増補新版 いま生きているという冒険 (よりみちパン! セ)

著者 :
  • 新曜社
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本棚登録 : 177
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788516144

作品紹介・あらすじ

23歳で世界七大陸最高峰を制覇し、土門拳賞ほか数々の写真賞を受賞、冒険、旅、写真、そして「身体」と「知性」の概念を大きく塗り替える生き方と作品で多くの人を魅了する著者の入手困難だった本に書き下ろしを加えた増補新装版。

感想・レビュー・書評

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  • “生きるということ”今私のなかのテーマ。

    自分はどう生きたいのだろう、私に出来ることってなんだろうとよく考える。
    小さなことから何かできたらな…と考えるけど踏み出す勇気やきっかけをつかめない。

    なので、自分以外の方の人生観やどう生きてきたかや普段の日常の話を聞くのが読書時間に匹敵するくらい大好きで、そこからヒントを得ることも多い。


    けれど、なかなかそんな話を聞くチャンスなんてめぐってはこないので、体験談や特に冒険ものの本を目にすると飛びついてしまう。


    本書も、タイトルに惹かれて即決でした。
    読む手が止まらず、祖母の病院に付き添ってたのですが待ち時間にそっちのけでのめりこんでしまった…ごめんね。笑

    「バッタを倒しにアフリカへ」
    につづきヒット!生きる力の詰まった一冊。写真もまた◎

    世界に飛び出すことだけが冒険ではいことを教えてくれた。日常のなかに在る、未知の世界との出会いを求める冒険者に、、そんな気持ちを抱きながら今を生きよう!なんだか毎日が楽しくなりそうな予感がします♪

  •  多くの漢字にはふりがながふられ、世界を拡げた記憶を紹介する文章とともに綴られている写真、文章では伝わりにくいことを、図入りの解説として添えているので、子どもに、若い人に是非読んで欲しいという想いが伝わってくる。
     石川直樹さんの言葉は、平易な言葉のようで、日常のなかで無難に生きていく人たちの使う周波数帯とは少し違っているので、チョット難しく感じるところもある。そのことは石川さん自身が判っていて、ギリギリのところまで、砕いて言葉にしているのも伝わってくる。(でも、言葉って伝えること、判ってもらうことに傾き過ぎると、今度は自分の言葉が出てこなくなる、拾い出せなくなるということがある)
     こんな素晴らしい体験をした人、自分の要望に果敢に挑んだ人、そしてその体験で『生きている』こと、宇宙のこと、人類の歴史のことを俯瞰して自らに問い続ける姿勢は、私のようなオヤジであっても今更ながら姿勢をたださせられる。
     以下、気に入った著者の言葉を添えておきます。
    この本はサクッと読めますので、空き時間に是非手に取ってください。
    〜〜

    いまぼくたちが生きている物質的な空間とは別の世界が確かにあって、それは「ここ」や「あそこ」にあるのではなく、あらゆる場所に存在しています。その世界への通路は、いわゆる「聖地」と呼ばれる場所にひらかれていたり、あるいは想起する力によって自分自身の中に引っ張り込むことも可能になるでしょう。ミクロネシアの航海者や洞窟壁画を描いた人々、沖縄ではノロと呼ばれた神事を司る女性、先住民社会のシャーマン、あるいは現代の優れたアーティストなどは、そのような通路を意識せずに自分の中にもっていて、現実の世界で表現し、誰かに伝える力をもっている。

     現実の世界とは別の世界を探すプロセスは、そのまま精神の冒険であり、心を揺さぶる何かへと向かう想像力の旅へとつながっていきます。それは実際に世界を歩き回るよりもはるかに難しく、重要なことであると考えている。たとえ世界中のあらゆる場所をくまなく見て回ったとしても、その人が歩き続けていく限り、未知のフィールドはなくならないどころか、無限に広がっていく。

    〜〜

  • 2006年の本に増補されて出版されたもの。
    幸いなことに、先日、石川直樹氏の講演を聞いたばかりだった。本の内容と重なるところは、彼の肉声が頭の中で響いてくるという贅沢な読書となった。
    彼は登山家だけではない。写真家だけでもない。北極から南極までツアーをした。ミクロネシアに星野航海術を学んだかと思えば、気球で太平洋を横断すべく、訓練を重ねたりする。単身、ユーコンをカヌーで下ったこともある。では、冒険家なのだろうか。それも彼自身が否定する。

    子供の頃から本読むのが好きで、小説も読んだが、植村直己や星野道夫に惹かれた。高校2年生の時、単身インドからネパールへ旅に出る。そこから彼の自分の体で感じること、学ぶことを喜びとする人生が始まる。
    思い立ったらすぐに行動に移せる人を羨むばかりの私には、ただこの本によって追体験させてもらうことしかできないが、平易ながらも、的確で素晴らしい描写の文章で、誰でも「そこ」に行き着くことができる。彼は、自分が体験したこと、そこから生まれた考えしか書いていない。その方法によってしか、読者が行き着くことはできないから。
    北方や登山のことしか関心が持てないかもしれない、と思いながら読んでいったが、ミクロネシアの人々も、ネパールのシェルパとの旅も、極地から極地への旅も、ほんのひと時「同行」させてもらったら、それは素晴らしい旅だった。
    古代の人々や、今も自分の知恵と体を使って生きる人々に惹かれ、その人々に寄り添い、敬意を表してやまない彼は、冒険家というより求道者のようだった。
    たくさん本を読むことも「冒険」という彼だけに、文章の表現力もシンプルながら素晴らしく、読者をたちまち世界の果てに連れていってくれる。

