明してくれる。
自分でも身につまされることが多々あった。
テーマも色々あって、超能力をなぜ信じるのか、そもそも超能力があるのか、といった面白い話もある。
こんな本を若い頃に読んでいたら、間違いなく社会心理学などを専攻しただろうなぁ -
人間という者がいかに「誤信」しやすいかを解き、それに
対する心構えを説く本。初版1993年と決して新しい本では
ないので、どこかで目にし耳にしたことがあるような内容
ではあるのだが、結局人は同じような誤信を未だに繰り返し
ていることが痛感される。統計的回帰現象と誤信に対抗する
には社会科学を勉強するのが良いという視点が気になった。 -
「なぜ占い師は信用されるのか」+「ツキの法則」+「影響力の武器」って感じ。