- Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
- / ISBN・EAN: 9784788504851
感想・レビュー・書評
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初詣の時期でどこに参拝するかは人それぞれだ。東京の銀座に神社があると言ったら信じてもらえないだろうが、今もひっそり存在している。中にはビルの屋上に鎮座している神社もある。
今回の本は、1994年に発行された古本なので、今だとまた状況も変わっているだろうが、銀座の神社が置かれていた状況を理解するのに役立つ。
銀座の神社で驚いたと言えば、朝日稲荷神社だ。銀座3丁目の松屋の裏にあり、8階建てのビルの屋上に本殿が鎮座している。
銀座 | 朝日稲荷神社 (asahiinari.com)
朝日稲荷神社の存在を初めて知ったのは「ブラタモリ」だ。銀座の一角のビルの屋上に神社と聞いてびっくりしたのを覚えている。
朝日稲荷神社がいつから存在しているかについては、「朝日稲荷神社調書」によると江戸の後期に当たる安政時代に存在している事が伺える。しかし、著者が江戸時代の文献に当たる限り、朝日稲荷神社に言及しているものが見当たらなかった。
都市化波で銀座にある朝日稲荷神社は、そのまま鎮座することができなくなった。昭和39年にガレージの2階へ移された。写真が載っているがまさかのガレージの上にあるとはお稲荷さんも驚いただろう。
ガレージを作って収益によって神社を維持しようと当時の役員は考えていたようだが、それでは無理だったようで、昭和55年のビル化につながっていった。
ふと気になったのは他の社殿の高層化はいつから始まったのか。それは、すでに昭和30年代から始まっていたとあり、驚いた。その動きに対して、神社本庁は昭和45年に「神社の社殿改築と多層建築物について」という通達を出していた。社殿の建築様式に関して次のような制約を設けた。
神社の本殿は、神の御住居でありその形式は「高天原に千木高知り底津石根に宮柱太敷立て」て大地と御本殿は直接つながって居る事を要し(例え盛土をしてでも)又御本殿の床下を他の目的に利用することは避けなければなりません。
それでも、神社本庁の規定に逸脱する事例が出たとして、渋谷にある御嶽神社の例を取り上げている。昭和55年に商工会議所の建築用地を求めていた渋谷区と、本建築を望む御嶽神社の利害が一致して、一部7階建ての共同ビルになった。宮益坂に面して参道と石段があり2階屋上まで続いている。
モクモク羊は以前、行ったことがあるがこういう経緯があったからビルの谷間に神社があるのかと思った。
小さい神社で浮かんでくるのは、人形町にあるパワースポットで有名な小網神社だ。もし、小網神社が銀座にあったらビルの屋上に移った可能性もあるのかな。
都市にある神社は過疎化が進んだ地域にある神社とはまた違った悩みを抱えているなあ。詳細をみるコメント0件をすべて表示