  • 現在の世界は、貧しい人々から豊かな人々へ富が流れるようにできています。

  • 気持ちが詰まったら体感で解決するのは、やはりいいと思う。
    それも屋外で。
    建物の中で自転車漕ぐのもいいけど、外で走るほうが断然気が晴れる。

  • 石川直樹(1977年~)は、日本 5人目、世界 85人目の七大陸最高峰登頂(2001年、当時世界最年少記録) 、8000メートル峰5座(6回)登頂(エベレストに2回登頂)などの実績をもつ冒険家(本人は「冒険家」と言われることに違和感があると、本書では書いている)、写真家。
    本書は、2006年に理論社から出版され、2011年にイーストプレスから復刊、2019年に新曜社から増補新版として再度復刊されたもの。
    本書では、高校2年のときのインドとネパールの一人旅に始まり、大学1年のときのアラスカ・ユーコン川のカヌーでの単独川下り、1998年の北米最高峰のデナリ登頂、同年のミクロネシアでの伝統航海術の習得、1999年のアフリカ最高峰キリマンジャロ単独登頂、2000年の「Pole to Pole2000」参加(カナダの冒険家マーティン・ウィリアムスが企画したプロジェクトで、日本代表として世界7ヶ国の若者と共に9ヶ月間かけて北極点から南極点をスキー、自転車、カヤック、徒歩などの人力で踏破)、2001年の南極大陸最高峰ヴィンソン・マシフ登頂、同年の南米最高峰アコンカグア単独登頂、同年のエベレスト(北壁、チベットから)登頂、2004年の神田道夫氏に同行しての熱気球による太平洋横断挑戦(日本から1600キロ離れた地点で飛行を断念、着水)、2011年のエベレスト(南東稜、ネパールから)二度目の登頂の様子が、自ら撮影した多数の写真とともに、綴られている。
    石川氏の幅広い好奇心と人間離れした行動力、そしてそれを表現する卓越した能力が凝縮された本書は、伝説の冒険家・植村直己氏の若き日を綴った名著『青春を山に賭けて』を彷彿とさせ、若者向けに書かれたものとはいえ、大人でも十分に楽しむことができる。
    特に、石川氏が自分の歩んできた道のりを踏まえて「冒険とは何か?」を語った最終章の「生れたばかりの子どもにとって、世界は異質なものに溢れています。もともと知り得ていたものなど何もないので、あるがままの世界が発する声にただ耳を澄ますしかありません。・・・そういった意味で、子どもたちは究極の旅人であり冒険者だといえるでしょう。歳をとりながら、さまざまなものとの出会いを繰り返すことによって、人は世界と親しくなっていきます。・・・そうして世界がすでに自分の知っている世界になってしまったとき、あるがままの無限の世界は姿を変えて、ひどく小さなものになってしまいます。そのことを否定するつもりはまったくありませんし、自分もそうならないとは限りませんが、不断の冒険によって最後の最後まで旅を続けようと努力したいとぼくは思うのです。現実に何を体験するか、どこに行くかということはさして重要ではないのです。心を揺さぶる何かに向かいあっているか、ということがもっとも大切なことだとぼくは思います。」という文章は、大人こそ胸に刻みたい件である。
    若者に限らず、若い心を保ちたい(或いは、取り戻したい)大人にとっても、魅力的な一冊と思う。
    (2019年10月了)

  • やっぱり冒険家(とりあえずそう呼ぶ)の文章は好きだ。身体を五感を極限まで自然に晒すことで紡げる瑞々しさがある気がする。彼に対するネガティブな情報から、一時距離を置いたが、やはり追い掛けていきたい。

  • 作者はストイックな方なのだろうな、と思う。
    厳しい環境の、厳しい旅に出て、それを繰り返す。
    生々しい旅の様子がリアルに感じ取れるが、人間同士の関わりや交流からの成長…みたいな部分はあまり書かれてない。

  • 本好き山好きアウトドア同期から借りた。冒険家の随筆。混合しがちたけど随筆→本当にあった出来事の見聞や感想を自由に描いたもの、エッセイ→出来事の描写ではなく、書き手のパーソナルな心の様子を描いたもの、告白的なものらしい。随筆は初めて読んだかもしれない。旅行エッセイ的な気持ちで読んでいたけどかなり生と死の隣合わせの内容だった。人って追い込まれると本当に気が狂うんだ…高山には死体が放置されてるけれど寒さで腐らないんだ…とか色々衝撃的だった。分厚さの割に字も大きめ写真も多めで読みやすかった。山頂からの空の写真、目が痛くなるような青さだった。

  • 自分自身、社会人となり、自分は単なる自然好きのまま10数年が過ぎてしまい人生半ばに差し迫ってしまったが、石川さんの本は、お世辞無しに不思議なモチベーションが得られ、また自分の世界や視野を広げてくれて、これからどう生きてチャレンジしていこうか考えるきっかけを与えてくれる気がする。
    本書は彼の今までのアクションを子供も読めるようまとめてくれている一冊で、読むと自分が羨む活動をしてきていて嫉妬の気持ちがでてくるが、それ以上に刺激をもらえる一冊でおススメです!

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著者プロフィール

冒険家、写真家

「2019年 『いま生きているという冒険 増補新版 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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