国際会計基準(IFRS)はどこへ行くのか―足踏みする米国・不協和音の欧州・先走る日本

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  • 時事通信出版局
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788710665

作品紹介・あらすじ

IFRSが目指しているのは、企業の即時清算価値を計算・表示する会計です。資産・負債をバラバラに切り離して処分したときの価値、「即時清算価値」あるいは「即時処分価値」をバランス・シートに表示させようというのです。いったい何を狙っているのでしょうか。

感想・レビュー・書評

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  • IFRSの問題点を適切に指摘していると思います。個人的にはIFRSの必要性についてかなりの疑問がありますが、それを論理的に筋道たてて解説しています。会計は慣行的な要素が強いですし、時代時代の経済状況や産業構造に応じて変化していきますが、IFRSは「会計でなない」という思いは強いですし、この本をよんでいっそうその思いが強くなりました。

  • 筆者は本書の中でこう述べます。

    「会計は政治である」と。



    今までは基本的に日本の企業は日本の会計基準に、

    アメリカの企業はアメリカの会計基準に従って財務諸表を作成してきました。

    各国がいうなれば好き好きに基準を決めてたわけです。

    しかし、本書の題名にもなっている国際会計基準というやつは、

    全世界の会計基準を統一しようというもんなんです。



    ではなぜ「会計は政治」であるのか。

    企業が従う会計基準が違えば、それによって作成される財務諸表の数値も変わってきます。

    ということは、国際会計基準が自国の企業に有利である会計基準であれば、

    おのずと国際競争力は高まり、政治的な力も高まるわけです。

    ようは、自分が勝てるようにルールを変えちゃえば良いんじゃねということです。

    これを実行しているのがアメリカとイギリスであると筆者は主張します。



    会計の考え方は時価会計と原価会計があります。

    簡単にいえば、時価会計を採用する場合は金融業を営む企業に有利に働き、製造業を営む企業にとっては不利に働くことが多いというのです。

    そして、国際会計基準は基本的に時価会計の考え方を採用しています。

    さらに、国際会計基準を決めているのはロンドンのIASBという機関とアメリカのFASBという機関の二つの機関であるといいます。



    筆者は再三こう述べるんです。

    「米英は物づくりでは稼げなくなり、金融で食べていくしかなくなった、という点で利害が一致する。それも、今回の金融危機が暴露したように、自国内では金融でも稼げなくなったのである。とすると他人(他国)の財布の中身を狙うようになったとしてもおかしくはない。」

    ようは、時価会計である国際会計基準を世界共通のルールとして決めてしまえば、米英の得意な金融業がもうかり、物づくりが得意な他国は米英に搾取されてしまうというのです。




    筆者は以上のことから、日本は先走って国際会計基準を認めるのではなく、自国の利益を考えた上で国際会計基準への対応を考えるべきだと主張しておりました。










    以上が筆者の大まかな主張でしょうか。

    なお、貫太郎の意見でありませんので誤解なく。



    ちなみに、最後の章に「日本がなすべき国内会計環境の整備」と題うって筆者の考えが述べられているのですが、「あれも、これも」といろんなことを述べており、まとまり感がありませんでした。

    しかも最後は半ば強引に絞めておりました。( ̄ー ̄;

    もうちょっと上手く絞めてほしかったですね。

  • IFRSの中身を知りたい人には向かない内容。IFRSを取り巻く攻防といったものを欧米批判と日本への憤りを絡めて描いてある。

  • ゴルフのルールは三つだけ
    ゴルフクラブは米国製、ボールは英国製、ルールにないことは米英のフェアプレーの精神でプレーする
    という表現がとても面白い。

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