新版 才能ある子のドラマ―真の自己を求めて

  • 新曜社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788505544

作品紹介・あらすじ

アリス・ミラーが説く癒しへの途。あなたが抑圧している、子ども時代の情動のドラマを明るみに出すこと、ミラーの心理療法はそこから始まる。インナーチャイルド思想の原点となった第一作の改訂新版、待望の邦訳。

感想・レビュー・書評

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  • 安冨歩さんの著書 ハラスメントは連鎖する 「しつけ」「教育」という呪縛
    を読んだのがきっかけです。

    これはとてつもなく刺さる良書。
    さっくり読んで本の感想書こうと思って読み始めたら、止まらない。
    やっとたどり着いた。
    ずっと疎外感というか、不信感というか、虚無感みたいなものの一部に触れられた。

    P62〜63 引用以下
    讃嘆が愛を意味するという悲劇的な幻想から、華々しい人が療法なしでは抜け出すことはほとんど不可能です。
    自分の一生を完全にこの愛の代用品に捧げてしまう人も少なくありません。

    かつて幼かったころ、認めてもらいたい、理解してもらいたい、まともにとってもらいたいと求めていた子供の真の欲求が理解され、
    意識した上で体験されうるようにならない限り、愛の象徴をめぐるたたかいは続きます。

    ある女の患者さんはあるとき、まるで自分は今まで竹馬に乗って走っていたような気がすると言いました。
    竹馬に乗って走り続けている人は、自分の脚で走れる人のことを、うらやましく感じるようになりはしないものでしょうか。

    たしかに自分の脚で歩く人は背も低く、「あたり前」にしか見えませんが、そして、竹馬に乗りつづけている人は、
    自分が竹馬なしでは歩くこともできなくなるように仕向けた人に対して、溜まりに溜まった憤りを抱えているのではないでしょうか。

    いつでも健康な人は嫉視されるものですが、それは、健康な人は讃嘆してもらうために休む間もなく努力を続けたりせず、
    何とかして目立たなければともせず、落ち着いて自分のあるがままにいられるからです。

    華々しい人というものは、決して本当に自由ではありえません。いつでも他人の讃嘆が必要なのですから、それに、
    他人の讃嘆というのは、人の特性、役割、業績に結びついており、そんなものはいつ突然崩壊するかわかりません。

    引用終わり

    あ〜終わりだ終わり。
    終わり、自愛だ自愛。

  • 『魂の殺人』の前説とのことで取り組みました。『魂の殺人』はヒトラーの生育史などドラマティックな読みものでした、これはもっと細かく、かつ延々と同じことを仰るものでくたびれました。感じることを禁じる抑圧が親から子へ受け継がれるという一点突破で、アリス・ミラーさんにはそのことが明らかに見えすぎておられるのでした。だからって今の自分の苦しさが楽になるわけじゃないんだな、言葉ではダメで、経験すると反復強迫が軽減する、こともある。Oh...、わたしはどうしたらいいのでしょう(2019-09-01)

  • 1979年から1981年にかけてドイツで発表した『才能ある子のドラマ』、 『魂の殺人』、『禁じられた知』の三部作はインナーチャイルドの原点となった。

  • 私も確かに「才能ある子」の一人でした。
    まるで自分のことを説明してもらっているような感じで読みました。
    特に、76ページからのマヤのエピソードには、大変共感しました。

    以下、抜粋・・・

    マヤ、三八歳は三人目の子どもを出産して何週間か経った時にやってきて、生まれてきた子どもと一緒にいるとどれほど自由で生き生きした感じであるかを話してくれました。上の二人の子どもが生まれた時には、休む間もなく子どもの世話に追われ、子どもに追い使われ「搾取」しているように思い、子どもの当然の欲求に対して腹を立て、そのたびに自分はひどい母親だと後悔していたのですから、その違いは大変なものでした。(略)マヤはこんなことを言いました。たぶん、前の二人の子どもの時に私があんな風になったのは、私自身の母に逆らっていたのかもしれない。自分の子どもに対している時だけ、それが表に出てきたのだと思う。でも、今は全然そういうことはない。以前は愛情を抱こうとしてひどく苦労したけれど、今度の子どもが生まれてからは、何もしないのに自然に愛情が湧いてくる。今は子どもと一緒にいられるのがとても嬉しいし、自分自身に逆らわずにいられて幸福だと。その後こんな風に自分の母親のことを話してくれたのです。
    「私は母の冠を飾る真珠でした。母はいつでも、マヤにまかせておけば大丈夫よ、あの子ならやってくれるわ、と言っていました。私は実際その通りだったのです。(略)母が私を<愛して>くれたのは、私が頑張り屋で、お利口で、しっかりしており、母の行動を問題にしたりせず、母の後を追ったりしないからでした。(略)そのころ私たちを知っていた誰一人、あのがんばり屋で、物静かで、お利口なマヤがこれほど孤独で、これほどつらい思いをしているとは思わなかったでしょう。母のことを誇りに思い、母の役に立つ以外、どうしようがあったでしょう。(以下、略)」

    ・・・抜粋、終わり

    私にも子どもが一人いますが、まだまだ子どもに追い使われて搾取されてるような感じは否めません。
    マヤのように自然に愛情を抱けるようになれたらいいな・・・と思ってます。

    翻訳のせいか、はたまた原文が難しいせいか、読みにくい本ではありましたが、私にとっては大切な一冊です。

  • SDGs|目標16 平和と公正をすべての人に|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/473449

    「児童虐待」を発見した心理学者アリス・ミラーによる著作。幼児に対して加えられる暴力こそが、人間社会の暴力性の根源であると指摘したことで知られる。

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