真剣に話しましょう 小熊英二対談集

制作 : 小熊英二  古市憲寿  高原基彰  上野千鶴子  小川有美  酒井啓子  篠田徹  湯浅誠  保坂展人  東浩紀  菅原琢  韓東賢  木村草太 
  • 新曜社
3.47
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本棚登録 : 96
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788513990

作品紹介・あらすじ

◆熱論ふたたび!

『〈民主〉と〈愛国〉』 『1968』等の大作を世に問うてきた著者は対談の名手としても知られています。社会学者・上野千鶴子氏との対談では、上野氏の思想の核とその軌跡を描くことで、70年代からの社会変化を逆照射し、貧困に抗する社会活動家・湯浅誠氏との対談では、湯浅氏の「調整」活動の真意を問い、政治と社会をつなぐ運動の姿を模索する。憲法学者・木村草太氏には秘密保護法の是非から法を裏打ちするものを問い、世田谷区長・保坂展人氏には、地盤なき当選の経験と政治文化の変化を聞き出す。対談相手と真摯に向き合い、その思想・活動を丹念に読み込み、圧巻の社会分析へと展開するスタイルは健在です。震災と原発事故以来、混迷錯綜を極める日本において確かな地歩を占める11人の論客との妥協なき対談から、社会を変える兆しが見えてきます。

感想・レビュー・書評

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  • 小熊 あなたは、若くなくなったら若者論はやらないとおっしゃった。私なりに定義すれば、未来で評価される人が若者、現在で評価される人が大人、過去で評価される人が老人です。18歳で引退したスポーツ選手は老人です。あなたはたぶん今は若者のつもりでいるのでしょう。
    古市 そうですね。
    小熊 しかし私の経験からいっても、いろいろな人の事例をみても、未来で評価される期間はそんなに長くないんですよ。気づいたときには、もう未来にむけて蓄積する余裕がなくなっていることも多い。
    古市 余裕がなくて、すり減ったただの大人に。
    小熊 どんな関係でもそうですけど、この人はまだ未来があるという期待があるうちはうまくいくけれども、この人は今後よくて現状維持だなと思われたときから、いろいろな問題が露呈しますね。自分自身との関係もそうです。

  • 設定条件にもよるのかもしれないが、会談での小熊からの遠慮なしの批判も含めての質問とやり取りはちょっと読むほうもビクビク。
    議論は議論できちんとしていて、決して感情的にならないというのは会談相手もさすがというべきか。
    是非でなく、誰がではなく、問題そのものを当事者が客観的に話せるということは大事。
    それを乗り越えられればお互いに理解が進むんだろうが…。
    以前読んだ本で、いろんな人たちが一緒に暮らしている欧州や米国では皆ルーツや宗教観とかが違うので人対人は違って当然、互いに共通点を見出しながら人間関係を構築していくのに対して、日本人はまずお互いが共通との認識でいるところからスタートして、付き合っていくうちに違いを見つけて離れていく。
    もしくは違いに触れないままの関係でいる…旨のことが書いてあったのを思い出した。
    そうなのかもしれない…それを自覚していればそれはそれでいいのかもしれないが、それで壊れる人間関係のいかに多いことか。 
    広く浅い関係だけが正しい社会とは思えないけれども…。

  • 思索

  • 小熊さんの対談本は前回に続いて、今回も緊張感があって面白かった。前回よりも全体的に社会問題がテーマになることが多かったような気がするけど、2005年の前回から9年経って社会問題が更に大きくなったということなのかもなぁ・・・。

  • うーん…。

  • 哲学者?による東浩紀、上野千鶴子、古市憲寿などとのの討論集。著者が討論者の著作等をかなり読み込んでいて、深く議論しているのが伝わってくる。
    基本的にはリベラルなスタンスでどうこの世の中をよくしていけるかについて議論。日本の経済政治環境が厳しいのはわかっているが、それを認識してきちんと行動に移すことが重要という真っ当な議論をずっとしている。
    面白かったのは大人の定義
    若者=将来で評価される人
    大人=現在で評価される人
    老人=過去で評価される人

  • ときおり きちんと 考えたくなる
    ときおり 自分の立ち位置を 確認したくなる
    ときおり 今起きていることを 立ち止まって
    じっくり あぁでもない こうでもない
    と 自分の中で 悶々と転がしてみたくなる

    そんな時に 小熊英二さんの 一冊は
    なにかと その思考の手助けをしてくれる

    今回は 対談集
    違う立場 の 違う論客たち との
    丁々発止 が とても刺激的だった 

  • 震災後の社会と若者を古市憲寿と論じた対談は興味深かったし、高原基彰との「サヨはなぜ経済成長の夢を見るか?」上野千鶴子との「腑分けする」など、いずれも深い論点に圧倒される。日本の若者がふがいないのではなく、日本の経済が順調だったために、起業する必要がなかった!とは目に鱗の視点。特に上野とのやりとりはかなりエキサイトした失礼な会話が頻出し、真剣勝負の迫力がある。一貫した通奏低音として「代議制民主主義の寿命は終わったのではないか。これから直接行動の時代」という立場であり、著者は能弁に持論をいろんな相手に主張している。後半の対談はそのような立場からの政治家、学者、市民運動者たちとの会話の連続。反原発の官邸前デモの盛り上がりに、「原発を私たちの力で止めた、と思えることが大切だと意味を解題しつつ、金曜夕方に中堅世代が集まれるようになった時代という冷静な分析も二律背反的で面白い。なお、古市氏の「絶望な国の幸福な若者たち」はぜひ読んでみたい。今の時代を象徴しているタイトルである。

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著者プロフィール

慶應義塾大学総合政策学部教授。
専門分野:歴史社会学。

「2023年 『総合政策学の方法論的展開』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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