- Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
- / ISBN・EAN: 9784788511743
作品紹介・あらすじ
近年の脳研究の発展にはめざましいものがありますが、どのようにして脳から心が立ちあらわれてくるのか、我々は自由意思をもつのかという、心の根本問題への答えはいまだに得られていません。「脳は高度な情報処理機関」というこれまでの考え方は、はたして有効なのでしょうか? 本書は、一般性や反復などの概念にもとづく「科学」という営み全体を捉えなおすことから始めて、この問いに迫ります。「意識の科学」の提出する驚くべき成果を読みほどき、脳科学の哲学的基礎を考えるしなやかな認知哲学の入門書です。
感想・レビュー・書評
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脳科学が、実にややこしい難題を抱えていることが、とてもよくわかる本。人工知能とロボット工学の話が多いですが、トピックは実に包括的。認知科学系の入門書を何冊か読んだ後に、より広い視点を得たい場合に調度良いかと。
また、絶版になってしまった「認知発達と生得性」に紙幅が割かれてる点が、個人的にはすごく嬉しかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
意識とは思考であり、思考とは言語である。
我々の身体は、誰か他人の人間のために計算してやるように作られているのではなく、自らの行動を自ら観察するように出来てるということである。
現代の心理学は脳を主要な研究対象とする自然科学である。 -
「教科書っぽい」という印象なのだけど、それは印象が硬いとかではなく扱っている範囲が広くて「それっぽい」感じがする。
まだ1回しか読んでいないので内容がどうというのは別なのだけど、次々とトピックが変わっていくところがおもしろいのだけど、その反面ちょっと物足りなさがある。
「意識とは情報処理なのか?」あたりについてまだきちんと読めていないのでそのうちに読み返す。というか明日また読む。 -
認知心理学による脳機能の解明、コンピュータと脳の類推による意識の再現に関する議論、そして人間の意思の自由という大きな問題への接続。意識をめぐる問題の概観を見渡すのに良い一冊でした。認知心理学とコンピュータの世界での心についての議論に関して様々な視点が解説されます。
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人間の認知機能について科学的な考察・理論・実験を網羅的に解説した好著。哲学と科学という組み合わせにはトンデモ感が漂うケースがままある中、実に真っ当な論理の展開に、安心して読み進めることができる。情報系の職業人には自信をもっておすすめできる一冊だが、哲学という単語が読者を遠ざけてしまっている気もする。