パーソナリティ心理学 (キーワードコレクション)

著者 :
制作 : 二宮 克美  子安 増生 
  • 新曜社
3.29
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本棚登録 : 32
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788510210

作品紹介・あらすじ

人間心理の中核とも言えるパーソナリティについて心理学が明らかにしたことは?重要な概念から研究法、理論、パーソナリティ発達の諸相、歪み、知的側面まで、50のキーワードでわかりやすく解説した術語集。パーソナリティ心理学に関心のあるすべての人が、エッセンスを整理しながら学べる一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 人文科学、社会科学、自然科学の国内研究者たちが
    50のキーワードにおいて
    「パーソナリティ心理学」のいまを語る。

    ぶっちゃけ読んでいて思ったのは、
    「これほどに自然科学が生物のいろはを解き明かしつつある中で
     人文系、社会科学系の人たちはまるでそれを取り入れようと
     していないのではないか?」
    という不満である(笑)。

    フロイトの時代、あるいはエリクソンの時代くらいまでは、
    人間の心理について何を研究者がテーマに決めて、
    どういう結論を出そうとも、別にそこまで批判される筋合いはないと
    思う。
    だって、人間が他の生物とおんなじような進化のルートをたどり、
    たまたまこんな状態にたどり着いた、という認識が広く持たれていなかった、
    言うなれば自然科学と人文社会科学の間に橋が架かっていなかったのだから。

    だが、1980年代以降くらいに研究をメインにしている人たちは、
    そんな言い訳は通じない。
    人間が生物であり、自然淘汰と適者生存の中で残ってきたものだという
    数十億年の科学的知見を踏まえないことには、もはや人間心理は語れない。

    だが本書の執筆陣の何割かには、とてもそういう意識が観られず、
    人文社会科学的な積み重ね
    (申し訳ないけど、ほとんど科学的説得力はもうないですよ)を
    ありがたがって、伝家の宝刀がごとく振り回しているような気がする。

    まぁ、そうなっちゃうのも、それが人間だからだとは思うけれど(笑)。
    自分が何十年か積み重ねてきたものが、ある日別のパワーによって
    「違います」と言われるとき、
    それを正しく受けとめることは人によっては絶大な不快感をもたらすから、
    出来ない人にはできない。
    それができたとしても、「昨日までの積み重ねを放り出して新しい道へ!」
    となるのもまた、さらに困難であろう。

    気質と性格、ということでいえば、
    かつてピンカーが言っていたように
    「研究者向きの先天的気質」はあるような気がする。
    たとえば、ものごとの仕組みを解き明かすことに魅力を覚えるということ。

    だが、きっとそれと、「他人の意見を受け入れられる柔軟さ」もまた
    気質と性格の合わせ技として、重要な資質だと思うけれど、
    それはすべての研究者で発達しているとは思われない。

    私たち一般人が研究者の著作を読む際には、
    その人がどういう軸を持っていて、
    どれくらい幅広く、深く世の中を観察して理解していて、
    新しい科学的知見にどれくらい柔軟に対応して、
    自己進化を続けている人かどうかを
    よく精査する必要があるように思われる。

    そうでないと、オールドタイプの用済み俺様理論に振り回される
    恐れがあるから。

    私個人の意見としては、人間を語るのに社会構築主義的なものは
    一切やめてくださいね、ってことくらいか(笑)。

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    http://www.shin-yo-sha.co.jp/mokuroku/books/4-7885-1021-9.htm
    もくじ

    【目 次】
    Ⅰ パーソナリティの基本概念
    Ⅱ パーソナリティ研究法
    Ⅲ パーソナリティ理論
    Ⅳ パーソナリティ発達の諸相
    Ⅴパーソナリティの歪み
    Ⅵ パーソナリティの知的側面
    人名索引
    事項索引

  • キーワードコレクションシリーズのパーソナリティ版。
    辞書的な要素が強く,広く浅くといった感じ。学者の名前・プロフィールがわりと詳しく記述されているので,参考になる。

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著者プロフィール

愛知学院大学総合政策学部教授。発達心理学・教育心理学・性格心理学。著書:『ガイドライン心理学問題集』(共著,ナカニシヤ出版,2008年),『ガイドライン 発達学習・教育相談・生徒指導』(共著,ナカニシヤ出版,2007年)

「2016年 『ガイドライン学校教育心理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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