実践の中のジェンダー-法システムの社会学的記述

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788512542

作品紹介・あらすじ

◆作動中のジェンダーを捉える◆

ジェンダーという言葉は、性と社会をめぐる議論では社会的な性差を指す言葉としてすっかり一般的な表現です。しかし性差が〈社会的〉だとはいったい何を意味するのでしょうか。性差の原因が後天的・人為的だということでしょうか? 著者はこの一般的理解が陥る危険を示し、より豊かな現実の理解のため、社会の現場に戻る経験的な研究を促します。私たちの社会生活は、お互いに行為し理解しあうという〈意味〉をめぐるやりとりであり、「性現象の社会性」はこの社会生活の実際を適切に記述することでこそ明らかになるというのです。フェミニズムやシステム理論が予示した社会秩序の研究を、ジェンダーと法をめぐるトピックを実際に記述するなかで実現する清新な野心作です。

感想・レビュー・書評

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  • 社会のなかのジェンダーを記述することを狙った研究。従来のジェンダー論が、既存の社会秩序の批判に焦点を絞ることで、ジェンダーが社会のなかでどのように現れてくるかについての記述に関して不十分な点があるのではないか、という着想から出発していると思われる。第Ⅰ部は、バトラーの「パフォーマティヴィティ」概念から出発しつつ、ジェンダーを全体社会との関連において記述することを、オースティンの言語行為論、ルーマンのシステム論、そして会話分析などの取り組みに着目することによって、解明している。第Ⅱ部では、まず社会のなかのジェンダー現象のうち、法システムにおいてジェンダーがどのように法的実践と結びついているかを、強姦罪の適用という具体的事例に即して明らかにしている。さらに、『概念分析の社会学』にも収録されているポルノグラフィをめぐる論争の検討によって、ポルノグラフィ概念がどのような問題提起であり、それがどのように射程を狭めて受容されたかを丹念に描き出している。第Ⅰ部での方法論的議論と、第Ⅱ部での具体事例研究とが相互に補完するかたちで研究が展開されており、フェミニズム論一般に慣れ親しんだことのなかった読者にとっても興味深い研究だった。

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プロフィール

1977年生まれ。東京都立大学大学院社会科学研究科社会学専攻博士課程修了。博士(社会学)。明治学院大学社会学部付属研究所研究員。専門はエスノメソドロジー/会話分析。『実践の中のジェンダー――法システムの社会学的記述』(新曜社、2011年)、「評議における裁判員の意見表明」(『法社会学』77号、2012年)、他。

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