戦争が遺したもの

  • 新曜社
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本棚登録 : 223
レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788508873

感想・レビュー・書評

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  • 厳密にはまだ読み終わってません。。。

  • 鶴見俊輔氏の「大義というような抽象的なものによって、決断するべきじゃない。人間にはそんなことを判断する能力はないんだ。誰となら、一緒に行動していいか。それをよく見るべきだ。」という発言は、氏が哲学者・思想家であるだけにとても含蓄がある。 『全共闘・三島由紀夫・連合赤軍』や『ベ平連と脱走兵援助』の章からは60年代頃の混沌とした様や熱気が強烈に伝わってきて、いまどきの下手な小説よりはるかに面白い。小熊英二、上野千鶴子氏両氏は鶴見氏の掌の上で上手に泳いでいる。もちろん好印象です。

  • 歴史は紙上にあるものじゃない。これは現実にあってその頃に生き、考え、死んでいった人の息遣いがまるで聞こえてくるように感じられる。
    決して書き直しをしたり、変えたりすることのできない過去、歴史。私たちはそれをどこまで真摯に受け止め、今につながっていることを実感できるものか。
    そんなことを考えさせられた。

  • 素直におもしろかった。お話の中にでてくる、たくさんの人々の著作をわたしはほとんど読んだことはないけれど、生まれ年が約20年ずつずれた3人が一堂に会し、信頼のもとに忌憚なく話される内容が濃密。人間が生きてゆく上で「ぼんやりとして確かなもの」は確実に存在するとわたしも思います。

  • 鶴見俊輔に上野、小熊両名が話を聞く形で進む書籍。
    鶴見の少年としての戦争に対する想いが強烈でこころに残る。
    何度でも読みたいし、いろんな人に薦めた本。自分の子供にも読んでほしい1冊。

  • 小熊 「もともと『嘘は嫌いだ』の純真さで押していくと、保守に行ってしまうという必然性がないでもないと思うんですよ。なぜなら、左派は理念を掲げているけれど、やっぱり政治でもあるので、嘘というか、理念とのずれが目立つ。それにくらべて日本の保守は、理念はなくて本音丸出しの金儲け主義だから、とりあえずの嘘はなさそうに見えるという(笑)。
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     理念があれば現実とのずれがあるのは当然で、それが嘘にみえるから耐えられないといったら、本居宣長みたいに『からごころを去って、清き明き心へ帰れ』になるしかない。それは当然、『現実』とか『伝統』とか『生活』の前で人間の理性の小ささを知れ、という主張になる。そうなれば、政治的には保守になりやすいと思うんです。私のみたところ、感性がよくて純真というか、ナイーヴな人は、若いころは『大人の世界の嘘』を攻撃する姿勢をとるけれど、年をとるにしたがって保守になるというパターンが少なくないですね。」
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    鶴見 「だからまあ、あんまり固い、思いつめた姿勢じゃなくてね(笑)。軽率なのは愛すべきなんだけど、嘘は全部だめだとか、思いつめたのはよくないって(笑)。ほんとうに嘘のない状態に帰ろうなんて、現実には無理ですよ。やるなら自殺するしかない。」
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    小熊 「そこは鶴見さんの最大の矛盾ですよね。昨日の話に出た、戦争に純真に献身している少年兵と、適当にごまかしている老兵とでは、どちらが好きですかという問題と重なります。そもそも鶴見さんは純真な人がお好きだけれど、じつはお父さん譲りの政治的センスもあって、軽率には走らないでしょう。」
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    鶴見 「だから、私は悪人なんだよ(笑)。そこが矛盾しているといえばそうなんだけど……。」
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    本書PP.323-324より

  • 「読みたい本」

  • 烏兎の庭 第二部 書評 12.9.05
    http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto02/bunsho/turumiy.html

  • ・あとがきに、実際には対談中に重い沈黙もあった、というようなことが
     書いてあったが、その様子が想像できる
    ・それぐらい深く鶴見俊輔という人間に踏み込んでいる
    ・戦争や安保を知らない世代の人間としては、
     あの時代の空気を知る1冊としても意味があった
    ・3人それぞれの個性のぶつかり合いが垣間見える部分があり、
     そこもまた面白い

    再読したい一冊。

  • 戦場だけが戦争のすべてではない。「本当の戦争の話」の一つではないか。憲法についても勉強になります

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著者プロフィール

1922年東京生まれ。哲学者。15歳で渡米、ハーヴァード大学でプラグマティズムを学ぶ。アナキスト容疑で逮捕されたが、留置場で論文を書きあげ卒業。交換船で帰国、海外バタビア在勤部官府に軍属として勤務。戦後、渡辺慧、都留重人、丸山眞男、武谷三男、武田清子、鶴見和子と『思想の科学』を創刊。アメリカ哲学の紹介や大衆文化研究などのサークル活動を行う。京都大学、東京工業大学、同志社大学で教鞭をとる。60年安保改定に反対、市民グループ「声なき声の会」をつくる。六五年、ベ平連に参加。アメリカの脱走兵を支援する運動に加わる。70年、警官隊導入に反対して同志社大学教授を辞任。著書に『鶴見俊輔集』(全17巻、筑摩書房)『鶴見俊輔座談』(全10巻、晶文社)『鶴見俊輔書評集成』(全3巻、みすず書房)『戦後日本の大衆文化史』『戦後日本の精神史』(岩波書店)『アメノウズメ伝』(平凡社)ほか。

「2015年 『昭和を語る 鶴見俊輔座談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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